https://art-tags.net/manyo/four/m0710.html 【第四巻 : み空行く月の光にただ一目相見し人の】 より
原文: 三空去 月之光二 直一目 相三師人之 夢西所見
作者: 安都扉娘子(あとのとびらのをとめ)
よみ: み空行く、月の光に、ただ一目、相(あい)見し人の、夢(いめ)にし見ゆる
意味: 空を行く月の光でただ一度だけお会いした人が、夢にでていらっしゃるんです。
https://art-tags.net/manyo/six/m0982.html 【第六巻 : ぬばたまの夜霧の立ちておほほしく】 より
原文: 烏玉乃 夜霧立而 不清 照有月夜乃 見者悲沙
作者: 坂上郎女(さかのうえのいらつめ)
よみ: ぬばたまの、夜霧(よぎり)の立ちて、おほほしく、照れる月夜(つくよ)の、見れば悲しさ
意味: 夜霧(よぎり)が立っておぼろげに照っている月(つき)をみると悲しいです。
https://art-tags.net/manyo/six/m0983.html 【第六巻 : 山の端のささら愛壮士天の原】より
原文: 山葉 左佐良榎壮子 天原 門度光 見良久之好藻
作者: 坂上郎女(さかのうえのいらつめ)
よみ: 山の端(は)の、ささら愛壮士(えをとこ)、天(あま)の原(はら)、門(と)渡(わた)る光(ひかり)、見らくしよしも
意味: 山に上った月(つき)が、空を渡ってゆく光を見るのは素敵なことです。
「ささら愛壮士(えをとこ)」とは、月(つき)のことを言います。
「山の端(は)」は、山の稜線(りょうせん)ですね。
https://art-tags.net/manyo/six/m0985.html 【第六巻:0985: 天にます月読壮士賄はせむ・・・】 より
原文
天尓座 月讀壮子 幣者将為 今夜乃長者 五百夜継許増
作者
湯原王(ゆはらのおおきみ)
よみ
天(あめ)にます、月読壮士(つくよみをとこ)、賄(まひ)はせむ、今夜の長さ、五百夜(いほよ)継ぎこそ
意味
天にいらっしゃる月(つき)の神様、お供え物をいたしますから、どうか、この夜がいつまでも長く続きますように。
- rough meaning: I will make offering some gifts, O the god of the moon in heaven. So make this beautiful night will last forever.
https://art-tags.net/manyo/six/m0993.html【第六巻 : 月立ちてただ三日月の眉根掻き】より
原文: 月立而 直三日月之 眉根掻 氣長戀之 君尓相有鴨
作者: 坂上郎女(さかのうえのいらつめ)
よみ: 月立ちてただ三日月の眉根掻き日長く恋ひし君に逢へるかも
意味: 月がまた生まれて出てくる時の、三日月のような私の眉(まゆ)を掻(か)いたからでしょうね。長くお会いできなかった恋しいあなたに会えたんですもの。
眉(まゆ)を掻(か)くと、人に会えるという迷信があったそうです。
https://art-tags.net/manyo/six/m0994.html 【第六巻:0994: 振り放けて三日月見れば一目見し・・・】 より
原文
振仰而 若月見者 一目見之 人乃眉引 所念可聞
作者
大伴家持(おおとものやかもち)
よみ
振(ふ)放(さ)けて 三日月見れば 一目見し 人の眉(まよ)引き 思ほゆるかも
意味
空を仰いで三日月を見ると、一目見たあの女(ひと)の眉を思い出します。
・三日月から女性の眉(まゆ)を思い起こしています。「眉(まよ)引き」は、眉を剃って(もしくは抜いて)眉を細い弓のように描いたことだそうです。
補足
この歌の題詞には、「大伴宿祢家持(おおとものすくねやかもち) 初月(みかづき)の歌一首」とあります。この歌を詠んだ時、大伴家持(おおとものやかもち)は16歳ころだったそうです。
