https://shinkokyubiyori.com/value/natural/3204/ 【「上善如水」 老荘思想に学ぶ生き方のヒント 自然に学ぶ】より
「老荘思想」という、二千年以上も昔に中国で生まれた思想があります。あるがまま、無為自然に生きることを説く処世の知恵。
私たちは、忙しなく流れる今の時代を生きています。だからこそ、そこに気付きや学びがある。老荘思想は「禅」の考え方にも近いものがあります。
生きづらい世の中を生き抜くためのヒントとなるものがあるのではないでしょうか。
上善は水の如し
老荘思想に「上善は水の如し(じょうぜんはみずのごとし)」という言葉があります。
「上善」とは、最も理想的な生き方のこと。水は己の形に囚われることがありません。
器を選ばず、周りに合わせることができる柔軟性を持っています。
雲となり雨となり、条件次第で氷へと形を変える。様々な姿に変化しながらも、その特性や性質を失うことがない。時に静かに、時に激しく、清濁併せ飲むのが「水」という存在です。水は多くのものに恩恵を与えながら、人の嫌がる低いところに身を置いている。
自己を主張して他と争うことも、無理に逆らうこともありません。
そんなふうに私たちも生きることができれば素晴らしい。
水のあり方のような生き方こそが理想的な生き方であると説いているのです。
水の在り方から学ぶ
私たちは「上善如水」とは、かけ離れた生き方をしているのではないでしょうか。
常識に囚われ、間違った思い込みに縛られている。これは「こういうもの」「こうあるべき」だと物事を決めつける。「自分」というものが持てないまま、周りに流され暮らしています。「人より少しでも上に立ちたい」「自分だけ損をしたくない」
そうやって常に上か下かと無意味な争いを続けている。自分自身で苦しい生き方を選んでしまっているのです。自分を飾ることなく、不自然に手を加えることもない。
何物にも囚われず縛られず。水のようにしなやかに柔軟に生きていけばいいのです。
柔軟でしなやかな生き方生き方に正解はありません。
「上善如水」だけが唯一の正しい生き方ではないでしょう。
ただ、自然に学ぶことはたくさんある。
慌ただしい世の中だからこそ、身近なものを見つめてみる。今一度、足元に目を向ける必要があるのではないかと感じます。
水のように、どんな相手や状況にも対応できる柔軟性を持つ。
自分を常に低いところに置く謙虚さを忘れない。
環境や流行りに惑わされず、自分の軸となるものを保ったまま。
己を変えることなく、どんなふうにも変化することができる。
それはこだわりがなく、執着がない。とてもしなやかな生き方なのです。
https://lifeskills.amebaownd.com/posts/10346534 【無為自然】
もしかして芭蕉は「上善如水」を「不易流行」と呼んだのではないでしょうか?
https://lifeskills.amebaownd.com/posts/11748822 【「今ここ」に生きるとは】
https://lifeskills.amebaownd.com/posts/11511867 【梵我一如】
https://lifeskills.amebaownd.com/posts/10375886 【「不易流行」・「温故知新」】
https://lifeskills.amebaownd.com/posts/11748645 【一期一会】
https://note.com/arashidaisuki/n/n2abd7a0a3854 【「不易流行」と「進化論」】
より
俳句界の革命児・松尾芭蕉
不易流行という言葉はご存知でしょうか。
「不易と流行」とは、「変わるものと変らないもの」の意です。
辞書を引くと「いつまでも変化しない本質的なものを忘れない中にも、新しく変化を重ねているものをも取り入れていくこと。また、新味を求めて変化を重ねていく流行性こそが不易の本質であること。」と書かれています。
「不易流行」とは俳聖・松尾芭蕉が「奥の細道」の旅の中で見出した蕉風俳諧の理念の一つだと言われています。
芭蕉の俳論をまとめた書物『去来抄』では、不易流行について、以下のように書かれています。(引用:日本俳句研究会 俳句の作り方)
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「不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず」(去来抄)
噛み砕いて言うと、「良い俳句が作りたかったら、まずは普遍的な俳句の基礎をちゃんと学ぼう。でも、時代の変化に沿った新しさも追い求めないと、陳腐でツマラナイ句しか作れなくなるので、気を付けよう」ということです。
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凄いですね、このような思想を持っている松尾芭蕉は、そもそも俳諧の世界の革命者だったとも言えそうです。
本質を捉え、守るべきものを理解したうえで、新しいものを追い求める。
道を究める人、つまりプロフェッショナルとは、「新しいことに挑戦し続ける人」なのかもしれません。
55年以上トップを維持している企業
そういえば、「のりたま」って知っていますか?
