https://www.ayurvedalife.jp/constitution_theory_of_ayurveda.aspx より
アーユルヴェーダでは、心に働きかける3つの属性のエネルギー「サットヴァ」「ラジャス」「タマス」の「トリグナ」に対して、身体には「ヴァータ」「ピッタ」「カファ」の3つの性質のエネルギーが働きかけているとされています。
これらのエネルギーは「ドーシャ」と呼ばれ、「不純なもの」「病素」という意味があります。
また「グナ」と同じように、これら3つの「ドーシャ」を総称して「トリドーシャ」と呼んでいます。
あらゆる身体の現象の基礎にはこのドーシャの働きがあるとされ、日々の心身の状態や季節によってかわる体調の変化、また個々人によって差が出ることなど、これらのエネルギーによるものと考えられています。
アーユルヴェーダでは、これらの「ドーシャ」がバランスの取れている状態を健康と位置付け、そのバランスが崩れると健康を損なう状態になると考えます。
各々のドーシャのバランスが保たれた状態において、身体としての構造が適切で、新陳代謝も適当に行われ、体内の循環も活性化され、その状態を身体が健康であるとしています。
これらの心身に働きかけるエネルギーについての考え方は、中国医学における「気」の考え方にも近く、特に「トリドーシャ」の働きはまさに「気」そのものに相当すると考えられます。
「気」の医学では「心の状態が不安定→気の流れが乱れ→肉体のバランスの崩れ(病気の状態)」とされますが、アーユルヴェーダにおいてはより心身相関の重要性が説かれています。
3つのドーシャはそれぞれ次のように構成されています。
風のエネルギー「ヴァータ」は空と風の元素から構成され、軽・冷・乾・粗・動の性質を持ち、肉体の運動、感覚の刺激や神経の伝達、呼吸といった働きを司ります。
火のエネルギー「ピッタ」は火と水の元素から構成され、熱・鋭・流・変・液の性質を持ち、体内における化学変化、食物の消化・吸収、代謝といった働きを司ります。
水のエネルギー「カファ」は水と地の元素から構成され、重・冷・遅・油・緩の性質を持ち、身体に結合エネルギーとして、肉体の構造や体力の維持、同化作用といった働きを司ります。
アーユルヴェーダではこれらのドーシャが身体においてバランスがとれている状態を健康としますが、一方でこのドーシャのバランスが最も良い状態というのは個々人によって異なります。
ドーシャのバランスは生まれもったものであり、この個々人における最適な状態(資質)をプラクリティ(その人自身にとっての本質の意味)と呼んでいます。
この基本的なドーシャ・バランスを意味するプラクリティは、先天的なバース・プラクリティと後天的なボディ・プラクリティの二種類があり、バース・プラクリティは生まれもった資質で変化はしませんが、ボディ・プラクリティは生活における食生活や習慣などの後天的な要因によって変化していきます。
アーユルヴェーダにおいては、現状の体質がボディ・プラクリティによるものとされているのであれば、食事や生活習慣によって他のボディ・プラクリティや本来のバース・プラクリティに「変化」することも可能であると考えられています。
ドーシャは身体全体に働きかけるエネルギーですが、特にそれぞれのドーシャが主として身体の中で存在する位置があります。
ドーシャがアンバランスになることは病気が引き起こされる要因になりますが、ドーシャの集まっている位置を知ることにより、例えば病気の発生している場所から、どのドーシャが大きく乱れているのかを知ることが出来るようになります。
身体において各ドーシャが主に存在する位置は次の通りです。
【カファ・Kapha】
・主な位置 / 胸部。
・詳細 / 咽喉、咽頭、鼻、舌、気管支、関節、脂肪。
【ピッタ・Pitta】
・主な位置 / 臍付近。
・詳細 / 胃腸、小腸、血液、リンパ、肝臓、心臓。
【ヴァータ・Vata】
・主な位置 / 下腹部。
・詳細 / 腸、骨、皮膚、大腿部、循環器系、神経系。
大きくはカファは胸部・ピッタは臍付近・ヴァータは下腹部に分かれますが、各ドーシャはその作用から関係している器官や部位に対しても働きかけます。
また細胞のレベルにおいても、ヴァータは栄養素の運搬を行い、ピッタはそれを代謝する働きを司り、カファは細胞組織そのものとして存在するものとされています。
0コメント