リフレーミングの種類と事例

https://life-and-mind.com/reframing-effects-3789 【【完全理解】一瞬で世界を変えるリフレーミングの効果と活用事例】  より

リフレーミングの種類と事例

行き詰った状態を理想に向かえる状態に変えるリフレーミングの種類は大きく分けると2つです。一つは「状況のリフレーミング」。もう一つは「内容のリフレーミング」です。それぞれどのような枠組みか、その事例を踏まえてお伝えします。

2-1.状況のリフレーミング

「状況のリフレーミング」とは、その人や物事は、「他のどのような状況ならば役立つか?」と、状況や背景の枠組みを見直すことです。

例えば電車の中で大きな声で話す人は、困った迷惑な人ですが、事故や災害といった緊急時には、その大きな声は役に立ちます。

重箱の隅をつつくような人とのおしゃべりは、気が引けて疲れてしまいますが、経理といった数字を扱う仕事、また警察や医者といった細かい点を見逃せない仕事においては重要な資質になっていきます。

このようにその状況においては機能しなくても、他の状況においては、役立つ資質であり、リソース(資源)になります。

物でいえば、強力な接着剤の開発に莫大な資金と時間を投資して失敗した液体を新しい文具にして普及したのが、私たちが使っている「付箋」です。

「くっついてはがれる、またくっついてはがれる」という事実に目を向け、接着剤の開発としては失敗しましたが、他の物として成功した事例です。また風邪薬としては、うまくいかなかった素材に少し加工してできたのが、コカ・コーラです。

こういった事例はいくつもありますが、いずれの例もこの「状況のリフレーミング」になります。

うまくいっていない状況や物や人を見たとき、

「これは他のどこで役立つだろうか、どこで機能するだろうか」と考えることが状況のリフレーミングの基本です。

2-2.内容のリフレーミング

内容のリフレーミングとは、意味のリフレーミングとも呼ばれ、

「その物事には他にどんな意味があるだろうか?」

「どんなプラスの価値があるだろうか?」

といった具合にその内容(意味)をつくる枠組みを見直すものです。

例えばリストラにあって職を失った場合、評価をされていなかったショックと同時に収入が絶たれた不安を感じてしまうのは当然です。

もちろん普通に考えればよい出来事ではありませんが、状況は同じでも何らかの意味や意義を見出すことはできます。例えば「職を失ってしまったということは」、

本当にやりたかった仕事を見つける機会

自分の才能を生かす機会

退職金と自分の時間が手に入った機会

嫌いな上司の指示から解放される機会

自分の意志で生きていけるスタート

と、いくつかの肯定的な機会としての意味が見出せます。

私たちは、「自分はダメだ」と、何か行き詰ってしまう状態にいるとき、人は無意識に何かを終わったように「一区切りの出来事」として評価や判断をしています。

「過程の一部」という枠組みではなかなか見ていません。つまり移行期間がある認識がないのです。

知ってのとおり、偉人や発明家や成功者と呼ばれる人たちは、人一倍の逆境や挫折や失敗を経験していますが、その都度、そこから学べるものは何か 何をすればうまくいくのかと成長するための学びの機会にしています。

「人生は、いいこともあれば悪いこともある」

これはあなた自身も経験していることだと思いますが、私たちの時間は流動的で固まることができません。

すべての物事は中立で、未来に向かう過程の一部という枠組みを持てば、失敗や挫折という状況は、何かを学ぶ機会であり、より成長できる始まりとして私たちは必要な何かに気づく機会となります。

「何かがうまくいかないことを知る機会」、「まだ気づいていない重要な意味に気づく機会」、「何が大切なのかを学ぶ機会」、そして「何をやめる、また始める機会」、こういった認識の枠組みに変えることが、内容のリフレーミングの基本です。

3.リフレーミングを実践する具体的な6つの方法

ここでは、あなた自身であれ相手であれ、行き詰ったフレームをどのようにリフレーミングしていくか、その具体的な切り口を6つご紹介しています。

3-1.言葉の定義をリフレーミングする

このリフレーミングは、言葉の定義や意味を変えて、行き詰った状態を崩し、前に進める状態をつくるための切り口です。

例えば、頑固という言葉があります。

「頭が固い」「融通が利かない」といった意味を表しますが、一方では「自分の意見をもっている」ことや「妥協なくいい商品やサービスを提供する」また上司部下という立場を恐れず「主張できる」といった側面をもつ言葉です。

