場面別リフレーミングの活用事例

https://life-and-mind.com/reframing-effects-3789 【【完全理解】一瞬で世界を変えるリフレーミングの効果と活用事例】  より

4.場面別リフレーミングの活用事例

これまでは切り口をご紹介してきましたが、ここでは場面別でどのようにリフレーミングができるか、その例をご紹介しています。あなただけでなく、周囲の人にも活用してください。

4-1.チャレンジして失敗したとき

何かを目指しチャレンジしたとき、失敗すれば、誰もが落ち込んでしまうものですが、

偉人や発明家、成功者といった何かを成し遂げた人は、この状況を必ず体験しています。

言い方を変えると、うまくいく人が「必ず体験するプロセス」です。つまり、順調なことを意味します。

必ずチャレンジする何かがあって、その偉業や目標は達成されています。そこはきちんと評価していくことも大事な視点です。

そんな前提で以下のようなリフレーミングの言葉を選択肢として活用してください。

「やっている」「行動している」証拠だね。何かを学ぶ成長の機会だね

何もしなかった後悔より、やった後悔のほうが価値があるからね

勝利の女神が試してるね。これであきらめるのか、続けるのかを、そのテストだよ

4-2.否定や批判を受けたとき

心理学NLPの便利な考え方の一つに「失敗はない、あるのはフィードバックだけである」

という考え方があります。

その前提で「否定」や「批判」を考えてみると、「それではないよ、他の方法だよ」というメッセージとして生かすことができます。

そんな前提で以下のようなリフレーミングの言葉を活用してください。

違う視点やアプローチを増やす機会だね

その人の立場になってみるチャンスだね。

本当に求められているもの深堀する時期だね

4-3.新しい仕事を任されて不安

新しい仕事やプロジェクトを任されると不安になるケースもありますが、私たちは何も知らに状態で赤ちゃんとして生まれ、さまざまな学習をして、知っていること、できていることが数多くあります。

「体験して学ぶ」という成長の仕方は、最も効率のよい学び方の一つでもありますので、ある意味、何かを学ぶ機会を周囲が準備してくれた状況でもあるわけです。

その時にわからなくても、時間がたつとその体験、そのあとあとの体験が、点と点で結ばれることがあります。そんな考え方を前提に以下のようなリフレーミングができます。

新しい知識や視点、キャリアを積む機会だね

もし社長だったらこの仕事をどういうふうにやるか考えてみよう

不安の代わりに感じたい気持ちは何? それを手に入れるための一歩を考えよう

4-4.自分はダメ、相手がダメ、という状態に陥ったとき

何かを「ダメ」と判断するとき、その根拠や背景、また比較するものがあいまいになっている場合があります。つまり熟考することなく、反応している状態です。

「解体してリフレーミング」するとこういう場合は効果的で、その判断の基準は何か、具体的な対象な何かをクリアにするだけでも前に進むことはできます。以下のようなリフレーミングも選択肢の一つです。参考にしてください。

具体的にダメと思っているのは何か、考え、行動、価値観、存在、使っている言葉か?

何回やってダメだと決めつけているのか、具体的に数えてみよう。

これを乗り越えたときの自分が、今の自分にアドバイスをくれるとしたらどんなアドバイスだろう?

4-5.上司が厳し過ぎる

部下の立場で、「上司が厳しいな」と思うことは、当然仕事をしていれば経験があることと思います。

上司の立場に立てばわかることですが、あなたに厳しくしているのは、あなたが対応できる見込みがあるからこそ、仕事を増やしたり、指示を細かく出してくれています。

「ブラック企業」という言葉がこれだけ世の中を騒がせていますので、いじめのためにあなたの仕事を増やしたりしても、その上司にとっては一つも得になりません。

経営者の課題の一つに後継者の育成が挙げられますが、ひょっとしたら、あなた自身に的が当たっている場合もあります。

期待しているからこそ厳しくなる、信頼しているからこそあなたに声がかかる、次のポジションを渡したいからこそ、いろんな経験をさせておきたい。「親の心子知らず」と言われますが、この状況は「上司の心部下知らず」でもあります。

そんな前提も含めて、以下のリフレーミングを活用してください。

目に留まっている証だね。どうでもいい部下にはエネルギーを使わないからね

相当期待されているね。信頼の証だよ。あとあと成長や感謝につながる経験になるよ。

なぜ上司が厳しいのか、上司の立場や視点を学ぶ機会。そのことについて上司と真正面から話をする機会だね。

4-6.プレゼンや会議の発表などの緊張やプレッシャーを感じているとき

会議の発表やプレゼンの緊張、またプレッシャーを感じるのはあなただけではありません。

上手な人も最初は、緊張や不安があったわけです。程度の差はあれど、誰もが緊張やプレッシャーを感じるものだとわかると「自分だけではない」という安心感が生まれます。

得意な方は、その緊張やプレッシャーを「準備の鼓動」と表現したり、その状態を「ときめき」と呼んで本番に臨むいい状態に変えていきます。

講演活動を生業にする方にきくと、「いいパフォーマンスを発揮するためには緊張感は不可欠な要素。逆にないとダメ」と言います。なくしたいものではなく、「必要なもの」というフレームも役に立つと思います。

リフレーミングの言い回しとしては以下の通りです。

本気モードになってきた!

