神秘学

http://www.amorc.jp/blog/201803091543_1730.html?tc=melma180309  より

「神秘学」(mysticism)あるいは「神秘哲学」という言葉を何となく怪しく感じる人は多いようです。

まあ、無理もないことなのですが、事情を知ると意見が変わる人も多いのです。

たとえば、今私が座っているデスクの後ろの本棚には、井筒俊彦さんという哲学・文化研究の大家が書いた「神秘哲学」という本があります。

この本を読むと、ソクラテス、プラトン、アリストテレスなど、西洋の哲学の源流が、まさに神秘学にあたるということが分かります。

ですから、「ヨーロッパの伝統的な哲学」と「神秘学」はほぼ同じ意味だと考えることができます。

神秘学とは何かという説明は、さまざまな切り口から始めることができます。当会のフランス代表が書いた「神秘学について」というブログ記事では、「神秘学」という言葉の由来から説明が始まっています。

今回、この記事を日本語に初めて翻訳しましたので、ご紹介させていただきます。

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バラ十字会AMORCフランス語圏本部代表セルジュ・ツーサンのブログ

「神秘家」(mystic)という言葉を用いて、謎めいた人や奇妙な人を指したり、ひどい場合には、現実感覚を失った偏った考え方をしている人のことを意味したりするジャーナリストやコラムニストがいます。

もちろん、このような意見に私は同意していませんが、残念ながら「神秘家」という言葉が、軽蔑的な意味や否定的な意味で用いられることが時として見うけられます。

そこで、「神秘家」という言葉の本来の意味を、その語源から考えてみましょう。「神秘学」(mysticism:神秘哲学)という言葉は、ギリシャ語の「ムスティコス」(musticos)に由来します。

「ムスティコス」は「人生の秘密」、より広く言えば「人生の秘密について調べること」を意味します。

ですから神秘家とは、人生の秘密に興味を持ち、物事がなぜ、どのようにして起こるのかを理解しようとしている人のことを指します。

神秘家と、この語の本来の意味で呼ばれる人たちの多くに共通している特徴は、人生について、宗教というよりはむしろスピリチュアルな(spiritual:非物質的な領域が存在すると想定し、それを重視する)取り組みをしていることです。

つまり、このような人たちは、ソウル(魂)と神が存在すると考えていますが、神のことを、人格を持たない絶対的な知性だと理解しています。

さらに、宇宙と自然界と人間はこの知性に満たされていて、この知性は、物質的な法則と非物質的な法則として表れていると考えています。

神秘学的な見方からいえば、これらの法則を学び、それを活用し、それに沿うように生きることが、私たちの誰もが望んでいる幸福を実現するための最も確実な方法です。

そして、私たち人間の大部分が幸せでないという現状は、私たち人間がこれらの法則に無知であり、あまりにも頻繁にそれに違反しているということがまさにその原因です。

一部の人の想像とは異なるかもしれませんが、神秘学の探究を行っている人たちの大部分は、バランスの取れたごく普通の生活を送っています。

さらに言えば、このことは神秘学の探究にとって必要不可欠なことです。

というのも、神秘学は社会から遠ざかったり現実から逃避をしたりすることを意味しておらず、それとはまったく反対に、神秘学が意図しているのは、他の人たちとの交流を通じて個人が内面的に進歩するのを補助することだからです。

ですから神秘学は日常生活のことを、役に立ち必要不可欠な経験の場だと見なしています。

このことはまさに、バラ十字会AMORCの世界中の会員の大部分が共有している見解です。

「神秘家の頭は天空にあるが、足を大地につけている」という古くからのことわざも、このことを表しています。

ちなみに私は神秘学のことを、スピリチュアリティを探究する(内面の崇高さを究めようとする)行いの中でも極めて優れた種類の探究のひとつだと考えています。

なぜなら、神秘学とは単に神を信じることではなく、先ほどご説明したように、神(人格を持たない絶対的な知性)が私たちの周囲に表現しているさまざまな法則を理解することだからです。

別の言い方をすれば、神秘学とは、宇宙(と神)を理解するためだけでなく自身を理解するための知識です。

さらに、私たち人間は自分の運命をコントロールすることができ、自分の望みにできるだけ合致するような人生を実現することができるということを、多くの神秘家が確信しています。

もちろんこの実現のためには、自分の考え、発言、行いをさまざまな法則に沿うように変えていくことが必要になります

この文章の結びとして、優れた科学者であり真の神秘家であったアルバート・アインシュタインの言葉をご紹介したいと思います。

「我々が経験できる最も美しく、最も深遠な感情は神秘の知覚である。(中略)私たちにとって計り知れないことが実際に存在し、最高の英知かつ燦然(さんぜん)たる美として現れていて、私たちはその最も粗野な部分しか理解することができない。この知識、この感覚こそが真の経験すべての核心である。」

