「宇都宮の七水」について

https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000151057 【レファレンス事例詳細(Detail of reference example)】より

質問(Question)

江戸時代頃あったという、「宇都宮の七水」について、記載がある資料が知りたい。

回答(Answer)

以下の資料に記載がありました。

・『栃木縣史 第11巻 史蹟名勝編』(田代善吉/著 臨川書店 1972)p189-191

 ※下野史談会 1938刊の復刻版

 p188に「宇都宮市には昔より誰言ふとなく、七木、七水、八河原と言ふ名称を並べて名所の一つにしてゐたことがあつた、明治時代より殆んど廃れて、名のみ残つてゐるに過ぎない」との解説があります。さらに、「明治の御代となつてからは、水は涸れ、或は井戸は埋められたものもある。」と述べられ(p189)、「池上の虹の井」「馬場の井」「石町の井」「亀井の水」「明神の井」「瀧の水」「慈光寺の天女水」の7つを挙げて説明されています。ただ、「以上の外に池上町の虹の井、亀井水、明神の供水、馬場先、瀧の井、新町口の嘶の清水、慈光寺の天女水、東石町の芝田の井などを七水と云ふ説もある。」とも述べられています(p191)。

・『宇都宮の歴史 増補新版』(徳田浩淳/著 落合書店 1979)p338

 「池の井」「馬場の井」「東石町の井」「亀井の水」「明神の井」「滝の井」「慈光寺の天女水」の説明があり、「右の外に、嘶の清水(南新町口にあった)を加えて慈光寺の天女水を除いたもの、池上町虎屋の井を入れたもの、延命院の地蔵水など、清泉が何カ所かあった。」と述べられています。

・『宇都宮城物語』(福田三男/著 下野新聞社 2007)p98-99

「池の井」「馬場の井」「亀井の井」「明神の井」「滝の井」「東石町の井」「天女水」の7か所を挙げ、「嘶の清水」が入ることもあるとの説明があります。

・『下野伝説集 追分の宿 改訂増補版』(小林友雄/著 月刊さつき研究社 1976)p122-124

 「虹の井」「馬場の井」「鏡の井」「亀井の水」「明神の井」「滝の水」「天女水」を挙げ、名前の由来や場所の説明があります。

・『あの町この街 第1-14号』(随想舎/編、発行 1986)※合冊製本

 各号、一枚もののリーフレットです。「うつのみや史跡・文化財探訪」というタイトルの地図が各号に掲載されており、この中に七水の一部の所在地が示されています。


https://bunbun.hatenablog.com/entry/utsukagami 【鏡ヶ池跡(栃木県宇都宮)】 より

宇都宮中心街にあたる場所は、かつては湧水が豊富な湿地帯で池辺郷(いけのべごう)と呼ばれるほどだった。宇都宮七水という名泉のなかには、現役の酒蔵として活用されているものもあり、いつか七水めぐりもしてみたい。

一方、源義経の愛人・静御前にまつわる伝説も残る鏡ヶ池だが、現在はMEGAドンキの建物になっており、完全にロストレイク(消失湖)となっている。そのよすがはメガドンキ駐輪場のかたわらの石碑に刻まれるのみ。また、ドンキ屋上はフットサル場になっているが、その片隅にも池の碑があるという話。

国立国会図書館レファレンス共同データベースに、鏡ヶ池について栃木県立図書館からの以下の回答が掲載されていた。

(※以下、国立国会図書館レファレンス共同データベースより引用)

「鏡が池」に関する静御前の伝承が記載されていた資料は、以下のとおりです。

・『宇都宮の民話』(宇都宮市教育委員会事務局社会教育課/編 宇都宮市教育委員会 1983)

p23「鏡ヶ池」に、静御前の伝承が収録されています。また、p24「亀井の水」にも、静御前の伝承があります。※参考文献の記載あり

・『しもつけの伝説 第6集』(栃木県連合教育会/編、発行1981)

 「静御前」に関する伝承は、「亀井の水」(p15-18)と「静桜」(p18-23)の2点収録されており、このうち「静桜」に「鏡が池」について記載されています。

・『宇都宮の歴史 増補新版』(徳田浩淳/著 落合書店 1979)

 p309-310に「静御前と鏡ガ池」の伝承が収録されています。

・田代黒瀧/著「宇都宮における静御膳の伝説」(『下野史談 第60号』(下野史談会/編、発行 1986)p13-16所収)

 「鏡が池」の伝承も含め、宇都宮に伝わる静御前の伝承が物語風に紹介されています。

 以下の資料には「鏡が池」に関する記述がありますが、静御前の伝承には言及されていません。

・『うつのみやの歴史再発見 日曜散歩』(塙静夫/著 随想舎 1994)

「「鏡が池」の碑」(p19-20)の記述がありますが、静御前に関する伝承は収録されていませんでした。なお、「七水の一つ 亀井の水」(p51-53)には、静御前の伝承が収録されています。

・『馬場町ものがたり なつかしのバンバと未来への夜明け』(宇都宮市馬場町町会誌発行委員会/編 宇都宮市馬場町町会 1981)

 佐藤茂/著「鏡が池の由来」(p36-37)に、「馬場鉄砲曲師三町のあたり」にあったという沼について記載されています。

なお、上記資料で名前の挙がった「亀井の水」ですが、江戸時代には「七水」と呼ばれる湧水の名所の一つでした。この「七水」については、以下の資料等に記載があります。

・『栃木縣史 第11巻 史蹟名勝編』(田代善吉/著 臨川書店 1972)p189-191

 ※下野史談会 1938刊の復刻版

・『宇都宮の歴史 増補新版』(徳田浩淳/著 落合書店 1979)p338

・『下野伝説集 追分の宿 改訂増補版』(小林友雄/著 月刊さつき研究社 1976)p122-124

 また、『しもつけの伝説 第8集』(栃木県連合教育会/編、発行 1984)p129-142にも「鏡が池」の伝承が収録されていますが、「那須郡小川町」(現・那珂川町)にある池に関するもので、上記の「鏡が池」とは違うものです。

(「レファレンス共同データベース」より引用)