http://amanakuni.net/uchu/84.html 【「シャンバラ」の謎と地球内天体】 より
地底王国「シャンバラ」
チベットには、太古の昔から伝わる理想郷がある。世俗から離れ、あらゆる悪徳が存在しない世界。その名を「シャンバラ」という。シャンバラとはチベット語で「幸福の源」のこと。理想郷シャンバラについて、最も体系的に書かれているのは、11世紀に成立したチベット密教の経典『カーラチャクラ・タントラ』(時輪タントラ)である。そこに描かれたシャンバラは、大きな七つの山々に囲まれ、その中央に蓮の花を広げたように存在する。蓮の花弁は8枚あるが、それぞれに12の属国があり、領主が存在する。さらに属国には100ずつの領域があり、個々に10万の町があるという。
しかしながら、現実問題として、かくも美しい国はチベットにも中央アジアのどこにもない。それゆえ学者をはじめ多くの研究家は、シャンバラは伝説だけの世界、すなわち幻想と考えている。いわゆる象徴であって、精神世界に存在する王国であろうというのが定説だ。しかし、一方でかのダライ・ラマ14世は、幻想説や象徴説をはっきりと否定する。
シャンバラは目には見えないが、この世に実在する世界だと断言したのである。ために、神秘主義者たちは、シャンバラは中央アジアの地底に存在するのではないかと考えている。
これを示唆するように、チベットの首都ラサにあるポタラ宮殿には、シャンバラへ通じる秘密の回廊があると噂されている。
神智学といった神秘主義者たちは、地底にシャンバラがあると主張する。彼らによれば、シャンバラとは地底世界「アガルタ」の首都に相当する。アガルタには太古に失われた叡知が隠されており、「世界の王」と呼ばれる支配者が霊的に地上を支配しているという。
1945年5月2日、ベルリンは連合軍の侵攻によって陥落した。この時、進駐したソ連軍は、奇妙なものを発見する。べルリンの随所からチベット人と思われる人間の遺体が多数、発見された。いずれも僧侶らしく、何かの儀式の後、集団自殺をしたものと見られる。なぜ戦時下のベルリンにチベット僧侶が、かくも大量にいたのか。その理由は戦後しばらくして明らかになる。総統ヒトラーが直々に命令して、チベットから連れてきたというのだ。
そもそもヒトラーはオカルティストとして知られているが、地底に存在するという楽園シャンバラ伝説に、並々ならぬ興味を抱いていた。彼は地底王国シャンバラこそ、アーリア人の原郷であると考えるに至った。ヒトラーは強烈な民族主義者で、ユダヤ人は穢れているとして、徹底的に弾圧したことは知られているが、その一方で、アーリア人こそ最も崇高な民族であると信じていた。そのルーツは超古代に栄えていたアトランティス文明にまで遡るというのだ。
こうした思想に決定的な影響を与えたのは、イギリスの作家ブルワー・リットンの小説『来るべき種族』である。何でも、ノアの大洪水を生き延びたアトランティス人は地底に潜り、未知の力「ヴリル・パワー」を入手した。彼らはヴリル・ヤ人と称し、いずれ地上に姿を現し、世界を支配するというのである。
ヒトラーは、ここに小説ではなく、史実を読み取ろうとした。すなわち、アトランティス人の末裔こそ、現代のアーリア人にほかならない。地下のアガルタ=シャンバラには、アーリア人の同胞が住んでおり、とてつもない力を有している。彼らと協力すれば、地球を支配することも可能であると考えたのだ。
そこでヒトラーは、1926年からチベットに探検隊を派遣。地底王国アガルタ=シャンバラを見つけ出そうとした。1936年以降は、世界各地に毎年のように探検隊を派遣する。親衛隊隊長ヒムラーが指揮を執って、ナチスの超科学局「アーネンエルベ」の科学者たちを、トルコ、中南米、そしてアジア各国へ送り込んだ。しかし、アガルタ=シャンバラを地上には発見することはできなかった。キリストの聖遺物などを収集し、その力によって世界を支配しようとしたヒトラーだったが、その夢は遂にかなうことはなかったのである。
地球空洞説とシャンバラ
シャンバラは長らく、地上には存在しないと考えられてきた。それゆえ、この理想郷が実在するならば、それは地底であろうというのが定説となっている。神智学をはじめ、多くの神秘主義者たちはシャンバラ=アガルタは地底王国のことであると考える。
地底王国シャンバラという思想は、20世紀に入ると、地球空洞論と結びつけられて考えられるようになる。地球空洞論は、文字通り地球内部がガランドウになっており、その内側の凹面に地上と同じような世界が広がっているという思想だ。シャンバラはこの内部地球世界に存在するのではないかと、レイモンド・バーナードをはじめとする研究家は主張した。ごく最近でも、この説を熱心に主張する人々もいる。
