蓮華蔵世界(読み)れんげぞうせかい

https://kotobank.jp/word/%E8%93%AE%E8%8F%AF%E8%94%B5%E4%B8%96%E7%95%8C-152072  【蓮華蔵世界(読み)れんげぞうせかい】  より


×蓮華蔵世界れんげぞうせかい レンゲザウ‥れんげぞうせかい〔レンゲザウ〕

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

仏教用語。蓮華の象徴的意味から発展した世界観。『華厳経』の華蔵世界品では,この世界が具象的に精緻に描かれている。その大要は,世界の最底に風輪があり,その上に香水海があり,そこに咲く蓮華の上に世界が網の目のように広大無辺にあり,その中心に仏が出現する。その世界を哲学的に解釈し,独自の世界観を打立てたのが華厳宗の法蔵である。

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デジタル大辞泉の解説

仏語。

1 華厳経に説く、一大蓮華の中に含蔵されている世界。毘盧遮那(びるしゃな)仏の願行によって現出した一種の浄土。蓮華蔵荘厳世界海。華蔵世界。

2 梵網経に説く、千葉(せんよう)の大蓮華からなる世界。盧舎那仏はその本源として蓮華座に座し、自身を変化させた千の釈迦が各世界で説法しているとする。蓮華胎蔵世界。蓮華海蔵世界。

3 浄土教で、阿弥陀仏の浄土。極楽世界。

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百科事典マイペディアの解説

仏教で説く浄土の一つ。毘盧遮那(びるしゃな)仏の浄土。華蔵界とも。蓮華より生じ,蓮華に包まれる世界。《華厳(けごん)経》に説くのがこの浄土であるが,真言系では大日如来の浄土を,浄土教系では阿弥陀仏の浄土をこう呼ぶこともある。

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大辞林 第三版の解説

〘仏〙

①華厳経の説。この世界は、毘盧遮那びるしやな仏が過去に行なった修行と願によって実現した清浄な世界であり、巨大な蓮華の中にあるとする。

②梵網ぼんもう経の説。千葉の蓮華があり、その一葉ごとに一世界があり、毘盧遮那仏がその中心にあって全世界を教化しているとする。

③浄土宗で、阿弥陀仏の浄土のこと。

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 仏語。

① 阿彌陀仏の浄土。極楽の別称。浄土宗でいう。〔教行信証(1224)〕

② 梵網経に説く盧舎那仏の世界。千葉の大蓮華から成る。盧舎那仏はその蓮華の台座に座するとともに、自ら千の釈迦となって千葉の世界に身を現ずる。〔梵網経‐下〕

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世界大百科事典内の蓮華蔵世界の言及

【ハス(蓮)】より

…弥勒(みろく)の浄土である兜率(とそつ)天にも七宝(しつぽう)の蓮華が説かれ,彼の大師子座の四隅からは蓮華が生じ,そこから宝女が現れると説かれる。毘盧遮那(びるしやな)仏のまします蓮華蔵世界は香水海に浮かぶ大蓮華から出生した世界とされ,先述の《マハーバーラタ》などにみられる神話との関係も指摘されている。一方,〈浄土〉とハスの結びつきは仏教に固有のものではなく,バラモン教の文献《ジャイミニーヤ・ブラーフマナ》(前9世紀ごろ)中の〈ブリグの地獄めぐり物語〉にみられるバルナ神の楽土の描写には,青蓮,白蓮の花に満ち,蜜の流れる川が登場している。…

※「蓮華蔵世界」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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