クリーンアップメディスンが始まる

http://www.yayamaclinic.com/weblog/detail.php?no=82&key= より

クリーンアップメディスンとはなんだろう

クリーンアップとは野球では、4番打者のこと。クリーンはほとんど日本語となっていて、「清潔な」、「汚染のない」、「正々堂々とした」などの意味があります。そしてクリーンアップで一掃するという意味になります。クリーンアップをメディスンの前につけて、体内の汚染をクリーンにして、自然治癒力、体力、さらには精神力までアップしようとすることが、クリーンアップメディスンの目標となります。

 何をクリーンにする必要性があるのか

自分の体にどのような汚染が蓄積されているのだろうかと考える人はほとんどいません。なぜなら、様々な汚染が原因となって疾患が生じてくることは、概念として知っていても、汚染の原因となる物質やエネルギーをキャッチできる感覚器官が体に備わっていないからです。創造の神がいるとするなら、人類がこれほど自然の中に汚染の原因となる物質やエネルギーを放出し、それが回り回って自らの中にたまりたまっていくことは想定されてなかったのかもしれません。

 しかし、汚染が疾患の原因となること自体は知られています。例えば大気汚染がぜんそくなどの呼吸器疾患の大きな原因となっていることは古くは「四日市喘息」、最近ではPM2.5など概念としては誰でも知っています。しかし、臨床の現場ではほとんど無視されているのです。「なぜだろう」ここに現代医療の現場における大きな問題が内包されているのです。

 医学と医療は違います。しかし一般の人にも医療者にもこのことはあまり意識化されていません。汚染が疾患の原因であり、それを細かく分けると、化学物質、ウイルス、細菌、寄生虫、金属などがあり、これらについては、細菌学、ウイルス学、疫学などの基礎医学で膨大な知識を学習しなくてはいけないのですが、実際の臨床の場でこれを使う機会は、ウイルス学、細菌学以外は全くないのです。つまり、臨床医学の間に大きな断絶があるといえるのです。

「なぜだろう」哲学的に考えてみましょう

哲学とは真理を探求することです。簡単に言うと「なぜなぜ…なるほど…どうする」という人のもつ根本的思考の営みと言えます。これを医学、医療に当てはめて考えると、問題が見えてきます。リウマチという数の多い難病を例に考えてみましょう。

 患者「先生、体のあちこちの関節が痛いんです。時に熱を持って腫れるんです。」

 医師「そうですか。慢性関節リウマチかもしれませんね。調べてみましょう。…検査結果がでました。やはりリウマチでした。」

 患者「そうですか。診断がついたら一安心です。実は痛むところがあちこち移動して、鎮痛剤を服用して一時的によくなっても、また別の部位が痛くなって近くの医者でもはっきりせずに心配していました。」

 医師「リウマチは現在よく効く薬が色々開発されていますので、心配ありませんよ。」

 患者「ありがとうございます。」

 話は続きますが、リウマチの正体について、拙著「リウマチがここまで治った!」より一部わかりやすいたとえ話を引用して説明します。

青年医師の夢

 一人の青年医師がいました。彼は常日頃から、リウマチに苦しむ患者さんたちに重大な責任を感じていました。

「治らないと結婚できません」

「この注射をしていると、妊娠ができません」

「痛みで家事ができず家庭がおかしくなりそうです」

「夫婦で商売していますが、続けられそうもありません」

「薬の副作用で顔がむくんでしまい、外に出られません」

 リウマチ患者さんたちのこんな訴えを聞いているうちに、彼は考え込んでしまいました。症状を抑える薬を使って楽になってもらえるようになったけれど、このままでいいのだろうか。なんとか根本的にリウマチを治し、患者さんたちの日常生活を明るくしてあげたい。根本的に治すために、体の中で何が起きているのか、自分の目で確かめてみたいと思いました。

 リウマチで傷んでいる関節では、リンパ球という本来自分の体を守るべき兵隊たちが自分の体を攻撃している。これは現代医学の常識です。だが、自分の兵隊たちが、なぜ自分の体を攻撃してしまうのか、その理由はまだよくわかっていません。

 どうして、そんな理にかなわないことが起こるのだろうか。青年医師は考え続けているうちに、いつの間にか眠ってしまいました。ふと気がつくと、彼はミクロ人間になって、リウマチ患者さんの体の中に潜り込んでいました。

 しかも、そこはどうやらリウマチの痛みを起こしている関節らしい。目を凝らすと、関節の表面を滑らかに保つ滑膜細胞に、リンパ球の兵隊がびっしりと貼りついて、細胞を殺すTNFという物質を放出しているのが見えます。

