吟行

http://natsui-and-co.jugem.jp/?eid=5304  【ベトナムの蓮】

ベトナム在住の碧西里から、蓮の話題です。遠目だけどアオザイの黄色も鮮やか。皆さんも一緒にベトナムの蓮吟行を楽しんで下さい♪

組長、正人さん、スタッフの皆様、こんにちは。俳句ポスト365や一句一遊に投句しております碧西里と申します。いつもYouTubeやサイトの読み物を楽しく拝見しております。勝手ながらベトナムからの特派員レポートをお送りいたします。
先日、ようやく蓮を見に行ってまいりました!

以前、俳句ポスト365(竜田姫の週の水曜日)にベトナムの蓮について掲載いただいたことがあります。

以下長いですが引用すると、「ここベトナム・ハノイでは、蓮は特別な花で、6~7月の花の季節にはたくさんの人が蓮の咲く湖を訪れます。また、自転車の後ろに蓮の花束を満載した蓮売りもこの季節の風物詩です。花は観賞用として好まれるのに加え、蓮の根、茎、実などを食用にします。また、蓮茶が有名で、お土産にも喜ばれます。(以下略)」

…と、こんなわかった風に解説しておきながら、実は蓮が咲いている季節に見に行ったことがなかったのです…むむ、ハイポニストの端くれとして、これは吟行するしかない!

というわけで、まずはハノイで有名な西湖の蓮池を訪ねました(添付ファイルHo Tay 1~4)。蓮の花は夜明けから咲き始め、昼前には花を閉じるので、早朝に行く必要があります。

池に着いたのは朝7時過ぎでしたが、既に沢山の人で賑わっていました。蓮の咲いている中でアオザイを着て写真を撮るのが人気なのです。こちらの蓮は八重咲きの品種で、華やかな印象でした。一方で開きかけのつぼみは繊細な美しさがあります。その後、現地の方が紹介してくれた別の池も訪ねました(添付ファイルXuan Dinh-1~4)。
こちらの蓮はまさにイメージするとおりの蓮の花で、花びらが大きくかつ薄く、光を溜めるかのようなかたちです。

蓮の葉が1m以上の高さまで成長しており、池の中の足場に座ると不思議な森の中にいるかのようです。風が吹くと、見渡す限りの蓮の葉がざわざわと波打ちます。穴場のため人がおらず静かな中、葉ずれの音、鳥や蝉の声、魚の跳ねる音を聞きながら蓮を眺めるのは至福の時間でした。
ちなみに、その後蓮の句が10句くらい一気にできたので、季語の現場を訪ねるって偉大だな、と思いました(笑)吟行って楽しい!!!

以上、6月頃にベトナムに来る機会があれば、ぜひ蓮池を訪ねてみてください。

ベトナムから碧西里でした。

2020.06.26 Friday 「いつき組」特派員レポート 07:00 comments(3) - by 夏井いつき

コメント

おはようございます。不思議な森の蓮をありがとうございます。学園祭のファッションショーにとめいが手作りしたアオザイを思い起こしました。手先が器用なので素晴らしい仕上がりでした。モデル本人もアオザイ美人です。日本人です。

私にとって蓮は特別な存在です。同僚と1週間休暇で鹿児島に行き、大きな荷物を名駅のロッカーに入れてその足で蓮を見に!弾丸トラベルだ。

この法金剛院の蓮を父に見せたくて 蓮池を父と二人で巡り、大徳寺では鉄鉢料理を。大きな梅干しの天婦羅に喜び驚いていた。

福沢諭吉さんを1枚、父がくれた。ドケチから昼飯、交通費を頂くつもりは無くて。「また何処か行こうか」あっさり拒絶。笑っしまりやさんエピソードは他にも何と、銀行の社内旅行が京都だったのでついでに?祖母の納骨を済ませて来た!!

りんりん。 2020/06/26 7:21 AM

なんとステキな蓮の森でしょう!心はもう現地に飛んで、その辺をフラフラ彷徨っています。碧西里さんの美しい音響の言葉から、まるで蓮の森の真ん中に自分が立っているかのようです。八重咲きの蓮の花を初めて見ましたよ~!存在感がありますね。アオザイの方々もお美しい♪彼女たちの明るい声が聞こえてきそうです。吟行、楽しいですよね!(^^)風のにおいや、光、音、触ってみたり・・・いろいろなことを感じ取ることができるし、何より外は気持ちいいですね♪

さまよへる夜明けの蓮の水の森  無有

おかげさまで私はパソコンの画面から、爽やかに蓮吟行ができました!ありがとうございました♪

こんにちは、碧西里です。

やたら長いレポートを掲載いただきありがとうございます!!