ですから、例えばある人が、「自分は頑固で、融通が利かない」というフレームにいたとしたら、次のような会話でリフレーミングすることができます。

相手「自分は頑固で融通が利かないんです」

あなた「頑固というのは、妥協をゆるさず、物事に対して主張をもつことを意味するからね。いい仕事をするために大切な要素だよ」

といったリフレーミングの会話ができます。

また「飽きっぽい」という言葉の例ですと、以下のような会話が可能です。

相手「自分は飽きっぽいんですよね」

あなた「飽きっぽいというのは、すぐ次に動けるということだからね。決断力や行動力がある証だよ。情報感度が高いからいろんな情報が入ってきている証拠だね」

というリフレーミングの会話ができるようになります。

ポイントは、X=Y(XイコールY)、またはX⇒Y(XだからY)という形をとると効果的です。

X=Yとは、「〇〇である(ということは)、☆☆ということだ」という表現です。

例をご紹介します。

【失敗してしまったと悔やんで落ち込んでいる例】

失敗した(ということは)、何か行動を起こしたという証だね。最悪の失敗は何もしなかったことだからね。あなたが何かにチャレンジした証拠だね。

【仕事の同期に劣等感を感じている例】

劣等感を持つ(ということは)、理想と現実のギャップが把握できている証拠だね。

そこを目指したいという成長意欲がないと感じない気持ちだからね。

といった型、つまりX=Yの形です。

X⇒Yというのは、「〇〇だから☆☆だ」また「〇〇だからこそ☆☆だ」という表現です。

先ほどの例をつかってお伝えすると以下のようになります。

【失敗してしまったと悔やんで落ち込んでいる例】

失敗した(から)(からこそ)、学べるものがあるはずだ。成功体験より失敗体験から学ぶことのほうが、はるかに価値があるからね。

【仕事の同期に劣等感を感じている例】

劣等感がある(から)(からこそ)人は成長できるんだよ。アドラーも言っているからね。

というふうに活用します。

以下に言葉の例を挙げておきますので、あなたのリフレーミングの参考にしてください。

【のろま】 

慎重に物事をすすめられる 周囲に安心感を与え、癒される存在

【自主性、自発性がない】

他人のアイデアや思考を尊重できる 名サポーター 人の話や意見をきける

【無神経】

ズバリ必要なことを言ってくれる。思考や思い込みを再構築させてくれる

【意志が弱い】

状況を把握し臨機応変に対応できる視点をもつ

【怒りっぽい】

感情豊か、まっすぐで素直、人間味がある、正直、嘘をつかない人

【自信がない】

こだわりなく物事を中立に見ることができる 多くのことを学べる視野がある

【頑固】

上司にもしっかり主張できる代弁者 とことんやりきる責任感をもつ

【あきっぽい】

決断してすぐ行動できる 見極めがはやい スタートダッシュの瞬発力がすごい!

※その特徴や行動を音声がない単なる動画のように頭で描写し、その映像を観察して、異なる言い回しで表現するとリフレーミングしやすくなります。

3-2.アズイフ(As If)フレームで、リフレーミングする

アズイフフレームとは、「もし、できたとしたら」「例えば〇〇だったら」「仮に〇〇をやったら」という問いで、行き詰っている状態から、可能性や発想を広げるフレームに移行するやり方です。

ある仕事が滞っているとき、

「もし、今日中にデキるとしたらどんな行動が必要だろう」

「例えば仕事がデキるあの先輩だったらどう処理していくだろう」

「仮に定時にこの仕事を終えたら、他の時間でどんなことができるだろう」

といった問いかけをします。

具体的には以下のような質問を活用してください。

もしできたとしたら、どんなことが起こるのか

もしできたかのように振舞ったら、どんな気持ちが出て、どんな発想が出てくるか

仮にそれができたとしたら、どんな行動ができるかをしているのか

仮に尊敬するあの上司ならこの状況をどう乗り越えられるだろうか

例えばイチローがこの状況ならどんなふうに考えるだろうか

例えば3日でこの問題が解決できるとしたら、何ができるか。最初の一歩は何か

立場が変わると、また同じ景色でも違うものに見えてきます。職場であれば、マネジャーと新入社員の視点は当然異なり、仕事の意義や責任感など、一つ一つの業務や打ち合わせ、商談がまったく異なります。

もし、上司の立場から見るとこの行動はどう見えるだろうか?

