3重の正6面体と365

http://metalogue.jugem.jp/?eid=1827  より

プラトン立体の中で一番馴染み深い正6面体で話を進めよう。正6面体の6つの面の中心をつなぐと正8面体が現れる。そしてこの正8面体の8つの面の中心を繋ぐと、図左に示したように再び小さな正6面体が現れてくる。この2度の面点変換で生じた2つの正6面体の体積比は1:27である。これは双対立体の正8面体側から見ても同様で、この関係はミクロ・マクロの双方向にどこまでも続いている。

■この操作を外側に展開するとは、内側の正6面体から外側の正6面体への変換操作に等しい。基本の正6面体の体積を1とすれば、体積は外側に3^0→3^3→3^6→3^9…と増えていく。正8面体に関しても同じことが言える。左図はこの関係を示し、中図は正8面体を抜いて見やすくしたものである。そして右図は3×3×3のルービックキューブの全体と1ピースの関係と同じであることを示している。

■2度したことは3度してみよ。ということでこの操作をもう1度繰り返すと、体積比が(9×9×9=)729倍の正6面体となる。最初の正6面体の体積は1^3=1であり、2番目の正6面体の体積は3^3=27であり、3番目の正6面体の体積は9^3=729である。ではここで基本1ピースを地球の1日と同型対応して、この3重の正6面体における各ペアの関係を見てみよう。ペアの関係は全部で3種類ある。

■1+27のユニット数は28であり、1+729のユニット数は730であり、27+729のユニット数は756である。28日は「13の月の暦」の1ヶ月でちょうど4週間(7x4=)28日だった。水星の公転周期88日と会合周期116日の差は28日であり、水星-金星の会合周期144日と、水星-地球の会合周期116日との差もまた28日である。水星の公転周期88日はほぼ28πに等しい。28は7の3角数であり2番目の完全数である。

(※)人間の中にも様々な28日サイクルが存在している。感情のバイオリズムは28日であり、ヒトの表皮細胞の寿命も28日である。女性はその自然な28日サイクルを、生理周期として内包している。

次に最初と3番目のユニット数の和は(1+729=)730だが、これは365の2倍である。365日は言うまでもなく地球の太陽に対する公転周期または1年の日数である。そして2番目と3番目のユニット数の和は(27+729=)756で、こちらは365に13を足した378の2倍に等しい。378日は土星の会合周期の日数である。太陽から公転軌道が遠い土星は、地球が1公転してもまだ360度+13度ほどしか動かないのだ。

■月の朔望周期の29.5日に対して、土星の公転周期は29.5年とちょうど1年1日法的なホロンになっている。そこで3重の正6面体の体積比を「年」で見てみよう。28年は天王星の1/3公転周期であり、月が地球の周りを365公転する周期であり、人間の7年周期が4つ重なって新たなフェイズに入る時である。また729-1の3倍の2184年は天王星の26公転周期であり、756年はぴったり天王星の9公転周期である。

ルービックキューブを見直してみる

■3×3×3の正6面体を見て、ルービックキューブを連想する人は多いだろう。そもそもこの立体パズルはハンガリーの建築学者エルノー・ルービックが1974年に、3次元幾何学を説明するための動くモデルとして考案したもので、数学的には群論とも関連が深いものだ。しかし現在ではそのパズル的側面が前面に出て、いかに速く解くかを競うことが主流になっている。2010年の7月に米国のグループによるコンピューター解析により、最短20手で全面が揃うということが示された。

■しかしここではその解法の説明ではなく、このルービックキューブそのものの構造について見てみよう。正6面体は点4・線12・面6・胞1の合計27の要素からなっている。ルービックキューブでは点の位置にあるものをコーナーキューブ、線の中心位置にあるものをエッジキューブ、面の中心位置にあるものをセンターキューブと呼ぶ。残る1つは重心位置にあるが、それぞれの点・線・面・胞の0・1・2・3次元とは逆に、小キューブの見える面数は3・2・1・0となっている。


またこの小キューブの見える面の数は(9×6=)54面で、27の倍になっている。実はこのルービックキューブは見えている全ての面がその位置を移動できるのではなく、構造上センターキューブ及び重心の位置にある小キューブは回転はしてもその位置は変わらない。その合計7個のユニットだけを抽出すると、上図中央のように直交3軸のいわば立体十字架のような形状になる。そしてこの部分を取り外した稼動部分のみを示すと、上図右のような形状となり、全部で20ピースとなる。

■このように直交3軸方向の立体十字架的な中心の7ユニットがない、全部で2 身ースの小キューブからなる立体パズルも存在しており、ボイドキューブという名前ですでに商品化されている。なおこの操作の結果としてできる20ピースの小キューブのそれぞれにまた順次同様の操作を繰り返していくと、メンガー・スポンジと呼ばれる自己相似なフラクタル立体の一種となる。したがって最初の立体十字架を抜いた形状は、表現を変えるとメンガースポンジのステップ1と同じ形である。

このメンガースポンジの各ステップごとのフラクタルな正6面体の個数を見ていくと、ステップ0は1個、ステップ1は20個、ステップ2は400個、ステップ3は8000個…と増えていく。つまりそのユニット数は単純な20進法の桁数として表れてくるということだ。この再帰的な穴あけ操作を無限に繰り返すと、理論的にはこの立体の体積が最終的には0になってしまう。このメンガースポンジのフラクタル次元は2.7次元(より正確には log20/log3=2.726833…次元)である。

■この構造はまたフォトニックフラクタルとも呼ばれている。光造形システム(※1)で成型した27mm角で約9gのメンガースポンジ(ステージ3)を作り、8ギガHzの電磁波を照射すると、反射も透過もせずに10-7秒間中心部の空洞に残っていた。穴を開けていないものだと反射も透過もした。大きさや材質を変える事で、電磁波の周波数も変えられるので、理論的には光の貯蔵も可能ということになる。しかし単純な素材と構造だけで,なぜこのような働きをするのかは未解明のままである。

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(※1)酸化チタン系の微粒子を混ぜたエポキシ樹脂の立方体。信州大理学部の武田三男教授と本田勝也教授,大阪大接合科学研究所の宮本欽生教授らの発表による。