グループでするレクチオ・ディヴィナ(注1)

http://sadhana.jp/inori/01.html  より

1】の聖ベネディクトの祈りを、グループでするのに適した形(注2)にアレンジすることができます。

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 《用意するもの》同じ聖書を人数分・ローソクとライター(ローソクはグループの輪の中央に置く)・あらかじめ、朗読者(2名)と点灯の係り(1名)を依頼しておく。用いる聖書個所(章のうちの何節から何節まで)も確定しておく。(グループの大きさとしては、4人から9人の間でまとまると良いでしょう。)

 この祈り方では、司会進行役が、始めから終わりまで、参加者全体をガイドします。

 はじめには、司会者は、グループを心を鎮める沈潜へと招きます(約2~3分)。次いで、司会者は自分のことばで、この場所に聖霊が来られて、聖書の言葉を生かしてくださるように祈ります。その後、ローソクに火をつけてくれるよう依頼します。

 ここから、読書の部に入ります。この日取り上げる聖書箇所を、3度ゆっくり読むこととなります。まず司会者は、参加者一同に、今日の聖書箇所を開くよう、促します。そして、朗読係りの1人に、指定の箇所全体をゆっくり朗読してくれるよう、依頼します。1回目の朗読が済むと、司会者は、各自で前半をゆっくり黙読するよう、促します。ついで司会者は、朗読係りのもう1人に、再び指定の箇所全体を朗読してくれるよう、依頼します。その後、各自で後半を黙読することを、全体に求めます。こうして、全員は指定の箇所を3回読み終わります。

 選び黙想することへと進みます。司会者は、全員に、今日の箇所において、生き生きと心に響く言葉、はっとさせられる言葉、とても気がかりな言葉、というような、「もっとも印象的な言葉」はどれかを、各自が選ぶように、促します。選定できた参加者は、自発的に、その言葉(フレーズ)を、3度祈るように唱えます。(同じ箇所を複数の人々が選んだとしても支障はありません)――全員が、唱えることを済ませると、司会者は、各自、自分の選んだ句や言葉を、心の中で響かせて、黙想するよう、求めます。その黙想に3分程度を充てます。

 分かち合う段階となります。司会者は、参加者に、選んだ言葉や句が自分に示してくれたことを自分の言葉にして話すよう、促します。これも自発的に参加者が語り出します。この段階は、場合によっては、パスする人があっても、許容します。

話すことが済んだと見計らわれると、司会者は、各自が自分が選んだ言葉、友人が選んだ言葉を心の中で味わうようにと、促します。ここからが、共同で、メディタチオ(黙想)とオラチオ(祈祷)に進み入ることとなります(もちろん、沈黙のうちに各自が黙想・祈祷をするわけですが、全員が一斉にその段階を歩むことは、各自に対して多大な支援となります)。

 この黙想・祈祷のためには、6~7分を充てます。

 むすびに入ります。司会者は、時間を確認すると、感謝の祈りをします。そして、ローソクの火を消してくれるよう、依頼します。(なお、ローソクの火が灯っている間は、いわば「お祈りタイム継続中」の意味合いがあります。)

火を消した後は、祈りの余韻の漂う滋味豊かな時間となります。この、くつろぎと余韻の心地良さの中で、さきの分かち合う段階においてパスした人も、話すことが可能になりやすいものです。また、お互いが選んだ言葉や分かち合いについて、もう少し質問したり、話すこともできます。このようにして、潮時となるまで、有効な時間を共有しましょう。

 なお、一つの点を皆で心掛けましょう。それは、聖書を用いることを祈りのためにするのですから、この箇所をどう解釈すべきかという聖書解釈論議はしない、という心掛けです。それは場所を変えてすることとして、この集いにおいては、心の中の響きを大事にしてゆきましょう。

【注1】グループでするレクチオ・ディヴィナ

 「レクチオ・ディヴィナ」という言葉は、ラテン語で、その意味は「神聖な読書」ということです。前の項目で取り上げた「聖ベネディクトの祈り」にみられる、読書~黙想~観想のプロセスを、グループが一体となって辿って行く祈り方です。

【注2】グループでするのに適した形

 ここに紹介している方法は、以下のようにして形成されました。――聖書を用いてグループで祈る方法が「セヴン・ステップ」として世界的に流布しています。この「セヴン・ステップ」の方法を、日本で、御受難修道会の来住英俊師が改良なさり、ここに紹介した形にまとめられました。