 そのせいで滑膜細胞は傷つき、毛細血管からは体液が滲み出している。青年医師はさっそく、指揮をとっている小隊長にこう聞いてみました。

「ちょっと、ちょっと、あなた方はどうして、自分たちが守るはずの味方の細胞を攻撃しているのですか?」

 小隊長が面倒くさそうに答えました。

「こいつらは味方なんかじゃないさ。ほらよく見てみろ。細胞の表面にも内面にも、ヘンなものをくっつけている。こんなものをくっつけているのは味方じゃない証拠だ」

「ヘンなもの?」

 青年医師が聞き返すと、小隊長は黒い小さな粒状の物を彼に示しました。青年医師が拡大鏡で見てみると、どうやら金属イオンのように思われました。小隊長が言うには、何でもこの黒い粒がついている細胞は「敵(異物)とみなし取り除くように」という命令が作戦本部から出ているのだそうです。

 青年医師はリウマチの原因が一つわかったような気がしました。そして「いい機会だから、もっと体の中を探検して、いろいろ調べてみよう」と思いました。

正常な免疫活動を邪魔しているものは何?

 次に青年医師がやってきたところでは、前とは戦いの様子が違っていました。

 ひっきりなしに関節に入り込んでくる細菌の群れを、さっきのリンパ球とは別の好中球、貪食細胞という免疫細胞の兵隊たちが、細菌酵素を噴出したり、飛びかかって大きな口で飲み込んだりして殺している。

 「ああ、これは体にとって正常な防御活動だな」青年医師はそう思いました。ただ、大量に活性酸素が放出され、ここでも滑膜細胞が傷つけられています。

 青年医師は、この軍団の小隊長を見つけて、質問をぶつけてみました。

「お役目、ご苦労さんです。悪い細菌をやっつけるのはわかりますが、滑膜細胞は傷つけられてしまっていますね」

 小隊長は憮然とした表情でこう答えました。

 「この体が、風邪を引いたり、細菌がついた食物を食べると、血液に乗って細菌がウヨウヨやってくるんだ。細胞の外にいる菌はすぐわかるので殺しやすいのだが、遺伝子の中に潜り込むウイルスや忍者のように細胞の中にじっとかくれている細菌はやっつけにくい。全部処理するのは大変なんだ」

 突然、小隊長が小さく叫びました。

「アッ、またかよ。参ったなあ。これをやられると俺たち動けなくなるんだ。細菌やウイルスが勝手にのさばりだしてしまうぞ」

 そこへ兵士たちもやってきて、「あ~あ、これじゃあ応援も呼べないし、武器も使えなくなる。困るなぁ」と口々に嘆いています。

 何が起きたのかと、青年医師が彼らの視線の先を見てみると、薄いスモッグのような物が血液の中を漂っています。

 「あれはいったい何なのですか?」

 「この体の持ち主が薬として取り入れた抗炎症剤やステロイド剤だよ。これをやられると、われわれは元気に動き回れなくなる」

 小隊長は苦りきった顔でこう続けました。

 「もうしばらく我慢していてくれれば、我々が敵を始末できたのに。この体の持ち主は、いつもこうやって邪魔するんだから」

 「なるほど、あなたの気持ちはよくわかりますよ」

 青年医師がうなずくと、小隊長はこんなことを言いだしました。

 「でも、これくらいはまだいいほうなんだ。最近は我々の主力武器であるTNFを完全に無力化してしまう薬ができたらしい。それが体に入ってくると、体の中に潜んでいた結核菌が急に暴れだしたり、遺伝子が傷ついて、がん化し始めた細胞を排除できなくなる恐れがある。そんなことになったら大変だけど、どうやらそのような事態も体の他の部位では起きてきているらしい」

関節細胞がいちばん困っていること

 少しずつ事情が飲み込めてきた青年医師は、リウマチの痛みが指から起こってくることが多いので、今度は指関節に移動してみました。そこは冷え冷えしていて、血液もサラサラ流れていない様子でした。

「なんかここは寒いですね」

 青年医師がそばの関節細胞に声をかけると、こんな答えが返ってきました。

「そうなんだよ。いつも冷えて栄養状態も悪いもんだから、血液に乗って集まってきた細菌やウイルスが居座って困るんだよね」

 別の関節細胞が青年に訴えるようにこう話しかけます。

 「私らは一日中動いて、自分に与えられた役目を全力で果たしているのに、この体の持ち主はメンテナンスをちゃんとしてくれないんです」

 こんな愚痴をこぼすと、そばの関節細胞たちも我が意を得たりとばかり言い出しました。

 「最近、この体はパソコンや携帯を長時間使うものだから、緊張が続いて血液の流れがますます悪くなってさあ。それだけでも困るのに、金属の粒がくっついた細胞には、電波が吸収されてピリピリとすごく気持ちが悪い。あなた、医者だそうですね、それなら帰ってこの体の持ち主にそのことを伝えてくださいよ」

