http://sadhana.jp/karada/1100.html より
30】1つのフレーズを1呼吸ずつで唱えて進む祈り
良い正しい姿勢になって、まず、呼吸を整えてみます。
吐く息と共に自分の中の嫌(いや)なもの、否定的なものが吐き出されるように想像してしばらく、丁寧に吐くことを続けます。
その後には、吸う息と共に宇宙に満ちている聖霊の息吹を取り入れているように想像しながら、しばらく丁寧に吸うことを続けます。
次いで、大きく息を吸い、ゆっくりと吐きながら、「私は良い存在として今尊い」と感じながら、自分に愛を送ります。次に、大きくゆっくり息を吐き、ゆっくり目を開けます。
さて、ここで説明しようとするのは、1呼吸で1つのフレーズを唱える唱え方です。
(まず先に、例に用いる「詩篇23」の場合として、その前半部分の図解を示します。)
静かに丁寧に自然な大きさの呼吸をして進みますが、吸う時には、何も唱えず空白とします。吐く時に、一つのフレーズをゆっくり唱えながら、吐くプロセス全体でそのフレーズを唱え、内容も味わいます。(ここで、祈り手の心構えは、次のような方向に向かいます。祈りの世界もまた、「つくるもの」というより「自ずから生まれるもの」。そこで、一言で言える形を大切にし、「いき」に「乗る」または「いき」「宣る」の方向で「いのる」が生まれるようにと願うのです。良い祈りの言葉を借りて、その方向へと向かいます。)
それでは、(この祈り方では、「詩篇」の文はとても相応しいですから)「詩篇23番」を祈ってみます。各行の、左側の空白部で、息を吸います。吸い終わったところで、右側の言葉の部分に移り、ゆっくり吐きながら、その言葉を心を込めて唱えます。そして、唱えながら、その内容を入念に味わいます。
【31】書く祈り(2)(『聖書』を取り上げて)――或る信徒の到達――
※ここには、或る信徒が、自分の祈りの道を切り開くために、工夫してたどり着いた仕方を紹介します。ご本人のことばによる紹介です。――なお、「書く祈り」の(1)は、「他の種々の祈り」コーナーに【16】として掲載しています。
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私は、『聖書』によって祈ろうと望んでも、なかなかうまく祈れませんでした。どうしたら、聖書の内容に親しみ、『聖書』を祈りに生かせるのだろうと、長いこと探し求めていました。
その思いから、聖書のみ言葉を「筆」で書いて行くことを試みました。みことばを、筆ペンで、便せんにゆっくり書いて行きます。
筆で書いてみたら、ゆっくり、そして、集中できるので、ことばと行間に、その場面が立体的に感じ取られて来ました。自分が書いた毛筆の字は、上手ではないけれど親しみ、愛しさがありますから、静かにじっと留まったり、繰り返し読んだりしたくなります。
やり方を工夫しながら、次のような仕方で続けるようになりました。
【A】用意するもの。
(ア)『聖書』(私は『毎日のミサ』を選択の参考にします。)
(イ)筆(私は筆ペンを用います。)
(ウ)用紙(私は便せんを用いています)
です。
【B】手順は、次のようになります。
(1)選んだ聖書箇所を便せんに、ゆっくり丁寧に書き始める。
(2)一行書き終えると、ゆっくり味わいながら、読み返してみる。
(3)ここの段階で、理解し切れない感じの部分(人名や地名も含めて)を、〈別な紙〉に書いてみる。〈別な紙〉に書いたものは、注釈で探したり、何回も読んでその場面を想像してゆく。
(4)そしてゆっくり味わいながら読み返す。
(5)心に響くみことばがあったならさきほどの〈別の紙〉に書いてみる。
(6)2行目に入る。同じようにして続けていく。
(7)最後まで書き終えてまた読み返す。ゆっくりと。それを、何度もする。そうするうちに、さらにその場面、情況、みことばの意味が頭と心に入ってくる。時には色彩さえも浮かんでくる。
【C】最終の段階で。