もし、部下や後輩の視点から見るとこの行動はどう映るだろうか?

もし、お客様や取引先の立場だったら、どんな反応が起きるだろうか?

同じ仕事でも、経営陣の立場、中間管理職の立場、平社員、新人とその人の立場で、意味が異なってくるようなもので、立場を変えることで、その物事を多面的に見ることができます。

実はこういったリフレーミングは、私たちが無意識に使っています。この問いを自分に、そして大切な周囲の人に「意識して活用していく」ことがポイントです。

行き詰ったままの人は、この問いを悪いほうに無意識に使っています。

「もし、失敗したらどうなるだろう?」

「もし、できなかったら、どうなるだろう?」といった問いです。

想像するとわかりますが、あまりいいフレームではありません。

「もし」「例えば」「仮に」といったアズイフフレームを意識的に建設的に活用してください。

3-3.時間枠でリフレーミングする

これは2-2の「内容のリフレーミング」でご紹介している内容に時間枠というフレームをもちいて、異なる意味づけを見出すためリフレーミングの方法です。

時間軸のフレームは二つです。一つは「未来から見た今のリフレーミング」。もう一つは「今でよかったというリフレーム」です。

■【未来から見た今のリフレーミング】

内容のリフレーミングのところでお伝えしましたが、私たちが行き詰った状態にいるとき、

その物事は「過程の一部」という認識がありません。

このやり方は、時間軸が固定されているフレームから未来にずらした質問でリフレーミングしていく切り口です。

例えば、何かを失敗したときに以下のような質問を問いかけます。

未来に活きてくるための学びの機会だとしたら、学べるものは何か

このことはより成長するための何を始めていく機会だろうか

将来のために何かをやめる、何かを手放す機会だとしたら、それは何か

自分のキャリアに活かすために「もしやり直せるとしたら、何をするか?」

10年先から見るとこのことはどんなふうに見えるだろうか

成長や出世を果たした自分から見たとき、今の自分にどんなアドバイスができるか

※3−2のアズイフフレームと似ているように感じる方もいるかもしれませんが、ここでは時間枠というフレームからの移行がこのやり方の狙いになります。

■【「今でよかった」のリフレーミング】

これは起きた物事が、未来ではなく、「今起きたほうがよかった」と思えるリフレーミングです。

例えば印刷したイベントのチラシの日程が配布日前日に誤植が見つかったとします。担当者はせっかく仕上げたものが使えないと嘆きそうな気持になります。こういったときに、

「今日発見できてよかったね。当日だと大変なとこだったよ」とより膨らんでしまう大きな悲劇から回避できたというフレームに移行することができます。

このほか、職場の新人がトラブルに巻き込まれて落ち込んでいるとき、

「入社して早めにこのことが経験できてよかったな。これからのキャリアに活かせるぞ」という言葉をつかったり、

子どもがテストで悪い点数をとって落ち込んでいるとき、

「本番の試験でなくてよかった。次に向けて準備していこう」

と、今起きたことが、とてもラッキーで恵まれていることのようなフレームで伝えていくこともできます。

「今でよかった、そして未来を考えよう」、基本としてはこのようなフレームに移行することが目的となります。

3-4.「Want」でリフレーミングする

これはとてもシンプルです。

行き詰っている状態に対して、「その代わりにどうしたい?」と問いかけます。

「こんな状況は嫌だ!」「なんでこうなっちゃうの!」というとき、使う言葉は、「その代わりにどうしたい?」という問いです。「どうしたい?」と問いかけると、自然と現状を打破するフレームに移行できます。