 「私のところは血流が悪くなったせいで、流れてきた化学物質がこびりついて離れないんですよ。化学物質は血液からだけじゃなく、皮膚からも滲み込んでくるんだから、もうたまりませんよ」

 別の細胞も身を乗りだしてきました。

 「こんな機会はめったにないと思うから言っておくけど、われわれ細胞は、悪環境の下でも懸命に働いているんです。なのに、われわれの味方であるはずのリンパ球の兵隊は、ちょっと細胞の顔つきが違うというだけで、われわれを攻撃するんです。これは止めてもらいたい」

 泣かんばかりの訴えは青年医師の心にずしりと響きます。

 「皆さんの気持ちはよ~くわかりました。なんとか私がこの体の持ち主に伝えてみますから、ほかに何か言いたいことがあったら、遠慮なく言ってください」

 「じゃあ、言わせてもらうよ。私はね、外からやってくる金属や細菌、ウイルス、化学物質、電磁波もいやだけどね、いちばん困るのは、実はこの体の持ち主が、自分で作りだす毒素なんだ」

 「それは、どんな毒素ですか?」と青年医師が聞く。

 「アドレナリンとかノルアドレナリンさ。体の持ち主が怒ったり、嫌ったり、イラついたり、過度に緊張したり、その他マイナスの気持ちを抱き続けると、この毒素がどんどん出てくる。この毒素が増えてくると、血流が極端に悪くなって、外敵に抵抗できなくなってしまうんだ」

 兵隊たちや関節細胞の意見をいろいろ聞かされ、青年医師の脳裏には、リウマチと呼ばれている現象の実体がかなり見えてきました。

 「よし!これらの意見を参考に、新しいリウマチの治療法を構築してみよう」…そう思ったとたん、青年医師は目を覚ましました。夢で知った内容は西洋医学の知識に照らしても矛盾はないと思えたのでした。

医学の診断と治療は仮説と検証

リウマチについて「なぜなぜ分析」をしてみました。わかりやすく夢の話にしましたが、本質は間違っていないと考えています。

医学においての診断は、仮設を立てるということです。その仮説を検証することが治療ということになります。そして治療によって病気が治癒すれば、その仮説検証の流れが真実、または真実に近いと言ってよいのです。

病気が治癒するということは、症状を抑える薬が全くなくても症状消えて、患者さんが楽になるということです。リウマチは症状を軽減する薬はたくさんありますが、それをやめると痛みが再発しますし、途中でその薬が効かなくなり、さらに強い薬を加えていかなければいけないことがほとんどです。リウマチや膠原病を広くまとめて「自己免疫性疾患」と呼びます。「自己免疫」という言葉は自己の生体防御能力という意味で使う方がいますが、免疫学を専攻した人間からいうと、これは間違いです。「自己免疫」とは、自己の免疫システム(マクロファージ、リンパ球や抗体など)が自分を攻撃している状態のことを意味しています。したがって自己免疫性疾患とは自分の兵隊が自分の体を攻撃して生じる病気という意味になります。

 自己免疫疾患を「なぜなぜ分析」してみる

 自分の兵隊が自分を攻撃している???

なぜだろう

1.自分の兵隊が狂気となって自分の体を攻撃している可能性

2.自分の兵隊は真剣に自分の体の中の異物を取り除こうとしている可能性

 世界中のリウマチの治療は、1.の仮説に基づいて治療を行っています。免疫抑制剤や生物学製剤はまさしくリンパ球の働きを抑制し、リンパ球の出すサイトカインの作用を止めるものです。この仮説が真で、治療法が真なら治癒が生じるはずです。しかしそうなっていません。そしてリウマチの医療は

1.この病気は治りません。

2.したがって、できるだけ症状を軽くし、

3.できるだけ副作用を少なくし、

4.できるだけその期間が長くなるようにする。

というのが基本戦略となっています。

 自分の兵隊であるリンパ球は狂っているわけではなく、真剣にまじめに働いていると考えたなら、治療法はすべて違ったものになってきます。そのあたりを青年医師が見た夢の中で現しているのです。ではその仮説に基づいて治療したなら治るのでしょうか。

治ります。

Y.H.C.矢山クリニックにリウマチで受診された方にまず知ってもらいたいことは「リウマチは治癒する病気です」ということなのです。

 

患者さんの体験記「リウマチにさよなら」片岡信子著 舵社刊 を興味のある方はお読みください。