組長やいつき組の皆さんに、ベトナムの蓮をぜひ見てもらいたいと思っていたので嬉しいです。

現状コロナウイルスの影響でベトナムには入国ができませんが、落ち着いたらぜひ遊びにお越しくださいね~(^^)

>りんりん。さん

鹿児島に蓮の名所があるとは存じませんでした。法金剛院の蓮、ぜひ見てみたいです。

>村上 無有さん

素敵な句をありがとうございます。バーチャル蓮吟行を楽しんでいただけたなら望外の喜びです。

日常生活や旅行のついではともかく、時間をとって吟行をするのは実は初めてでした。おっしゃるとおり、五感をフルにつかって季節を感じるのはとても気持ちのいい体験ですね。癖になりそうです♪


https://blog.goo.ne.jp/kitamitakatta/c/8c35b26495ae281de529e2ac74a139b0/30

【子がすくふ網蓮池をどろどろに】 より

8月4日、府中市郷土の森公園へ蓮を見に出かけた。

飯島晴子のエッセイ「写生と言葉」を読んだのがここへ来たきっかけ。昭和50年8月号の「青」へ寄稿した本文で、晴子はホトトギス系の「篤実な実作者として信頼できる人」と三宝池で吟行したことを書いている。

晴子はホトトギスの写生にえらく関心を寄せていて、この池にある睡蓮の花から離れたところの蕾を見て「ホトトギス的瞬間」と興奮し、<睡蓮の蕾の一つ二つあり>とした。いくらあがいてもこの情けない形しかできなかった。これをホトトギスの俳人に見せると、彼は苦笑とともに、「わたしが成功するとしたら、見るのと言葉とが一しょに出て来るんですよ」と言った。これに晴子は「目玉の鱗は一枚落ちた気がした」。

自分をさらし者にしたこのエッセイは写生に関するスリリングな心理を余すことなく語っている。

ぼくも晴子的興奮と懊悩を味わいたく、睡蓮と蓮はじゃっかん違うが当地へ出向いたのである。

「見るのと言葉とが一しょに出る」というのはわからんでもない。3度ほどそういう経験はあったがまぐれのホームランみたいなもの。

ホトトギス的かどうかは知らぬが、朝7時前、ここへ犬を連れてきている老婆がいた。老婆がなにか飲んでいるわきで犬がへばっている。

べつたりと犬臥してをり蓮の花

詩があるか、報告なのかただ事なのか、わからない。

蓮の花じたいを見るが、写生よりいままである既成の美意識にゆさぶられるばかり。

崩れかけ感に堪えをり蓮の花

言葉の遊び、ないし観念だろうなと思っていると、花びらが散って水に浮いた。

水に落ちはつと浮きたり蓮の花

このくらいでは晴子も篤実なホトトギスの俳人もよしと言わないだろうな、など思っていると少年が来て、やたら網を振り回しはじめた。捕虫網を水に突っ込んでいると思ったのは間違い、ちゃんと水用の網を使っている。少年の網はがむしゃらだがめくらめっぽうではないようだ。

子がすくふ網蓮池をどろどろに

彼のバケツを除くと、透明のエビ状のものが跳ねている。

「スジエビ!」という。「うまそうだな」とぼくが言うと「ナマズが喜んで食う」と少年。「そのナマズを人間が食う」という。少年は家でナマズを飼っていてなかばその餌としてスジエビを取っているようだ。

ぼくは大いに彼が気に入るとともにその生活がうらやましくなった。

網でとったスジエビ(条蝦、筋蝦)をバケツに移しながら、「あそこにゴキブリがいる」と楠の幹を指す。

染みのように見えたものは確かにゴキブリであった。この少年にはつらつとした未来を感じた。

ザリガニと声尖らせて皓歯の子

スジエビをザリガニとしてもたぶん晴子さんは文句を言わないだろう。元気な少年が俳句ができるかどうかはどうでもよい素敵な時間をくれた朝であった。




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