相当いい発表をしたい気持ちの表れだね。それだけ、仕事やチーム、そして家族を大事にしているんだね。家族やチームのために頑張っていこう

緊張やプレッシャーの代わりに感じた気持ちは何? そんな気持ちで取り組んだらどんな発表ができるだろうか

4-7.移動中の電車が止まったり、打ち合わせの時間がズレたとき

私たちは無意識で「物事は予定通り進むべきもの」という枠組みをどこかで持っていますが、

実際にはそう出ないことは多く、むしろ、予定通りにいかないことが多い場合もあります。

予定通りに運ばないとそこに苛立ちや失意といった反応が生まれてしまいます。

状況に応じて柔軟に対応できる人、つまりリフレーミングが上手な方は、仕事や人生は「イレギュラーの連続」という前提で、事を進めていきます。

「イレギュラーの連続」「予期せぬことは起こるもの」という前提をもつことで、以下のような発想が生まれます。

それは、「やることがなくなったとき、またできなくなった時は、他の何かをやる機会」という発想です。以下の例を参考にしてください。

本を読んだり、他の仕事をやる時間ができた

ストレッチや運動する時間ができた

もう一度資料をチェックしたほうがいいメッセージかもしれない

5.活用の注意事項とポイント

ここでは人に対してリフレーミングを活用する際に注意しておきたいポイントを3つご紹介しています。リフレーミングの注意事項と言うより、コミュニケーションそのものにおいても重要な項目です。

5-1.ただポジティブなことを言えばいいのではない

リフレーミングは、単純なポジティブ表現とは違います。

震災があると、全国のカウンセラーやボランティアの人とたちが、現地に向かい、被災者の生活のサポートやメンタル的なケアをすることがあります。

このとき、被災者に言ってはならない言葉が紹介されるのですが、その一つにあるのが、

「生きていただけでも、よかったじゃないですか」という言葉です。

これは、リフレーミングの言葉のように聞こえますが、被災にあった方の中には、

「家族が亡くなって自分だけが生き残った。なんで自分だけが生き残ったんだ」また、

「自分だけが生き残ってしまって家族に申し訳ない」という気持ちの方がいます。

その人たちの「気持ち」や「立場」、そして「今」を受け止めることなく、ポジティブなことを伝えても、その言葉は相手を支える言葉になりません。

逆の立場になればわかることですが、あなたが落ち込んでいるとき、ただ上辺だけの言葉をかけられても、いい気持ちはしませんね。

場合によっては、傷口に塩を塗られたような思いをすることもあるわけです。

リフレーミングは、表面的なポジティブな言葉を言えばいいということではありません。

相手の立場に立ち、理解し、共感するところから始まります。

理解や共感のない上辺だけの言葉は、相手をさらに停滞させます。そしてそのことはあなたの価値を下げてしまうことにもつながります。

相手が伝えたい、わかってほしい本当の相手の気持ちは何なのか。

そして、この言葉は今の相手にとって、どんな状態を生みだすのか。

そこがあって、このリフレーミングのアプローチは始まります。

より効果的なリフレーミングは、相手との関係性があって、生み出されるものです。

そしてその関係性は、相手を理解するあなたのマインドやかかわる姿勢にあります。

5-2.相手の今のフレームや言葉を尊重すること

リフレーミングは、人をコントロールすることではありません。人に対して活用する場合、相手の世界を尊重し、その人の成長や物事の改善のために活用するスキルです。

相手への理解がないまま、そして「この人はわかってくれている」というあなたへの信頼や安心感がないまま、上辺だけの会話を進めていても、

私のことを理解してくれていない!

この人、なんにもわかってない!

あなたと私は違う!

といった抵抗や反発を生み出します。

ですから、日頃からその人へ関心をもち、理解していくコミュニケーションを心がけることが重要な鍵となります。

そこで注意したいのが、相手が活用する「言葉」です。

相手が「自分は暗くてつまらない人間だ」というフレームにいた場合、例えば「まじめだね」といった言葉を使ったとします。

ひょっとしたら、相手にとっては「まじめ」という言葉は、非常に不快な意味を持つ言葉だと逆効果です。

「どうせ自分はまじめでつまらない人間だ」という捉え方にもなるわけです。

また個性的な人にその魅力を伝えようとして、「ユニークですね!」という言葉を使ったとき、相手の中では「変り者」「異質」「変人」といった意味として受け取る方もいます。

