https://www.tfm.co.jp/garage/detail.php?id=344 【あでやかな「朝顔」で日本の夏を彩ろう!】 より
第326話 朝顔それでは山猫冒険団の夏休みの課題を発表します。今年の課題は「朝顔の観察」です! シンイチくん、薫くん、役所くん、みんなちゃんと課題を……えっ、俺も? なんで宇宙人の俺がそんなことを。じゃあ定点カメラ40日分を3分間で超速再生するおもしろ映像にしようかな。その程度は地球人のユーチューバーでも撮れるか。それなら今日は古代から《朝顔》の歴史を辿るびっくり映像を、便利カーで撮りに行くぞ!
朝顔の原産地は諸説あってな、ヒマラヤから中国にかけての中央アジアとか、もっと暑い熱帯アジアだとか、中には中南米の熱帯地域なんて説もある。まあ、最終的に日本へと伝わったのは中国からなので、そこから話を始めよう。中国では古来から朝顔の種を貴重な漢方薬「牽牛子(けんごし)」として利用してきた。牛と交換するくらい値段が高いという意味の名前だから、その貴重さが窺われるだろう。
その朝顔を日本へ持ち帰ったのは奈良時代末期の遣唐使だ。ところが不思議なことに、奈良時代の初期に山上憶良が詠んだ和歌の中に朝顔が登場している。なぜ中国から伝来するよりも前に、朝顔を詠んだ歌が日本で作られたのか。それは宇宙人の俺による陰謀……ではなく、この頃は朝に咲く花全般を朝顔と呼んでいたんだな。山上憶良が詠んだのは桔梗のことだろうと考えられている。
中国から日本へ伝わった牽牛子は、やがて朝顔と呼ばれるようになった。そして江戸時代になると園芸が大ブームになって、朝顔は薬としてよりも観賞用の花として人気になり、多種多様な品種が開発されていく。その品種改良の技法があまりにしっかりとしていたことから「江戸時代の人は遺伝学の基礎であるメンデルの法則を経験的に知っていたとしか思えない」という声もあるくらいだ。
その江戸時代以降、日本では朝顔が夏の風物詩としてすっかり定着した。最近はグリーンカーテンを作る時も、朝顔が定番のひとつになっているな。晴れた夏の朝、庭やベランダの朝顔に水をやるのは気持ちの良いもんだ。今日は朝顔の専門家に会って、どんな品種があるのか、どうやって育てれば良いのか、詳しい話を聞いてみよう。そして俺は遺伝子操作で3mくらいある巨大朝顔の衝撃映像でも撮ってみるかな。Here we go!
https://www.uchidawakanyaku.co.jp/tamatebako/shoyaku_s.html?page=107 【 【牽牛子(ケンゴシ)】 より
基源:アサガオPharbitis nil Choisy (ヒルガオ科Convolvulaceae)の種子。
牽牛子は『名医別録』の下品に,「味苦寒,有毒。気を下し,脚満,水腫を療治し,風毒を除き,小便を利す。」と収載されました。名前の由来について陶弘景は,「この薬は農民の間で使用が始まったもので,人々はこの薬を交易するために牛を牽いて出かけたので牽牛子というのだ」と述べています。
現在,牽牛子の原植物としてアサガオを当てるのが一般的ですが,陶弘景は「花の形は扁豆のようで,黄色く,子は小さな房を作る」と記しており,アサガオの形態とは異なる植物を示しています。しかし,『新修本草』では,「花はヒルガオに似ており,碧色で,黄色ではなく扁豆にも似ていない。人々は原植物を秘密にしていて,陶氏は実物を見ることなく誤った情報を書き広めたのだ」としています。『開宝本草』では加えて蔓性であること,子には黄色い殻が有り,実は黒いことなどが記され,さらに『図経本草』では,「葉は三尖角で,8月に結実し毬のように白皮に包まれ,中には4〜5個の子があり,蕎麦大で,白黒の二種がある」と記されており,牽牛子の原植物がアサガオであったことは間違いなさそうです。アサガオは,熱帯アジア原産の植物で,李時珍は「牽牛は宋以後に北方人の間で常にその快速なる一時の効力を好んで下剤として用いられるようになった----東漢の時代にはこの薬はまだ本草書の中に編入されていなかったので,仲景も知らなかったのだ」と述べており,陶弘景の時代になってもまだ原植物が中国全土には広まっていなかったものと思われます。
現代中医学では,激しい下痢を引き起こして大量の水を排出させる峻下逐水薬に分類されます。ただ作用が非常に激しいために古来使いにくい生薬であったようです。『本草衍義』には「牽牛丸を服すれば大腸の風秘壅結を治するが,久しく服してはならない。やはり脾や腎の気を失わせるからだ」とあり,また李時珍も「牽牛は,水気が肺にあって喘満し腫脹し下焦が鬱遏して腰や背が脹重するものや,大腸の風秘気秘を治するに卓然たる殊功のあるものだ。しかし,ただ病が血分にあるものや,脾や胃が虚弱して痞満するものには一時の快効だけをとってはならないのだ。また常服すると知らぬ内に元気を損なうものである」とするなど,多くの書物で安易な使用を戒めています。
また,牽牛子には白・黒2種のあることが知られ,朱震亨は「牽牛は火に属して善く走るものだが,黒い色は水に属し,白い色は金に属するものであって,病形と証とともに実して脹満せず,大便の秘せぬものでないかぎりは軽々しく用いていはいけない。その駆逐する作用でもって虚を惹起する。先哲は深く戒めている」と,ここでも牽牛子の安易な使用を戒めていますが,古来白・黒の使い分けはそれほど厳密ではなかったようで,昨今の中医学でも区別することなく使用しています。
「あさがおにつるべとられてもらい水」。夏の風物詩として馴染みの深いアサガオは,奈良時代に薬用を目的にわが国にもたらされたとされますが,移入後はもっぱらその花が愛でられ,江戸時代には鑑賞用に多くの品種が開発されました。薬物としては利用しにくいアサガオですが,花の美しさゆえに現代にまで伝えられたと言うことでしょうか.今では家庭薬に配合されるほかはあまり利用されません】
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