バラ十字会AMORCフランス本部代表

セルジュ・ツーサン


https://plaza.rakuten.co.jp/5dolphin/diary/201306190001/ より

エメラルドタブレット(2): 1785年の「薔薇十字の秘密のシンボル」の冒頭に出てくる数字 http://oka-jp.seesaa.net/article/256643211.html

さて、この古書。最初の図説が出てくるのは6ページ目なのですが、それがこれです。

ELOHIM (エロヒム) IEHOVAH (エホバ)の文字で始まるこのページ、4のマークが4つの円を作っていて、そして、その「4同士が手を結んでいる」。私はこれを見て「4同士が手を・・・」と思わず絶句しました。そして、「4という数字」としての意味よりも「その形」としてのシンボルであるということがさらに興味を引いたのです。

何のことだかわからない方が多いかと思われるのですが、私は昨年、日記ブログの「クレアなひととき」で、かなり長い間に渡って、「数字の4」のことについて考えていました。最初に「この世の基本数は4に違いない」という結論があって、それはどうしてかということを考える旅だったのですが、途中でわからなくなり止まったままです。

「この世の基本数は4かもしれない」というのは、昨年の秋に交差点の信号でボーッと風景を見つめていた時に突如思い至ったのですが、まあ、そのあたりのことは長くなりますので、関係リンクを記させていただくにとどめておきます。

 ・交差点での覚醒 - 基本数は「4」だった (2011.09.10)

 ・十字架がこの世にできた理由 (2011.09.12)

 ・「4」と同義語である「世界」 (2011.09.14)

 今回の「薔薇十字の秘密のシンボル」は、その中にエメラルド・タブレットのことが書かれてあるものですが、その書の最初に「4」があるということにとても興味が湧きました。それで、上の図説の部分でわかる部分だけを日本語にして作り直してみようと思いました。

ラテン語ということもあり、「いい加減である」ということをご承知の上でご覧いただきたいです。

それが下のものです。


最初にエロヒム エホバとあり、これは旧約聖書などでの、いわゆる「主」とか「神」とか、そういうものを表しているものの表記のように思いますが、ここでどういう意味で使われているのかはわかりません。

そして、円の中は、天空の要素  父と母  小宇宙  動物大地と野菜  鉱山と鉱物

硫黄、水銀、塩などとあって、これは「天空」と書きましたが、要するに「宇宙の要素」ということだと思います。曖昧な部分もありますが、わりと意味のはっきりとした記述のように感じます。

そして、それを囲む4つ。

これの組み合わせはよくわかりません。

ただ、右側の カオス  普遍的な聖霊  世界中の魂  精子は、「カオスと聖霊と魂と精子が同列」として書かれてあるということで興味深いです。

精子の動きがカオスであることは以前から感じていました。下のは顕微鏡で見た人間の精子ですが、これと「魂や聖霊」を同じグループにみなしているということも言えるのかもしれません。

このカオスな精子たちの動きに「秩序が生まれる」のはどうしてかということを考えると、何となく感慨深いものがあります。太陽と卵子の形が似ている道理も少しわかります。

いずれにしても、この「4の図」が最初にあったということは、少なくとも薔薇十字での考え方としては、「この4つによる世界が根本」というものがあるのかもしれません。

薔薇十字といえば、以前、クレアでいつもとてもわかりやすく西洋神秘学についてのコメントを下さっていた方がいて、彼は薔薇十字とシュタイナーの研究を続けている人ですが、最近、久しぶりにメールをいただきまして、そこにはこのようにありました。

それによると、薔薇十字的な解釈では、現代の秘儀には三つの段階があるのだそうです。

それは、1. 聖杯 2. エメラルドタブレット3. 賢者の石と呼ばれているもので、それぞれが、

1. アストラル体の変容  2. エーテル体の変容  3. 物質体の変容を意味するのだそう。

さらに、彼は下のように記してくれていました。

このあたりは私には解説が無理ですので、そのまま転載させていただきます。

宇宙の思考を受け入れる杯としてアストラル体を新たな認識器官にする必要があります。またそれを自分のエーテル体(記憶)に書き込む必要があります。

そして最後に二酸化炭素を排除して自らの体をダイヤモンドにする必要があります。

いずれも鍵は、呼吸&血です。

心臓はそのための脳に代わる新しい器官です。

とありました。

今回は、「4」という数字にふたたび衝撃を受けた、ということで記事にしましたが、エメラルドタブレットの実際の翻訳にはもう少し時間がかかるかもしれません。

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以上の話ですが、シュタイナーの人智学の講義を学んでいる人ならある程度わかると思いますが、この図は、恐らく、人間の4つの体、つまり自我、アストラル、エーテル、肉体を意味するものと思われます。

