http://gyosei.mine.utsunomiya-u.ac.jp/since2001koki/yoka04/yoka04report/wakik040630.htm
【「宇都宮城復元は地域活性化の相乗効果をもたらすか。」】
和気和子(宇都宮大学国際社会学4年) より
調査目的
1997年(平成9年)から宇都宮城復元と御本丸公園再整備事業の計画が進められ、2003年(13年)から造成工事が開始、市制110周年の2006年(平成18年)の完成予定である。宇都宮市では、宇都宮城の復元はかつて歴史的建築物を再現するだけでなく、宇都宮に育まれた伝統や文化、先人たちの営みを人々が将来にわたって共有するとともに、宇都宮の誇りと愛着を培い、まちに活気とにぎわいをもたらす効果を目的としている。宇都宮城址公園は中心市街地に位置する貴重な公共空間として、歴史公園として、都市防災公園として人々が集う人気スポットになるよう市街地活性化の拠点を目指している。宇都宮城復元と宇都宮城址公園は宇都宮の新しいシンボルとして市内外からの集客力と地域活性化の相乗効果が期待できるのか調査を目的とする。
1.宇都宮城の歴史と復元
平安時代末期(1819年)徳川家康の重臣 本多正純は宇都宮城主となり、城と城下町の大改造に着手し、宇都宮のまちの原形を作りました。この時、宇都宮城は1キロ四方もの広さをもつ巨大な城で、八つの櫓、石垣で守られた門、高い土塁、満々と水をたたえた堀を持つ風格のある城でした。二荒山神社と並んで千年の歴史を持ち、「関東七名城」の一つとして名をはせました。宇都宮城は将軍が日光に参詣する時に宿泊する重要な中継地であり、将軍専用の「御成り御殿」が建っていました。
「釣り天井事件」で有名となった御成り御殿は、城主本多正純が日光社参から帰る将軍(徳川家光)をからくり仕掛けの天井をつくって、暗殺を企てようとした伝説であり、又、その時に工事を請け負った若い大工との悲恋物語もからみ、芝居などの題材となり、宇都宮城の名を全国に広めました。しかし、江戸末期(1868年)戊辰戦争により、城の大半は焼失し、残された堀や土塁もまちの近代化によって整備された。本丸跡だけが残り、市民がくつろぐ後本丸公園として面影が残っています。
宇都宮市は宇都宮城の復元を望む市民の声の高まりにより、清明台、富士見櫓、土塀、土塁、堀などの一部を復元することになった。
2.宇都宮城址公園の目的
宇都宮城址公園は、①宇都宮城の本丸跡という歴史的、文化的な重要な場所であるとともに、中心街の南部にも位置しており、歴史的な重要な立地条件を生かし、史実に基づいた宇都宮城の一部の復元を柱とした歴史公園となる。 ②中心市街地に位置する貴重な公共空間であり、災害時の都市部の非難場所と位置づけ防災公園となる。 ③中心市街地の回遊路として、市庁舎~公園、公園~大通り、大通り~市庁舎との間に人のながれを生むと同時に、公園内でさまざまなイベント等開催することにより、街のにぎわいをもたらし、「宇都宮の新しいシンボル」とし、中心市街地の活性化の拠点となる。
3.宇都宮城復元並びに城址公園の市民の反応
賛同する市民は
①「よみがえれ!宇都宮城」市民の会を結成し、いろいろな形で市民のみなさんが『城づくり』に参加できるよう、イベントやPR活動を行う。また、宇都宮城復元の総事業費36億円のうち1億円を市民からの募金で賄う予定で、「瓦1枚運動」を実施している。瓦(1口3,000円)、柱(1口10,000円)瓦を募金者には自分の名前を書き込むことが出来、柱には「城主証」を発行する特典がある。現在(16年4月)の会員数1,145人,総募金額19,065,112円。よみがえれ「宇都宮城」市民の会:http://www.utsunomiya-jo.jp/
②「城址まつり」に時代行列を復活。「城址まつり2003」に宇都宮城復元に向けて気運を高めるため、市民に関心と理解をもってもらうために初めての試みとして時代行列を催す。市民150人が参加して江戸時代の人々に扮し、中心市街地を練り歩いた。同時に餃子まつり、宮の市など開催し、県内外から多くの見物客が集まった。
③宇都宮城復元と城址公園の成功を祈って、地元小中高生や学生による模型作りや工事用フェンスのペインティングを協力している。宇都宮城本丸模型の概要:
http://www.utsunomiya-jo.jp/html/mokei.htm
反対する市民は
①市民オンブズパーソン栃木では意見書を宇都宮市長に提出。趣旨は宇都宮城復元と城址公園の策定にあたい、市民参加がなかったこと。市の財政状況及び費用対効果の検討がなされてなかったこと。防災拠点としての検討不足などを理由に御本丸公園整備基本計画の中止と市民参加の下、再度整備計画の検討し直すべきであると申し立てた。市民オンブズパーソン栃木:http://www.t-person.net/gohonmaru.htm
②一般市民からは大型デパートの倒産や撤退、足利銀行の破綻などで宇都宮の経済は混乱に陥っている。そのような時期に市民の血税36億円を宇都宮城復元に使用することに反対であり、もっと優先順位を考慮すべきである。中途半端な復元ならしない方が良い。城(御成り御殿)のない城址公園は観光スポットにならないし、集客力は望めない。市民の認知度や関心度が非常に低い。
まとめ
宇都宮市は昔から「城」を中核として栄えた城下町である。立地条件と歴史的な重要性を生かし,次世代を担うこども達や市民に宇都宮の歴史を伝えるとともに,都市災害や中心市街地の活性化など市民に多様なニーズに対応できる「宇都宮の新しいシンボル」として,宇都宮城址公園を目指している。人口45万人,中核都市である宇都宮市は大型デパートの倒産や撤退,足利銀行の破綻,中心市街地の空洞化,空き店舗の多い商店街ではシャッター通りと言われている,これから宇都宮はどうなるのだろうかと不安が募る。市制110周年(2006年)に完成予定の宇都宮城の復元と城址公園は暗い心の宇都宮市民に経済効果と地域活性化をもたらし,明るい未来が期待できるだろうか。宇都宮城復元の造成工事がスタートしたと同時に,市民一人一人が地域活性化に積極的に協力し,宇都宮市を活気ある,若者が集まる,特色あるまちづくり建設を改革しなければならない。宇都宮は歴史文化のまち,宇都宮城を中心に二荒山神社,松が峰教会,八幡山公園,蒲生神社など数多くの神社仏閣があり,特産品はイチゴ,かんぴょうは生産日本一,餃子消費率日本一,駅弁発祥の地,ジャズ,カクテルのまちとして全国にして知れ渡っている。宇都宮城と城址公園を全国にPRすると共に,県内外から多くの人が集まる,話題性ある,魅力的なまちになるよう相乗効果を期待したい。
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