マインドフルネスとは

https://www.tnhjapan.org/mindfulness-breath ティク・ナット・ハン師とマインドフルネス より

「 マインドフルネス 」 とは、「 今というとき瞬間に目覚めている力(エネルギー)」 です。ここでは毎日の生活の一瞬一瞬で、生きることに深く触れることを続けていくよう実践します。

マインドフルであることは、あなたが今ここにしっかりと生きることであり、あなたのまわりの人たちや身の回りで起きていることと、一つになることです。

お皿を洗っているときも、車を運転するときも、朝のシャワーを浴びるときも、いつでも心と体をひとつに調和させるようにします。

このプラクティスでは、一日を我々が家にいる時とほぼ同じように過ごします。

ただ、歩いたり、座ったり、食べたり、何をしていてもここではそれらをマインドフルにしっかりと意識して行います。

座禅している時だけではなく、一日のあらゆる場面でも実践は続きます。

良き仲間たちにかこまれていれば、より楽しく、落ち着きとゆとりをもって実践できるようになります。

お互いを支えあいながら、外見にとらわれずに、あせらずにのんびりと、大きく心を開いて、実践を楽しみましょう!

呼吸について

呼吸は私たちにとって安定感のある、ゆるぎないよりどころです。

呼吸は、私たちの心の天気(思考、感情、認識)に関係なく、信頼できる友のようにいつも私たちと一緒にいてくれます。

過ぎ去ったことを後悔したり、深く落ち込んだり、やらなくてはいけないことに追われたり、

心配ごとで心が散漫になったりしたと感じたときは、いつでも呼吸にもどって心をおだやかに落ち着けましょう。

では、鼻から出入りする息の流れに気づいてみましょう。

呼吸の働きが軽やかで、自然で、静かで、穏やかであることを感じてください。

歩いている時も、庭仕事をしている時も、パソコンを使っている時も、

一日中どんな時でも、この安らかな命の根源にもどることができるのです。

こんなガーター(偈)を唱えてみましょう。

息を吸って 息を吸っていることに気づく

息を吐いて 息を吐いていることに気づく

息をコントロールする必要はありません。

ありのままの呼吸を感じとります。

息は長いときも短いときも、深いときも浅いときもあります。

呼吸に気づく実践をしていれば、息は自然と深くゆったりとしてきます。

意識的な呼吸が心と体を一つにつなぎます。それが一瞬一瞬にマインドフルの力をもたらす秘訣なのです。

5つのマインドフルネス・トレーニング

01 いのちを敬う

いのちを破壊することから生まれる苦しみに気づき、相互存在を洞察する眼と慈悲とを養い、人間、動物、植物、鉱物のいのちを守る方法を学ぶことを誓います。

私は、けっして殺さず、殺させず、自分の心と生き方において世界のいかなる殺害行為も支持しません。

有害な行為は、差別や二元的思考から生まれ、怒り、怖れ、貪り、不寛容から生じることを見抜きます。

私は寛容さと差別のない心を育て、自分の見方に執着せず、自分の心と世界にある暴力、狂信、教条主義を変えていきます。

02 真の幸福

搾取、社会的不正義、略奪、抑圧による苦しみに気づき、自分の心、発言、行動をもって寛容さを実行することを誓います。

私はけっして盗まず、他に属するものを所有せず、私の時間、エネルギー、持ちものを、必要とする人とわかち合います。

深く見つめる実践によって、他の幸福と苦しみは私の幸福と苦しみとひとつであること、慈悲と理解なしに真の幸福はありえないこと、富や名声や権力や享楽の追及は大きな苦しみと絶望をもたらしかねないことを理解します。

幸福は外的な条件ではなく、心の持ち方によって決まります。幸福になるための条件がじゅうぶんにそろっていることがわかれば、今ここで幸せに生きることができます。

私は正しい暮らし方(正命)をして、地球に生きるものたちの苦しみを減らし、温暖化を軽減するよう働くことを誓います。

03 真実の愛

性的な過ちによる苦しみに気づき、責任感を育て、個人、カップル、家族、社会の安全と誠実さを守る方法を学ぶことを誓います。

性欲は愛ではなく、貪りによる性行為は、つねに自分と相手を傷つけることを知ります。真の愛と家族や友人から認められた深く長期的なかかわりなしには、けっして性的な関係を結びません。

力を尽くして子供たちを性的虐待から守り、性的な過ちからカップルや家族が崩壊しないように防ぎます。

私と他のすべての存在がさらに幸福になるために、体と心は一つであることを理解し、自分の性的エネルギーを適切に扱うことを学び、真の愛の四つの基本要素(四無量心)を育てます。

真の愛を実践すれば、それがすばらしいかたちで未来につながっていくと信じます。

04 愛をこめて話し、深く聴く

気づきのない話し方と、人の話を聴けないことが生む苦しみに気づき、愛をこめて話し、慈悲をもって聴く力を育てます。

自分をはじめとして、人びとや民族や宗教集団や国家間に存在する苦しみを見抜き、和解と平和をうながすことを誓います。

言葉が幸せも苦しみもつくりだすことを自覚し、信頼、喜び、希望を与える言葉を使って、誠実に話すことを誓います。

心に怒りが生じているときはけっして話しません。マインドフルな呼吸と歩く瞑想によって、その怒りを認めて深く見つめる実践をします。

怒りは、私自身の間違った認識と、自分と相手の苦しみへの理解不足から生まれる可能性を認めます。

自分と相手が苦しみを乗り越え、困難な状況から出口を見いだせるような話し方、聴き方をします。

確信のないことを言いふらさず、分裂や不和を引き起こすような言葉を発しません。

誠実な勤勉さ(正精進)で私の理解、慈しみ、喜びと受容(平等心)を養い、意識の奥深くにひそむ怒り、暴力、怖れを少しずつ変えていきます。

05 心と体の健康と癒し

気づきのない消費によって生じる苦しみに気づき、マインドフルに食べ、飲み、消費することを通して、自分と家族と社会に心身両面の健やかさを育てていくことを誓います。

食べもの、感じ方、思い、意識という四種の栄養の消費のしかたを深く見つめる実践をします。

私は賭けごとをせず、アルコール飲料、麻薬の他、特定のウエブサイトから、ゲーム類、テレビ番組、映画、雑誌、書籍、会話に至るまで、毒性のあるものはけっして摂取しません。

今ここに戻る実践を行って、自分の内とまわりの癒しと、滋養のあるすがすがしい要素にふれます。後悔や悲しみによって過去に引き戻されたり、不安や恐れや貪りによって今ここから引き離されないように気をつけます。

消費に没頭することで孤独や不安やその他の苦しみをごまかそうとしたりしません。相互依存の心理をよく見つめ、私の体と意識に、私の家族や社会や地球という集合的な身体と意識に、安らぎと喜びと健やかさを保つような消費のしかたを実践します。