観蓮節

https://kazsan.blog.ss-blog.jp/2013-08-10  【蓮の花あれこれvol3 岡山後楽園の蓮の花 [折々散歩]】 より

今年の7月7日付「山陽新聞」に、こんな記事がありました。

岡山・後楽園で観蓮節 2千人が早朝から開花観賞

 岡山市の後楽園で7日、夏の風物詩「観蓮節(かんれんせつ)」があった。午前4時の開園から約2千人が訪れ、鮮やかなハスが花開く様子を楽しんだ。

 園中央の井田(せいでん)では、群生する古代ハス「大賀ハス」のつぼみが徐々に膨らみ、かれんなピンクの花が開花。園西部の花葉(かよう)の池でも、「一天四海(いってんしかい)」が直径約30センチの白い大輪を咲かせた。入園者は琴や尺八の調べを聞きながら、しっとりとした風情を堪能していた。

 この日は暑さが本格化するとされる二十四節気の「小暑」で、岡山市の最低気温は24・6度と蒸し暑い朝となった。(中略)

 観蓮節は岡山市出身の植物学者・故大賀一郎博士が弥生時代の地層から種子を発見、開花させた大賀ハスの寄贈を機に1956年から毎年開催。同園によると、見頃は今月中旬まで。

蓮の花は早朝に咲き、開花の時「ポン」と音を立てると、巷間に言い伝えられます。

子規の句に

蓮開く音聞く人か朝まだき  

朝風にぱくりぱくりと蓮開く 

等があり、この音を聞くと悟りが開けるとも言われます。

 この開花音、真否を巡っては古くから論議のあるところですが、「ハス博士」として知られる大賀一郎氏は、大賀ハスの開花時の振動を500倍に増幅して測定したところ、花弁の擦れ合うごくわずかな振動を確認したのみで、「ハスの開花音として認識された音は、鯉の口がパクパクする音や魚やカエルの跳ねる音ではないか」と述べておられる由。

 後楽園観蓮節で、開花音を聞いた方があるかないか、確かではありませんが、カメラの砲列に囲まれて、ハスも恥ずかしくて頬を染めているのではありますまいか?恥ずかしがり屋の私は、できるだけ人気のない時を狙って、「盗撮」もどきの落ち着きのなさで、こっそり何枚か写した、去年の写真がこれです。今年はまだその機会がありませんので、参考までにUPしておきます。

いずれも古代ハス(大賀ハス)のつもりで写したのですが、どうでしょうか?

http://koyomi.vis.ne.jp/doc/mlwa/201107240.htm 【観蓮節】

その昔の中国(まだ太陰太陽暦、いわゆる旧暦が使われていた頃の)では、六月二十四日は観蓮節(かんれんせつ)と呼ばれ、蓮の花が開く様を眺める観蓮会が開かれたそうです。この中国の風流な行事は、江戸時代の儒学者たちによって日本にも紹介されて、上野の不忍池催されたことが有っそうです。現在でも全国の蓮の名所ではこの観蓮節の日付の近辺・・・旧暦の日付だったり、旧暦の6/24をそのまま新暦の6/24としたり、月遅れの7/24だったり、あるいはこうした日付に近い週末等々・・・に観蓮会が開かれることが多いようです。お近くに蓮の名所と呼ばれるようなところが有れば、観蓮会が開かれているかどうか調べてみるのもよいかも。まあ、そうした特別な会、特別な場所でなくともこの時期は蓮の花の咲く時期ですから、ご自分であの大きな葉っぱを目印に蓮の在処を見つければ、蓮の花を楽しむことは出来るはずです。

早起きして、蓮の葉に朝露が輝く頃に自分だけの観連会と洒落てみるのも楽しいと思います。

◇古代から蘇ったハス

日本の蓮といえば、大賀ハスの名前を思い出します。大賀ハスは1951年にハスの研究者であった大賀一郎博士が千葉県千葉市検見川の落合遺跡(縄文時代の遺跡)からハスの実 3つを発掘し、この2000年以上前の蓮の実の 1つが翌年見事に発芽し、花を咲かせた(1952/07/18開花)もの。

ちなみに、同遺跡から発見された古代の丸木船の木は放射性炭素年代測定の結果、3000年以上前に生きていた木であることがわかっています。ハス自体の年代はというと発芽実験のため 3つとも使われたため測定されておらず、はっきりとはわかっていないそうですが、丸木船の木から1000年後と考えても、2000年々以上昔、弥生時代以前のハスであることは間違い有りません。

一粒の実から芽を出し花開いた大賀ハスですが、現在ではその子孫が全国各地(海外も含め)で栽培されています。調べてみたら皆さんのお近くでも案外簡単に、この古代の蓮の花を楽しむことの出来るところが見つかるかもしれませんね。昔々の中国から伝わった観蓮節の日に、もっともっと古い時代に日本の地で花を咲かせていた蓮の子孫の花で観蓮会なんて出来たら、時を超えた夢を楽しめる気がしませんか?