エロヒム  エホバは「自我」を表し、4つの文字から表されるYHWH(テトラグラマトン)でもあり、人間の自我が、神々から生まれることを意味するものと思われる。

エロヒムが神々で複数、エホバが、主神で単数、つまり、神々が1つになることで、エホバにみえるということを意味するのだろう。エロヒムのエホバは、例えば人々を、人類と表記することにあたる。

エホバの下の第5の要素とは、恐らく、人智学でいわれる霊我(マナス)のことで、人類が次の進化段階に進むために必要な霊的器官のことで、いわゆる認識のことにあたり、精神的に向上しようとする意志、人間個人から、人類全体、果ては、神々の意識に近づく努力などを表すのだろう。

円のなかの、「天空の要素 父と母 小宇宙(人間) 動物 大地と野菜(植物) 鉱山と鉱物 硫黄、水銀、塩」は、陰と陽の両極性を表しているようにみえる。特に「硫黄、水銀、塩」は、錬金術の両極性の用語で、「硫黄」と「塩」を中和させるのが「水銀」で、「硫黄」は柔化、「塩」は硬化、「水銀」は、両者の釣り合いを意味する。

だから、円のなかの文字は、天空の要素の唯一神から父と母が生まれ、人間になり、その下に動物、植物、そして鉱物の大地の要素に至り、大地の要素は、錬金術の硫黄、水銀、塩の手続きを通じて、天空の要素と一体化する、といういわゆる曼荼羅を形作る。

右側の「カオス 普遍的な聖霊 世界中の魂 精子」は、霊的世界を表わし、アストラル界を意味するのだろう。カオスのアストラル界に自我が秩序を示すことで、人間の精神は形成される。そういう意味では、人間の精神は、カオスの縁にある。

左側が、エーテルを表わすことは、「時間、化学」などの言葉により容易にわかる。

そして下側は、肉体、つまり物質世界のことである。

さて、上で説明されている薔薇十字的な解釈でいう秘儀の三つの段階とは、1. 聖杯 2. エメラルドタブレット 3. 賢者の石で、それぞれが、1. アストラルの変容 2. エーテルの変容 3. 物質体の変容という意味をもつが、更に人智学用語でいうなら、アストラルの変容が霊我(マナス)の獲得、エーテルの変容が霊生命(ブッディ)の獲得、そして物質体の変容が霊人間(アートマン)の獲得を意味する。

これは、剣、玉、鏡の、いわゆる3種の神器と呼ばれているものである。そして、次の言葉、「宇宙の思考を受け入れる杯としてアストラル体を新たな認識器官にする必要があります。またそれを自分のエーテル体(記憶)に書き込む必要があります。

そして最後に二酸化炭素を排除して自らの体をダイヤモンドにする必要があります。

いずれも鍵は、呼吸&血です。

心臓はそのための脳に代わる新しい器官です。」

錬金術の奥義で、アストラルに聖杯(超感覚的認識)をつくり、エーテルにエメラルドタブレットの記録を書き込み、そして、物質体を、植物が行なう光合成の原理を用いて、炭素からなる輝くダイヤモンドにすることで、ダイヤモンドは、別名「金剛石」と呼ばれ、人体が金剛石になると、心臓は、脳に代わる新しい感覚器官になる、という意味を表わす。

シュタイナーは、心筋細胞が黄紋筋なのは、いずれ随意筋になる可能性を秘めているからである、と述べている。つまり、人体が金剛石になると、心筋は随意筋になる。だから、逆にいうなら、心筋が不随筋になっているのは、少々いいすぎかもしれないが、現代人の精神が堕落腐敗しているせいといえる。

現代人に心臓疾患が多いのは、精神が腐敗堕落しているせいで、自分で行動しようとする意志にかけ、誰かに頼んで楽をしようとする怠慢にある。例えば、エコノミー症候群を考えればよいが、移動を乗り物に頼っていると、呼吸と血の平衡状態が乱れ、血が堕落し、固まってしまうと考えられる。適度な運動が、呼吸と血に平衡状態をもたらし、長寿の鍵ともなる。

キリストが、天は、自ら助ける者を助けるというのは、この心臓の原理をも表わしている。

呼吸と血に平衡状態をもたらし、統合制御しているのは心臓で、心臓から感情が起きてくる。だから、悪しき感情をもっていると、心臓疾患になる。ちなみに賢者の石とは、シュタイナーによれば、炭素のことである。

ちなみに上に紹介した図の4つの手をつないでいる存在を、現代物理で解くなら、4つの力、つまり、重力、電磁気力、弱い力、強い力の源流と考えることもできる。そうすると、重力が肉体、電磁気力がエーテル、弱い力がアストラル、強い力が自我にあたるものと考えられる。

これは、重力統一理論の超弦理論が、原子核(強い力)モデルの弦理論から派生したことからもわかる。大宇宙と小宇宙の関係である。

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