http://karapaia.com/archives/52238258.html より
ある論争を巻き起こしている研究によると、現実とは脳が見えると予測するものに基づいた幻想にすぎないのだそうだ。
これまでの専門家の見解では、我々が認識している現実は目や耳から入ってきた情報を用いて脳が構築したものだとされていた。この現象をボトムアップ処理という。
ところが、今回「フィロソフィー・アンド・プリディクティブ・プロセシング(Philosophy and Predictive Processing)」というオンラインポータルで公開されている一連の論文によると、現実とはそれまでの知識や経験に基づいて脳が作り出したものであると示唆している。つまりトップダウン処理であるとうことだ。
したがって、我々が現実であると解釈しているものは、実際には心によるでっち上げ、あるいは幻想にすぎないということになる。
過去の経験や得た知識に応じて判断される現実世界
例えば、あなたが何かをつまみ上げたとしよう。そのとき感じる重さのほとんどは、実際の重量ではなく、脳が予測していたその物体の重さに基づいて認識されているということだ。
その証拠として、大きさと重さの錯覚について調べた先行研究が挙げられる。実験では、被験者に重さは同じであるが、サイズが大きいものと小さいものの2種のボールを渡し、その重さを答えてもらった。すると大きなボールの方が重いと回答されるケースが頻繁に見られたのである。
この現象は、過去の経験が現実の認識に影響を与えていることを示している。
予測処理と現実
認識が部分的にトップダウン処理に基づくという考え方は新しいものではない(これは認識に関する通説がその役割を無視してきたことを否定しない)、とヨハネス・グーテンベルク大学マインツ校のヴァンヤ・ヴィーゼ(Wanja Wiese)氏とトーマス・K・メッツィンガー(Thomas K. Metzinger)氏は論じている。
この予測処理という概念の新しい点は、それは感覚入力がはっきりしている場合でも、曖昧な場合でも、いつも行われており、トップダウン処理と知識の影響を認識における一般的な特徴であると徹底的に強調しているところにある。
彼らによると、今発生してしているに違いないことについて推論を導くため、脳は体内や環境での出来事を常に監視している。
そして、現実を最もうまく表していると考えられる予測を最優先する。その予測は階層的にまとめられているという。また見ているものの予測は、個人の経験や感情状態など、様々な要素に基づいているそうだ。
2014年、人は科学的根拠に基づく事実を知ったところで、信じたくないものは信じないという研究結果が報告されている。
であるならば、今ここにある現実は、自分の思考や価値観、経験から大きく歪められている可能性はなきにしもあらずだ。
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