https://art-tags.net/manyo/six/m1008.html 【第六巻:1008: 山の端にいさよふ月の出でむかと・・・】より
原文
山之葉尓 不知世經月乃 将出香常 我待君之 夜者更降管
作者
忌部黒麻呂(いむべのくろまろ)
よみ
山の端(は)に、いさよふ月(つき)の、出(い)でむかと、我(わ)が待つ君が、夜(よ)はくたちつつ
意味
山の端(は)に、出ようかどうかためらっている月(つき)のように、もう来るかと、私が待っている君がこないまま、夜は過ぎて行きます。
「山の端(は)」は、山の空との境のことです。
補足
この歌の題詞には、「忌部首黒麻呂(いむべのおびとくろまろ)、友の遅く来ることを恨む歌一首」とあります。
https://art-tags.net/manyo/seven/m1068.html 【第七巻:1068 : 天の海に雲の波立ち月の舟・・・】 より
原文
天海丹 雲之波立 月船 星之林丹 榜隠所見
作者
柿本人麻呂歌集より
よみ
天(あま)の海に、雲の波立ち、月(つき)の舟、星(ほし)の林に、漕(こ)ぎ隠(かく)る見ゆ
意味
(海のように)広い空に雲が波立ち、月(つき)の舟が星(ほし)の林に漕ぎ入り隠れてゆくのが見えます。
補足
この歌の題詞には「天を詠む」とあります。
https://art-tags.net/manyo/seven/m1071.html 【第七巻 : 山の端にいさよふ月を出でむかと】 より
原文: 山末尓 不知夜歴月乎 将出香登 待乍居尓 夜曽降家類
作者: 不明
よみ: 山の端(は)に、いさよふ月(つき)を、出でむかと、待ちつつ居(を)るに、夜(よ)ぞ更(ふ)けにける
意味: 山の端になかなか出てくれない月(つき)を今か今かと待っているうちに夜が更けてしまいました。
山の端(は)は、山と空との境界線のことです。
https://art-tags.net/manyo/seven/m1073.html 【第七巻:1073: 玉垂の小簾の間通しひとり居て・・・】 より
原文
玉垂之 小簾之間通 獨居而 見驗無 暮月夜鴨
作者
不明
よみ
玉垂(たまだれ)の、小簾(をす)の間通(まとほ)し、ひとり居(ゐ)て、見る験なき、夕月夜(ゆふつくよ)かも
意味
一人で居ては、簾(すだれ)の間を通して見るかいもない、この夕月夜です。
「玉垂(たまだれ)の」で、小簾(をす)を導いています。玉垂(たまだれ)は、穴をあけた玉を緒(を: 糸/紐(ひも)のこと)に通して垂らした簾(すだれ)をいいます。
補足
「月を詠む」歌のひとつです。
https://art-tags.net/manyo/seven/m1078.html 【第七巻 : この月のここに来たれば今とか】 より
平成11年2月28日(日)更新
原文: 此月之 此間来者 且今跡香毛 妹之出立 待乍将有
作者:不明
よみ: この月のここに来たれば今とかも妹が出で立ち待ちつつあるらむ
意味: 今は月がここまで出ているから、今か今かとあの娘は外に出て私のことを待っているだろうなぁ。
https://art-tags.net/manyo/seven/m1079.html 【第七巻:1079: まそ鏡照るべき月を白栲の雲か・・・】 より
原文
真十鏡 可照月乎 白妙乃 雲香隠流 天津霧鴨
作者
不明
よみ
まそ鏡、照るべき月を、白栲(しろたへ)の、雲か隠せる、天(あま)つ霧かも
意味
照るはずの月を、白い雲が隠しているのでしょうか。それとも天の霧が隠しているのでしょうか。
「まそ鏡」は、澄んだ立派な鏡というような意味です。この歌では、月を導く枕詞(まくらことば)として使われています。
補足
この歌(を含む複数の歌)の題詞には「月を詠(よ)む」とあります。
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