しかし、地球空洞論そのものに無理があった。北極、南極にも地球内部へ通じる巨大な穴などどこにもないし、地球内部は中心の核をはじめとして物質が詰まっていることは実証されている。仮に地球が空洞だった場合、内側の凹面に大陸や海、それに人間がへばりついて存在することは、物理学上ありえない。
確かにガランドウの地球空洞論は否定された。が、それは必ずしも内部地球の存在を否定するものではない。地球内部がぎっしりと物質が詰まっているとしても、それと重なって、もう一つ別の空間が存在する可能性があるからだ。
北極、南極のオーロラは、収束した地球の磁力線と宇宙からの高エネルギー粒子との交差のプラズマによって引き起こされた発光現象だが、オーロラが発生する、しないに関わらず、両極の上空には高いエネルギーのプラズマが存在する。肉眼では見えないプラズマは、レーダー観測した時、その姿を現す。人工衛星で両極で発生するオゾンホールを観測する機器で両極を特殊撮影すると、そこには高密度の磁力線が形成する「大穴」が映し出されることがある。大穴の正体はプラズマだ。磁力線に沿って見えないプラズマが集中しているのである。
この大穴は、いうなれば「プラズマ・ホール」というべきものだ。地球内部―外核は、高温高圧状態で、アメリカ軍の極秘の調査によると、外核を構成している物質は金属ではなく、水。高温でセ氏100度以上になっているが、超高圧のため沸騰せずに存在する。
水に金属が溶けているというより、プラズマ状態になっているらしい。
プラズマ化した超熱水がダイナミックに運動することによって、地磁気が生み出されているのだ。
プラズマは障害物を透過する性質がある。外核で生み出されたプラズマは磁力線に沿って、地球の表面にも染み出している。それが両極の大穴、プラズマ・ホールの正体なのだ。
誰もが知っているように、地球の内部は物質がぎっしり詰まっている。と同時に、外核がプラズマ状態となっていれば、その内部には亜空間が生じるはずだ。外核と重なるようにして、プラズマ亜空間が存在していることになる。これはいったい何を意味するのか。
北極の楽園伝説
両極には未知なる世界の入口があるのだろうか。そこで気になることは、北極圏を生活の場とするイヌイット(エスキモー)たちの伝説である。彼らは言う。北の果てには近づいてはならない。北の果てには恐ろしい力を持った魔神が住んでいる。魔神は、あの世の入口の門番で、人間が侵入することを許さない。不用意に近づけば、必ず命を取られる。
イヌイットは今も、この伝説を信じている。20世紀、北極圏の探検が盛んにに行われるようになった時も、イヌイットは北極点には近づかなかった。いくら金銭を積んでも、極地探検に協力する者が現れなかった。
イヌイット同様、北欧の人々の間にも、北極にまつわる不思議な話がある。伝説によると、北の果てには氷雪が全くない世界、すなわち気候が温暖で、青々とした草木が茂る楽園がある。その名を「ウルティマ・トゥーレ」。北欧の人たちにとって、そこは民族の故郷であるという。
イヌイットや北欧の伝説、19世紀のノルウェーの漁師オラフ・ヤンセンやアルド・ステンセンの北極から地球内部の楽園に入ったという体験談との共通点を考えると、すなわち、極点付近には、何か目に見えない入口があり、そこから異世界に通じている可能性も十分にあるのだ。
ハイジャンプ作戦―バード事件
第2次大戦の熱気冷めやらぬ1946年から47年にかけて、アメリカは極地探検のエキスパートであったバード少将を総責任者に任命し、両極の調査を行う「ハイジャンプ作戦」を決行した。北極点上空を飛行する作戦では、バード少将自らが搭乗することになった。
予定では、最北のアラスカ基地を出発し、北極点を目指して真っ直ぐに飛行。北極点上空を通過して、そのまま2700kmの距離を飛び続けた後、Uターンして再びアラスカ基地に帰還することになっていた。
1947年2月11日、予定通り基地をテイクオフ。全て順調に進み、北極点上空も通過。目標の2700km地点に差しかかろうとした、まさにその時。
突然、目の前に白い霧が立ち込み始めた。それまでの晴天が一変、真っ白に輝く霧がバード少将らの飛行機を包んだ。ホワイト・アウト現象である。窓の外は白い闇。あたかも積乱雲の中に突っ込んだような状態となった。しかも、恐ろしいことに高度が徐々に下がり始めた。明らかに機体に異変が起きている。バード少将は、通信士に命令し、アラスカの基地に向けてSOSを発信しようとした。
と、その瞬間、白い霧が消え、一気に視界が開けた。