そうなると逆効果です。

相手が理想の状態や憧れる人や尊敬する人の話をするときに使う言葉は、リフレーミングするときに非常に有効なキーワードになります。

相手の世界観を尊重しながら、そこででてくる言葉を活用しながら、リフレーミングを行ってください。

3章の「メタファーでリフレーミングする」でお伝えした誰かの言葉を用いることなど、特に顕著です。

相手の全く知らない人の言葉を伝えても、影響力はあまりありません。

その人が尊敬している人、憧れている人、良く読むビジネス書の著者や歌のアーティストなどの言葉を用いると効果的です。

「愛のシンボルと呼ばれるマザーテレサは次のように言っています」、

といってリフレーミングする何かを矢沢永吉ファンに伝えるよりは、

こういう場合はやはり、相手が敬愛する永ちゃんの言葉で語っていったほうが効果的です。

リフレーミングは、相手の今のフレームを尊重すること、そして言葉を尊重すること、それが重要な鍵です。

5-3.バックトラッキングを加えてリフレーミングする

ここでは5−1、5−2を踏まえて、ではどのようにすると効果的なリフレーミングができるのかをお伝えします。

それは公式であらわすと以下のようになります。

【相手の言葉(バックトラッキング)+リフレーミングの言葉=

よりよい効果的なフレーミング】

バックトラッキングとは、人間関係に必要なラポールと呼ばれる相手との信頼関係を築く話の聴き方のことです。

一言でお伝えすると、相手が発した言葉を繰り返して、会話をすすめていく聴き方の技法で、日本のカウンセリングの世界では「オウム返し」と言われています。

簡単な例でお伝えすると以下のようになります。

相手 :「週末にディズニーランドに家族で行ってきたんだよ」

あなた:「ディズニーランド!家族で行ってきたんだ〜」

と、相手が言った言葉を活用して、言葉を返していくコミュニケーションの進め方です。

このバックトラッキングを行うことで、「理解してくれている」、「わかってくれている」、「大切にされている」ということを自然に感じてもらう技法であり、逆にお伝えすると、聴くことをとおして、

「あなたのことを知ろうとしています」

「あなたのことを理解しようとしています」

「あなたのことを知りたいと私は思っています」

といたメッセージを相手の無意識に伝えるコミュニケーション、それがバックトラッキングです。

※バックトラッキングについての詳細はこちらの記事を参照ください。

 評価を高める聴き方の最強スキル!バックトラッキングとは

リフレーミングの話に戻ります。あなたが相手をリフレーミングしたいときには、

このバックトラッキングをしてから、リフレーミングするアプローチを行うと効果的です。

例えば、職場であなたの後輩が仕事で落ち込んでいるときでしたら、

後輩「同期よりも仕事ができなくて・・・、私は劣等感の塊なんです。」

>あなた「同期より仕事ができない、劣等感の塊だと思ってしまうんだね。(間)

劣等感というのは、何かを目指している人が持てる感情だからね。それ具体的にしていこう」

といったことを伝えます。

相手が仕事でミスしたときであれば、

相手 「こんなミスしてしまって。本当にダメな人間なんです」

あなた「こんなミスしてしまって、自分はダメだと思ってるんだね。

それだけ落ち込めるのは、責任をもって仕事をしているからこそ、生まれてくるからね」

と、相手が使った言葉を用いてリフレーミングしていきます。

【相手の言葉(バックトラッキング)+リフレーミングの言葉=

よりよい効果的なフレーミング】

この公式とともに相手を理解していくこと、尊重すること、そして共感して、新たな枠組みの可能性を示してください。

もし、あなたが日頃から相手を理解し、共感しながら、コミュニケーションをとることができれば、ここで学ばれているリフレーミングの切り口や言い回しはより効果的になります。

「相手の枠組みを尊重すること」「相手の言葉を尊重すること」「公式を使うこと」。

活用する際は以上3つのポイントを注意して活用してください。

※参考文献

『リフレーミング―心理的枠組の変換をもたらすもの』リチャード・バンドラー ジョン・グリンダー (著) 星和書店

『魔術の構造』チャード・バンドラー ジョン・グリンダー 亀田ブックサービス

『NLPのすすめ―優れた生き方へ道を開く新しい心理学』ジョセフ・オコナー 、ジョン・セイモア チーム医療

『NLPフレーム・チェンジ 視点が変わる〈リフレーミング〉7つの技術』マイケル・ホール 、ボビー・G・ボーデンハマー 春秋社

6.まとめ

人や物事は中立です。そこにどんなフレーム(枠組み)を用いたかが、私たちの感情や気分、そして思考や行動に影響を与えます。

もし、あなたが行き詰った状態であるとき、また他の人がそんな状態であるときに、今回ご紹介した切り口や質問を問いかけることでリフレーミングすることができます。

うまくいっていない状態やネガティブな状態は、悪いことではなく、今のフレームでは機能しないというフィードバックです。

物事は中立ですので、意識的にフレームを活用し、意味や意義を見出し、より理想の状態に進んでください。

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