観察瞑想とは、その名の通り自分の思考や感情、感覚を積極的に観察しながら瞑想するもの。
今はやりのマインドフルネスも観察瞑想の一種です。
まずは呼吸
ではやり方を説明しましょう。
前回の集中瞑想でもそうでしたが、ここでも大事になるのが呼吸。
ゆっくり呼吸するのは同じ。やはり吐く方を長くするようにします。
ただ、集中瞑想とは呼吸に注意する方法が違います。
息を吸うときに鼻に入ってくる空気の冷たさ
だんだんとふくらんでくるお腹
吸うときから吐くときへの切り替わりにおける一瞬の呼吸の停止
吐くに連れてしぼんでくるお腹
といったように、呼吸を観察することで生じるあらゆることに積極的に気づいていきます。
気づいたらそれにとらわれずに、すぐに観察に戻ります。
ここまでが基本です。
気づいて流す
呼吸を観察していると、いろいろなことが浮かんできます。
今日まだ残っている仕事のこと
今朝ヨメとケンカして言われたムカッとすること
足がかゆくなってきた
眠い
暑い
などなど。
これらも浮かんできたら、いったんそれに気づいてすぐに呼吸の観察に戻ります。
頭の中は空、浮かんでくることは雲で、雲が空を流れていくイメージです。
例えばかゆみがひどい場合はそこをかいて(かくときにも指の動きなどを観察します)、また呼吸に戻ります。
どうしても気になることが浮かんできた場合は、いったんメモをして呼吸に戻ってもいいでしょう。
ただ、ここが観察瞑想の難しいところ。
「モンキー・マインド」という言い方もしますが、あらゆることが頭の中を常に猿のように駆け巡ります。
特に最初のうちは浮かんできた考えにとらわれてしまって、気がついたらかなり時間がたってしまうこともよくあります。
それでも大丈夫。気がついた時点でまた呼吸に戻ってくればいいんです。
出てくること自体は全肯定
観察瞑想をしているときによくあるのが、どうしても浮かんできた考えにとらわれてしまうことが嫌で観察しないようにしてしまうこと。
浮かんでくること自体はまったく問題ありません。それがどんなものであれ全肯定してあげましょう。
注力すべきなのは、浮かんできたことを判断せずに受け流していくこと。雲が流れていくイメージですね。
効果
観察瞑想に慣れてくると、実生活でも応用できることがたくさん出てきます。
日々生活していると、瞑想中と同じようにいろいろなことが浮かんできます。
仕事で行う大きなプレゼンが不安でしょうがない
言うことを聞かない子どもにイライラする
どうして自分はダメなんだろうと落ち込む
いままでだったら、これらに自動的に反射で対応してしまっていましたが、これにいったん気づくことができるようになってきます。
いったん気づくことができるようになれば、その後の行動を選ぶことができるようになります。
刺激と反応の間に距離を置いて、いったん認知してから反応することができるのです。
7つの習慣のうちの第1の習慣「主体性を発揮する」で出てくる、「主体的反応」とはまさにこのこと。
効果がどれほどのものかは、Googleはじめ世界の名だたる企業が研修で使っていることからもわかります。
まとめ
【観察瞑想】のバリエーション
座って目を閉じるだけが瞑想じゃない
瞑想というと、静かに目を閉じて座ってやるものというイメージがあります。
ですが観察瞑想では、自分の中に浮かんでくる思考や感情、感覚に気づいて手放すことができればいいので、姿勢にこだわる必要はないんです。
この点さえクリアできれば、いつでもどこでも何をしてても瞑想することができます。
座っていて雑念がたくさん浮かんでくる人には、むしろ今回の方法が向いているかもしれません。
その例を3つ紹介します。
食べる瞑想
まずは「食べる瞑想」。
やり方はカンタン。
食べることだけに集中する。他のことをしない。
ゆっくりよく噛んで味わう。ひと口ごとに箸を置くといいです。
口に入れたものを飲み込むまでは次に口に入れない
食べものの見た目(色、形など)、香り、味はもちろん、温度や食感なども含めて、5感をすべて使って食べものを感じるようにする。
要するに、食べることに全力で向かうようにすればいいんです。
思考が浮かんだら、いったんそれに気づいて受け流して、また食べることに戻る。
座ってやる瞑想よりも気づくことがたくさんあるので、他のことに気を取られにくいですね。
歩く瞑想
続いて「歩く瞑想」。
やり方は食べる瞑想と似ています。すべての意識を歩くことに向けます。
家の中や、あまり人通りが多くないところでやる。
一歩一歩をゆっくり踏み出す。
足が地面を感じていたところから筋肉を動かして地面を離れ、重心を移動しながら足を前に動かし、ゆっくりと下に下ろしていく。
歩くひとつひとつの動作に意識を向け、たくさんの浮かんでくることに気づいていく。
歩くことはとても複雑な動作です。気づくことは山ほどあるでしょう。
書く瞑想
最後は「書く瞑想」。
上のふたつはいろいろな本で見かけますが、こちらは主にわたしが使っているやり方。
もともとは「ずっとやりたかったことを、やりなさい。」という本に出てくるモーニングページというやり方の変形です。
ノートとペンを用意する。
朝起きてすぐに机に向かい、頭に浮かんでくることを何でも書いていく。
雑念が浮かんできたら、それもすべて書いていきます。
他の瞑想と違って、浮かんできたことが文字として残るのがいいところ。
わたしはふだん、PCに向かって書く瞑想をしています。
いかがでしたでしょうか。
これ以外にも、日常生活のすべてで瞑想するチャンスはあります。
禅の教えで、目の前のことに全力で取り組むということはまさに今回説明してきたのと同じこと。
少しでも「いまここ」にあることのすばらしさを感じてみてください。
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contents
第1章 なぜ、毎日がこんなに息苦しいのか?
第2章 生きづらさの原因は、相手ではなく自分にある
第3章 体の感覚を取り戻し、マインドフルに生きる
第4章 青空につながる瞑想
第5章 瞑想によって、本来の自分を生きる
内容(「BOOK」データベースより)
自分の能力を最大限に発揮するために、瞑想ほど力になるものはありません。1日15分の習慣で、自分探しの旅に終止符を打つのです。過去や未来へ飛び回るネガティブな思考を止め、「今」を生きるための瞑想法。仏教界を越えて話題の瞑想メソッド。
著者について
山下良道(やました・りょうどう)
スダンマチャーラ比丘1956年東京都生まれ。鎌倉一法庵住職。東京外語大学仏語科卒業後、曹洞宗僧侶となる。1988年、アメリカのヴァレー禅堂で布教、のち京都曹洞禅センター、渓声禅堂にて坐禅指導を行う。2001年ミャンマーのパオ森林僧院にてテーラワーダ比丘となり、日本人として初めてパオ瞑想メソッドを修了。現在は鎌倉一法庵を拠点として、日本各地、インド、台湾などで坐禅瞑想指導を行う。現在の立場は、大乗とテーラワーダを統合した「ワンダルマ仏教僧」。著書に『青空としてのわたし』(幻冬舎)、藤田一照氏との共著『アップデートする仏教』(幻冬舎新書)。
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