バード少将は息を呑んだ。下界にジャングルが広がっている。雪と氷の世界であるはずの北極圏に、鬱蒼とした森が拡がっている。さっきまでの白い世界はどこにもない。あるのはどう見ても亜熱帯のジャングル地帯なのだ。計器を見ても、外の気温は氷点下どころか、セ氏20になっている。
「こちらバード、今我々の機は北極圏の氷の上ではなく、広大な亜熱帯のジャングルの上空を飛行している―」
当初、完全にジョークだと見て、まともに取り合わない基地の反応に苛立ちを覚えたバードは、再び語気を強めて、同じことを報告した。
この時点で、ようやく基地も事の重大さに気づき始める。
「…分かった。そのまま報告を続けてくれ」
その大地には大きな川が無数に見えた。遠くには台地が見え、そこにはマンモスのような象が見えた。機体の高度を少し上げると、彼方に地平線が見え、その地平線は、はっきりと分かるほど凸面のラインをしていた。
地上にはジャングルだけでなく、人工的な区画の街や道路のようなものも見えた。そしてそこには、古代都市の住人のような衣服を着た人々の姿も認められた。さらにはマヤかエジプトのそれに酷似した神殿のような巨大なピラミッド群があった。
どのくらいの時間が経ったのか。そろそろ燃料のことが気になり始めたバードは、計画通り機体をUターンさせた。すると、前方に霧が噴出しているように見える空間があった。その雲は、先に機体を包んだ霧に似ている。おそらく、そこからこの異世界に入ったに違いない。そう判断したバードは、一か八か、その霧の中へ機体を突っ込ませた。
すると期待通り、飛行機は光る霧に包まれ、気がつくと、再び真っ白な氷原の上空を飛行していた。あたかも、全てが白昼夢であったかのように。
作戦開始から7時間後、なんとか無事にアラスカ基地に帰還したバード少将は、すぐさま上層部から呼び出された。事件の詳細や通信内容についても半信半疑であった軍だが、事実とすれば重大な情報であるとして、しばらくバード少将を隔離。通信及び観測データは、最高機密扱いとすることになった。結局、ごく一部の情報が新聞のベタ記事として流されたほかは、全て封印され、真相は闇に葬られてしまう。
地球内天体アルザル
オーロラにまつわる伝説として、こんな話がある。イヌイットの子どもたちは、今でも親から「オーロラに向かって口笛を吹くと、オーロラが空から降りてきて、さらっていく」と注意されているという。オーロラが地上近くに降りてくると、子どもが精霊にさらわれる。日本で言えば神隠しに遭ったように、跡形もなく消えてしまうという。これは、言葉を換えれば、プラズマの漏斗状のトンネルが地上に降りてくると、人間が違う世界へとテレポーテーションしてしまうことを語っているのではないだろうか。
バード少将の場合、まさに飛行機は「光る雲」―一種のプラズマに包まれた。そして、一瞬にして、違う世界へと運ばれてしまった。いったい、バード少将が侵入したのは、いかなる世界だったのだろうか。そこは、やはり地球内部なのか。常識からいって、地球内部には物理的な空間は存在しない。が、亜空間なら存在する。外核が生み出すプラズマに包まれた亜空間に、地球空洞論者が主張するような世界が存在するのだろうか。
バード少将が諮問委員会で証言した記録として、空の描写がある。
「空を雲が覆っているわけではない。確かに晴れているのだが、その光源が全く見えない。強いて言うなら、大気そのものが光っているようだった。しかも、空には全く奥行きが感じられない。あたかも閉じられた世界にいるようだった」
と同時に、彼は地平線が異様に曲がって見えたと述べている。曲がっているとはいっても、凹ではなく凸なのだ。地球の表面と同じように、凸状態で地平線が曲がって見えたというのである。考えられることは一つ。亜空間には、もう一つ別の「地球」が存在するということだ。本来の地球よりも、一回りも二回りも小さい「ミニ地球」がプラズマ亜空間に浮かんでいるのだ。
バード少将は、その天体の上空を飛行していたのだ。
しかも、地球の内部に存在する天体は、光る雲、すなわちプラズマで包まれている。
それにしても、感覚として想像が難しいのは、物質が詰まった地球内部に、それと重なって亜空間が存在し、そこに一つの天体があるということだろう。その物質天体は、正空間の地球内部の物質とは干渉せずに、地球内部に重なって存在している。プラズマが生み出す亜空間が、それを可能としているのだ。それはきっと未知の法則であり、その天体の実在が明らかになったら、新たな宇宙の原理の発見の入口となるだろう。
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