例えば、相手が

「あの人にあんなこと言われたくない!」

そんな状態にいるとき、あなたは、

「そのことを言われる代わりにどう言われたい?」

と問いかけます。

すると、

相手「ほめてもらいたい」

あなた「そうか、じゃそのために何ができそうか考えていこう」

というふうに未来に向けて思考を働かせるフレームが生まれてきます。

また、

相手が緊張や不安の状態にいるときでしたら、

相手「明日のプレゼン緊張するなぁ、不安だなぁ。」

あなた「緊張や不安の代わりに感じたい気持ちは?」

といった質問で、Wantのフレームに移行していきます。

「どうしたい?」という問いは、人の思考の世界を変えていきます。

あなた自身ももちろん活用できます。不安や恐れといった状態のとき、人は多くの場合、

「うわぁ、どうしよう〜」という言葉流れています。

「うわぁ、どうしよう〜、の代わりにどうしたい?」という言葉を用いることで、

感情を整え、視野や思考に変化を与えることができます。

3-5.メタファーでリフレーミングする

メタファー(metaphor)とはギリシャ語が語源となる言葉で、「それを超えて」というメタ(meta)、「運ぶ」というファー(phor)という意味をもった言葉です。

つまり「白い肌」を「雪のような肌」と表す隠喩、また誰かの名言や格言、そして物語などを通して、伝えたいことを間接的に伝える表現方法のことです。

例えば、部下がセールスで失敗したとき、その人が野球のイチローが好きであれば、

「イチローの言葉を思い出したけど、イチローは4,000本安打を達成したときに『4,000本の達成の裏には、8000回以上悔しい思いがある。大事なことはそのことに向き合うこと。誇れるとしたら記録よりそこです』と言ってたね」

といった言葉をもちいて、失敗を積み重ねて前に進むことが重要であるフレームに

移行していきます。

また、あなたの経験そのものも役に立ちます。不調の時にどのように乗り越えたのか、何がきっかけで、前に進むことができたのか、あなたの物語も相手にとってはメタファーです。

自分のことを話すときは、「私の場合だけど」という言葉を用いてください。この言葉がないままだと、相手は「あなたと私は違う」という考えを強化してアドバイスにならない場合があります。

できれば、その相手が尊敬する人であったり、憧れている人の言葉や物語が効果的です。

3-6.解体してリフレーミングする

先に紹介した赤ちゃんの写真のように焦点を変えるとその情報が持つ意味が変わってきます。ここではその枠組みを解体するリフレーミングのやり方です。

例えば、相手が「自分には能力がない」という枠組みで行き詰っているとしたら、

解体して焦点を変化させていきます。具体的には以下のような質問をしていきます。

具体的にどんな能力がないと思っているの?

特にどんな場面で能力がないと思うの?

どれぐらい、ないの?

どれぐらいだったらあるの?

何回経験したの?

いつも、なの? 自信があったことは一度もないの?

誰が決めたの?

誰と比べてないの?

何と比べてないの?

どうやって能力がないとわかるの?

という具合にその枠組みを徹底的に細かく確認していきます。

例えば、人が「いろいろやることがあって大変!」とか、「あの人はいつも私に冷たい!」というとき、つまり行き詰った状態ですが、これを一つ一つ解体し、紐解いていくことでリフレーミングを行います。

例えば「いろいろやることがあって大変!」というケースでしたら、

「いろいろって、具体的に何?」「いくつあるの?」とか聞いてみたり、「どれぐらいかかるの?」と質問していくと、頭の中が整理されて、意外と1個か2個のことだったり、思ったより早く片づけることができるようになったりします。

「あの人はいつも私に冷たい!」というケースでしたら、

「いつもそうなの?」「週に何日ぐらい?」「一日に時間でいうとどれぐらい?」「どんな言動で冷たいと思わせるの?」と質問していくと、毎日とかではなく、週に一回で、数分だったりします。

このように細かく、具体的に、詳細にわたってその人のフレームを解体していくと、思い込みだったことに気づきます。

「私の思い込みだった」というフレームに入ったときに、人は健全な状態になれます。

実際に人に活用するときは、「変な質問に思われるかもしれないけど、少し考えてみて」とか、「正確に知りたいから、もう少し詳しく教えてください」といった前置きをすると、より効果的です。

※NLPではこういった質問の手法をメタモデルと呼んでいます。