https://art-tags.net/manyo/seven/m1083.html 【第七巻:1083: 霜曇りすとにかあるらむ久方の・・・】 より
原文 霜雲入 為登尓可将有 久堅之 夜渡月乃 不見念者
作者 不明
よみ 霜(しも)曇(ぐも)り、すとにかあるらむ、久方(ひさかた)の、夜(よ)渡る月(つき)の、
見えなく思へば
意味 曇って霜(しも)が下りようとしているのでしょう。夜を渡る月(つき)が見えないこと
を思えば。
https://art-tags.net/manyo/seven/m1179.html 【第七巻:1179: 家にして我れは恋ひむな印南野の・・・】 より
原文 家尓之弖 吾者将戀名 印南野乃 淺茅之上尓 照之月夜乎
作者 不明
よみ 家にして、我(あ)れは恋(こ)ひむな、印南野(いなみの)の、浅茅(あさぢ)が上に、照りし
月夜(つくよ)を
意味 家に帰って、私は懐かしむことでしょうね。印南野(いなみの)の浅茅(あさぢ)の上に照
る月を。「印南野」は、現在の兵庫県加古川市、明石市、高砂市を含む東播磨(ひがし
はりま)にあたります。
補足 この歌を含む1161番歌の題詞には「覊旅(たび)にして作る」とあります。
https://art-tags.net/manyo/seven/m1270.html 【第七巻:1270: こもりくの泊瀬の山に照る月は・・・】 より
原文 隠口乃 泊瀬之山丹 照月者 盈ち為焉 人之常無
作者 不明
よみ こもりくの、泊瀬(はつせ)の山に、照る月(つき)は、満ち欠けしけり、人の常(つね)
なき
意味 泊瀬(はつせ)の山に、照る月(つき)は、満ち欠けします。人の世も同じように、
変わっていくものですね。「こもりくの」は泊瀬(はつせ)を導く枕詞(まくらことば)
です。
補足 この歌の題詞には「物に寄せて思ひを發(おこ)す」とあり、左注に「右一首、古歌集に
出づ」とあります。
https://art-tags.net/manyo/seven/m1372.html 【第七巻:1372: み空行く月読壮士夕さらず・・・】より
原文 三空徃 月讀壮士 夕不去 目庭雖見 因縁毛無
作者 不明
よみ み空(そら)行く、月読壮士(つくよみをとこ)、夕(ゆふ)さらず、目には見れども、
寄るよしもなし
意味 空(そら)を行く月読壮士(つくよみをとこ)は、夕にはいつも目に見えるけど、近づく
すべもありません。
「月読壮士(つくよみをとこ)」は月(つき)を男性の神にたとえた言葉です。この歌では、あこがれの男性のことを指していると思われます。
補足 この歌の題詞には「月(つき)に寄せる」とあります。
https://art-tags.net/manyo/seven/m1374.html 【第七巻 : 闇の夜は苦しきものをいつしかと】 より
原文: 闇夜者 辛苦物乎 何時跡 吾待月毛 早毛照奴賀
作者:不明
よみ: 闇の夜は、苦しきものを、いつしかと、我が待つ月も、早(はや)も照らぬか
意味: 真っ暗な夜は苦しいものです。いつ出てくれるかなぁ、と待っている月、早く出てくれないかなぁ。
月に寄せて詠んだ歌です。「あの人が早く来ないかなぁ」と待っている歌ですね。
https://art-tags.net/manyo/eight/m1452.html 【第八巻 : 闇夜ならばうべも来まさじ梅の花】より
原文: 闇夜有者 宇倍毛不来座 梅花 開月夜尓 伊而麻左自常屋
作者: 紀女郎(きのいらつめ)
よみ: 闇夜(やみ)ならばうべも来まさじ梅の花、咲ける月夜に出でまさじとや
意味: 闇夜だったらいらっしゃらないのも分かります。でもこんなに梅の花が月夜に咲いているというのに、いらっしゃらないというのは。(来てくださいね)
https://art-tags.net/manyo/eight/m1552.html 【第八巻:1552: 夕月夜心もしのに白露の・・・】 より
原文 暮月夜 心毛思努尓 白露乃 置此庭尓 蟋蟀鳴毛
作者 湯原王(ゆはらのおおきみ)
よみ 夕月夜(ゆふづくよ) 心もしのに 白露(しらつゆ)の 置(お)くこの庭に こほろぎ鳴くも
意味 夕月が照る夜に、心もしなえるほどに白露(しらつゆ)がおりているこの庭に、こおろぎ
が鳴いています。
- rough meaning: In the night of the moon shines, Kohorogi(a cricket) is ringing in this garden, where Shiratsyu(the white dew) drops as if my heart is withering.
補足・この歌の題詞には「湯原王(ゆはらのおおきみ)、蟋蟀(こほろぎ)の歌一首」とあります。
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