以上の過程をたどることで、イエス様はじめ登場する人々の様子がだんだんわかってきます。何回も読んだはずなのに今初めて知ったことが出てきます。「へーそうなんだ」と新しい発見の喜びを感じます。そんなとき、イエス様を前よりも近く親しく感じます。そこから、感動のノートも生まれます。みことばで心に一番響いたものを書いておきます。
自分が書いた毛筆の字は、親しみ、愛しさがあります。それを前にして、柔らかくなった心、温かい心で、やがて目を閉じてみことばの全体と、先ほど書いた心に響くことばとを思いめぐらしています。
【32】書く祈り(3)(写経)――仏教の伝統を生かし、「行」の面を重んじて――
「書く祈り」の3つ目の方法として、仏教でいう写経を取り上げます。仏教では、仏教経典(多くの場合、般若心教)を書写することをいいますが、わたしたちはみことば(聖書)を書写します。
従来、『黙想や瞑想、念祷といわれる沈黙の祈りでは、黙想の対象や、知性、意志、記憶、想像、感情を、とのように働かせるかという、もっぱら、「頭」の中の心理分祈がとりあけられてきた』が、これらに対して、この書く祈りは、『頭抜きの瞑想法ということに』なります(引用は、奥村一郎「聖書深読法の生いたち」から)。
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【A】手順
手順として、変更の許されない絶対構成が存在するわけではありませんが、ここには一例を示します。
(1)聖書の個所を選ぶ
よく味わって、肚で感じたいと望む聖書の個所を選ひます。それは、好きな聖書の箇所でも、好きな言葉、句、数節でもかまいません。また、福音書の始めから、順番に章節を決めても良いでしょう。〈今週の聖書朗読〉から、当該日の聖書個所を選ぶのも良いてしょう。
(2)集中できる環境を整える
写経をする机上の整理や身の回りの整頓などをします。そして、静けさの中に身を置きます。
(3)座る
机に聖書とノート(書き写す紙)、筆記用具を置き、机を前にして座ります。椅子に腰掛けても結構ですし、座布に腰掛けても結構です。何れにしろ、腰を立て、背骨を真っ直くにし、力を抜いた姿勢が大切です。
(4)呼吸を調える
座禅の『ム~~』ても、アナパーナでも、自分のやり易い方法で構いません。静かに座り、呼吸を調え心を落ち着かせます。
(5)臨書する
選んだ聖書の箇所を左側に置き、ノートを開き、筆記用具をとり筆写します。上手にしようというのではなく、早くでもなく、丁寧に! ノートには、一行置きに書くと良いかも知れません。
(6)黙読する
自分で書き写したみことばを、ゆっくりと読み味わいます。そして、ここで聖書の霊的なメッセージやインスピレーションが広がるときに、その味わいに十分な時間を充てます。
【B】こころ構え
★書く祈りは「行」です。ですから、姿勢を正し、こころを静め、その中に身を置くことが必要です。
★上手にではなく、早くでもなく、丁寧にします。
★「一点一画、一字一句も疎かにせず、魂を込めて」という気概を持ってします。
★「写経する」というこころ持ちよりも、「させて頂く」というこころ持ちでありたいです。
【C】効用
★落ち着いた、清々しい気持ちになります。「ありがたい」という気持ちから、自然に頭が下がるかも知れません。
★何かしらに「アッ」と気つくことかあります。みことばの意味を考えずに、一字一字に心をこめて筆写しているのに、突然みことばや、その他のことがこころに飛び込んできて、「アッ」と気づかされることかあります。(その際は、その気づきについて、それを味わう十分な時間を持ち、感動とともに味わいを持続させましょう。)
★上記以外で、一般的に、写経による効果として以下のようなことが言われています。
(1)心身の自然な治癒力が向上する。
(2)指先を使うことで、脳を活性化させることかできる。
(3)姿勢がよくなり、心と体が落ち着いてくる。
(4)集中力がついてくる。
(5)忍耐力がついてくる。
(6)イラ立ちを解消し、疲労回復が図れる。
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