プロに学べ!脳活用スペッシャル

http://www.nhk.or.jp/professional/2008/1021/index.html  より

アイデアは脳の前頭葉と側頭葉の連携プレーから生まれる

ひらめきの極意 プロのアイデア発想法

100人のプロの仕事の仕方を徹底分析した結果、茂木が導き出したポイントは、ずばり“寝る”発想法。しかし、ただ寝れば良いアイデアが浮かぶわけではない…

発想法(1) とことん考えてから、寝る

起きている間に一生懸命考えると、脳がそのことについて優先的に処理する状態になる。そして眠っている間に側頭葉の中で経験や知識が整理され、ひらめきが生まれてくることがあると考えられる。

発想法(2) 考え事は「場所」を選べ

アイデアが出やすい場所に共通したポイントは、脳が外からの情報に邪魔されない所。現代人はあまりにも情報がたくさん入りすぎているが、ひらめきや発想はむしろ情報をある程度、遮断した所で生まれるという。

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アイデアは脳の前頭葉と側頭葉の連携プレーから生まれる

脳を活用 プレッシャー克服法

脳科学の実験で、笑いの効用に迫る

常に大きな成果を求められるプロたちは、かかるプレッシャーも人一倍大きい。その多くが実践していた方法とは…

プレッシャー克服法(1) 苦しいときにも、あえて笑う

心の底から笑わなくても、口角を上げて笑った表情を作るだけで脳が影響を受け、考え方がよりポジティブになると分かってきた。ポジティブになることで前頭葉が適切に働き、プレッシャーがかかっていてもやるべきことに集中できると考えられる。

プレッシャー克服法(2) 本番前の「決まり事」を持つ

プロは本番に臨むとき、「決まり事」で脳を集中モードに切り替え、プレッシャーをはねのけて結果を出す。「決まり事」の内容は人それぞれだが、ポイントは何かしら体を動かすことだという。

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脳科学の実験で、笑いの効用に迫る

プロに学べ やる気が出る秘けつ

プロたちも小さな一歩を積み重ね、大輪の花を咲かせてきた

プロたちは逆境でもがきながらもモチベーションを保ち、はい上がってきた。一体どうやってやる気をかきたててきたのか…

モチベーションアップ法(1) 「あこがれの人」を見つける

脳科学的には「やる気」とは、「目標」を成し遂げ、達成感やお金などの「報酬」を得ようとする欲求のこと。まずはっきりとした目標を持つことが大事だ。目標となる人を持ち、その人の良き振る舞いを見ていると「ミラーニューロン」が反応し、自分も同じように振る舞うようになる。それが能力アップにもつながると考えられている。

モチベーションアップ法(2) 小さな「成功体験」を大切にする

高い目標があっても、まったく報酬が得られなければモチベーションは維持できない。小さくても、クリアできたらうれしい課題を自分で見つけることが大事。小さな成功でも、成功すれば脳の中でドーパミンが放出され、脳は快感という報酬を得る。苦しみを乗り越えれば快感が待っていると脳に刻まれれば、自然とやる気がわいてくる。

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プロたちも小さな一歩を積み重ね、大輪の花を咲かせてきた

茂木健一郎の人生相談

休みの日、朝起きた時には、やる気満々で予定をいっぱい考えるが、結局何もしない。先延ばしをやめて、思い通りの休日を過ごすには?

おそらく脳としては、いろいろ計画を練っているときに、もうすでにうれしさを感じてしまって満足している。もう一つ、「創造的な先延ばし」ということがあって、やることを先延ばしにしちゃおうというのは、実はすごく創造的であることが多い。まったく何もしないで怠けているということもあるが、なんとなくだらだらしているときは、具体的な形にはなっていないが、いろいろな情報を整理したりしている。それは無駄じゃない。脳というのは、ある目的があって行動する以上の何かをしている。

自分だけじゃなく、他人のモチベーションを上げるには?

基本的に、相手にモチベーションを持たせる方法は褒めること。ただ、めったやたらに褒められてもうれしくない。脳にとって一番うれしいのは、ふだんは厳しい先生がふっと笑顔になって「やったなあ」と言ってくれたら本当にうれしい。だから、しかるのはいつか褒めるための準備だと思えばいい。いつか褒める、そのときのために今日しかってみよう、そういう考えでやるといい。

子どもが嫌がる習い事をさせるために「頑張ったら好きなものを買ってあげる」と言ってしまった。子育てとしては果たして良かったのか?

ごほうびを買ってあげるという、その報酬がお母さんの愛情の表現だと思ってくれるのであればいいと思う。子どもを育てる一番の報酬というのは、やはり愛情であり、関心を持っているということ。この世で一番貴い(とうとい)報酬は愛情。子どもが好きなものをわかっているということが、すでに愛情のメッセージになる。子どもをよく観察してわかっているという、その表現だったらプレゼントというのもいいと思う。