プラトン立体と双対の5の構造

http://metalogue.jugem.jp/?eid=1823  より

■5つのプラトン立体の間には、<正4面体⇔正4面体>、<正6面体⇔正8面体>、<正12面体⇔正20面体>という3組の双対関係があった。すでに見たように正逆2つの正4面体を自己相貫させるとケプラーの星型8面体となり、内部に正8面体、外部に正6面体ができた。そしてこの正6面体と正8面体を中接球共有で相貫させると、正8-6相貫体となり、内部にベクトル平衡体、外部に菱形12面体ができた。

■同様に正12面体と正20面体を中接球共有で相貫させると正20-12相貫体という立体なる。この2立体の内部にできる重畳部分は20-12面体となり、外部の32頂点を結ぶと菱形30面体という多面体ができる。またここで新たに内と外にできる3つの対性、つまり<正6面体⇔正8面体>、<ベクトル平衡体⇔菱形12面体>、及び<12・20面体⇔菱形30面体>もまた、面点変換が可能な双対立体の関係にあるのである。

■これらプラトン立体における3組の双対関係は、中心に双対立体の相貫体を置き、上下に外部と内部にできる立体を置くことで、同じ5つで1つというペンターブの構造を持つものとして捉えることができる。なおベクトル平衡体と菱形12面体はプラトン立体ではなくアルキメデス立体なので中接球は存在しないが、共に24本の線があるので上手く全ての線同士を直交させることで相貫体を作ることができる。

■なお<正4面体⇔正4面体>の相貫体の全ての頂点をつないでできる正6面体の各面は対角線の比率が1:1の正方形である。また<正6面体⇔正8面体>の相貫体の外側にできる菱形12面体の各面は対角線比が1:√2の菱形である。そして<正12面体⇔正20面体>の相貫体の外側にできる菱形30面体の各面は、対角線比が1:φの菱形からできている。こう並べると正方形が菱形の特別形であることが分かる。

プラトン立体と3-4-5

■互いに面点変換できる双対の関係が3種あることから、自身と双対である正4面体を1つでなく2つと数えることにより、プラトン立体の種類を5種ではなく6種として扱う捉え方もある。これとは別にプラトン立体そのものを「3-4-5」として見る捉え方にも2つの系統がある。それを表の「1つの面の正多角形の角数」と「1つの頂点に集まる線の数」として示した部分でもう少し詳しく見てみよう。

■正4面体を1種と捉えても2種と捉えてもよいが、プラトン立体は大きく2つのグループに分けられる。まず<正4面体・正6面体・正12面体>のグループでは、その各面の形がそれぞれ順に<正3角形・正4角形・正5角形>になっている。そしてもう一方の<正4面体・正8面体・正20面体>のグループの面の形はみな正3角形だが、各頂点に集まる線の数はそれぞれ<3本・4本・5本>になっているのである。

■では6以上の数は有り得ないのだろうか。各面が正6角形だとどこまでも正6角形で埋め尽くされて平面になってしまい、内と外を分ける立体にはならない。また各点に6本の線が集まると、同様に正3角形で埋め尽くされる平面となってしまって立体にはなり得ないのである。なお1つの点に1本の線、2本の線が集まっても面は作れないし、同様に1角形2角形は存在しないので、1と2もないのである。

3,4,5と言えば辺長比が3:4:5の「ピュタゴラスの直角3角形」が連想される。この3角形はまた「エジプトの3角形」とも呼ばれている。古代のエジプト人が毎年起こるナイル川の氾濫の後に、間隔が等距離の13個の結び目がついたロープを用いて測地していたという説がある。その真偽の程はさて置いても、この3角形は実際にギリシア人よりエジプト人の方が先に知っていたことは確実らしい。

■この開いたままなら13の結び目が閉じると12となるということも、12と13の捉え方の違いに通じるだろう。この辺長比が3:4:5のエジプトの直角3角形の3辺の和は12であり、3辺の積は60となる。シュメール・バビロニア及びエジプト起源と考えられている12-60進法の1つの基本的概念の目に見える形であろう。またこの3辺の2乗の和は50、積は3600であり、また3乗の和は6の3乗の216に等しい。