そうです、ふりかけです。
ふりかけ代名詞、丸美屋食品の「のりたま」について、以前ある記事を読んだことがあります。
「のりたま」の凄いところは、55年以上、1960年(昭和35年)誕生以来、ふりかけ市場で1位を獲得し続けていることです。
何と、今までに味の改定した回数は、8回!
時代に合わせ、消費者の味覚の変化に合わせて、味の改定を続けているそうです。
不動の「のりたま」人気の秘訣は、実はこの「時代に合わせた“おいしさ”」を常に追求し続けてきた成果だったようです。
すごいですね。
そういえば、亀田製菓の「ハッピーターン」も、今なお味を少しづつ変化させているそうです。
絶大な人気を維持するために必要なもの、それが「変化」なんですね。
現状維持=衰退の始まり
私個人はラーメンが大好きなのですが、よく行くラーメン店でも、味が落ちているなあと感じるお店があるものです。
皆さんも、そう感じたお店がありませんか。
もし本当に、そのお店が「変わらない味」を出し続けていれば、3年後、再訪したときは味が落ちたと感じるのかもしれません。
このような意味でも、「元祖」という看板を出しているお店が、必ずしも一番美味しいわけではないですよね。
よく、ビジネスの世界では「現状維持は衰退の始まり」と言われることが多々あります。
世の中は変化し続けています。
特に現在のように時代の移り変わりが早い「スピード社会」ではより一層、その傾向は強まっているのかもしれません。
現状維持では、世の中についていけなくなってしまう。
組織もそうですが、個人もそうです。
常に、学び、自ら進化し、成長し、一歩を踏み出す動きが重要ではないでしょうか。
変わってはならないものと、変わらなければならないもの
不易流行。
変わってはならないものと、変わらなければならないもの。
何が、変えてはならないもので、何が、変わるべきものなのでしょうか。
難しいですよね。
でも。
個人的には、こう解釈しています。
例えば、歌の流行は変わるけれど、いつの時代にも歌が、人々に楽しさや感動を伝えることに変わりはありません。
時代のファッションも変わるけど、洋服を着る人の喜びや嬉しさは、いつの時代も変わりません。
味も時代によって変わるけれど、食べる楽しさはいつの時代も変わらないのではないでしょうか。
つまり、不易とは、人の想いや信念といった、精神的なものではないか、と個人的には思っています。
もちろん、規則や決まり、枠組み・ルールなど変えてはならないとされるものもありますが、それすら超越するもの。
それが「不易」だと思っています。
もし、企業に例えるならば、それは「経営理念」のようなものではないでしょうか。
流行は「戦略」のようなものかもしれません。
不易流行。
変えてはならないものと変えるべきもの。
しっかりと見定めたいものですね。
変わらないもののために、変わり続ける
生き残る企業と倒産する企業。
成長する企業と衰退する企業。
その分岐点、それが「不易流行」なのではないでしょうか。
世の中のニーズが変わり続けるなら、会社組織も変わらなければなりません。
会社組織が変われば、個人も変わらなければなりません。
もし、組織が変わらなければ、個人の誰かが、決断し変える動きを取らなければ、会社自体の存続が危ぶまれます。
そもそも、私たちが存在する宇宙そのものも、始まりはビックバン。
ビックバン以来、宇宙は拡大し続けています。
地球もそう。
地球自体も自転、そして公転し続けています。
世の中の環境、存在、そのものが動き続けています。
自転・公転している地球において、私たちは決して、全く同じ場所にとどまることはできないのではないでしょうか。
変化し続けている世の中。
ダーウィンの進化論もそうですよね。
変化するものが生き残る種。
私たちのビジネス、会社組織、そして生活もそう。
私たちが日々年齢を重ねるに従って、新しいことへの第一歩は、まさに、「大事なもの」のための変化ではないでしょうか。
変化すること、新しい第一歩は、自らの成長、組織の成長、そして大事なものを守るという意味でも、大きな意味を持っているのかもしれません。
私たちも変わり続ける。
決して変えてはならないものを守るためにも。
最後に
名言を贈ります。
当社は90年の歴史と伝統を持つ会社ですが、逆にいえば過去を変えていくことに社内に多少の抵抗感があるのも事実です。そういう中で、不易流行の如く変えてはならないもの、そして時代に即して変えなくてはいけないものを峻別することが大切です。大切なものは守り伝え、時代に合わなくなったものは思い切って捨て、新しいものを取り入れていく経営が重要だと思っています。
里見多一/日本パーカライジング会長
ジャパネットの社長を退いて、もうすぐ3年。会社も大きく変わりましたよ。100年続く会社にしていこうとしたら、創業の精神だけでは、思い切った改革はできないでしょうから。不易流行の、不易――変えてはいけない「人の幸せに貢献する」という会社のミッション、使命さえ変えなければ、流行――時代に合わせてどんどん変えていけばいい。
高田明/ジャパネットたかた創業者
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