リビングウィル(尊厳死宣言書)

http://www.bandoheart.jp/aiironokaze/030/03.html   より

日本尊厳死協会

『藍色の風 第29号』の「平穏死の勧め」を読まれた方から、「終末期に自分が受ける医療に関して、その希望をどのようにして医療者側に伝えたらいいのですか?」と尋ねられました。

認知症になってしまったり、疾患が重篤化して意識状態が混濁してしまったりすると、自分の意思を家族や医療者側にきちんと伝えることができません。このため、判断が正確に行える時に、文章で自分の意思表示をしておかなければなりません。そのための手段のひとつとして『日本尊厳死協会』の会員になるという方法があります。当クリニックでもこれまでに5名の方が同会の会員になっておられます。

日本尊厳死協会は1976年に、医師で国会議員でもあった大田典例という方を中心に、医師、法律家、学者、政治家などが集まって設立された団体で、リビングウィル(生きている本人の、生きた遺言書、生前発行の遺言という意味)の普及に努めています。現在の会長は名古屋学芸大学学長の井形昭弘さん、顧問にはウシオ電機会長の牛尾治朗さん、トヨタ自動車取締役相談役の奥田 碩さんが就任されています。不治かつ末期になったとき、無意味な延命措置を断り、安らかな自然死を迎えたいという願いから始まった運動です。リビングウィルの要旨を以下に記します。

会員になるとこのような尊厳死の宣言書に自著します。原本は尊厳死協会が管理し、コピー2通が送られてきます。一通は本人が持ち、もう一通は家族に預け、必要が生じたときにその宣言書を医師に見せることになります。年会費は2千円、夫婦会員は3千円で、退会は自由です。

http://will.aozorajimusyo.com/songen.html         より

リビングウィル(尊厳死宣言書)の作成

リビングウィル作成相談はあおぞら行政書士事務所へリビングウィルは遺言書のように書き方が法律で決まっているわけではありません。

しかし遺言書と同様に、本人の意思を明確にし、後日のトラブルがないようにしておかなければなりません。素人の生兵法で作成しても、実際の時に役立たないのでは意味がありません。

よってあおぞら行政書士事務所ではみなさまのサポートをし、場合によっては公正証書作成によってリビングウィルを作成するお手伝いをしております。

①尊厳死の希望する意思表示

延命治療を拒否して尊厳死を希望する―。リビングウィルの一番重要な部分です。

不治の病に侵されたとき、苦痛を和らげる最小限の治療以外は控えてもらい、安らかに最後を迎えたい。家族に経済的負担をかけたくない。そんな自分の意思を医療現場と家族へ伝えます。

②尊厳死を選択した理由

自分がなぜリビングウィルを作成したか―。自分の経験談(親や友人の延命治療を見て自分は拒否したいと思ったなど)、価値観を具体的に書き記すことで、医療現場・家族への説得材料になります。

例:経済的負担をかけたくないとの配慮

例:親族の延命治療を受けた時の様子があまりにも忍びなくて、自分では避けようと思っていた

③家族の同意

リビングウィルは法律で定められた文書ではありません。よって9割以上の医療現場が受け入れてくれているとは言え、家族の反対などがあれば、なかなか延命措置を中止するなんてことはできません。

家族は1秒でも長く生きて欲しい―。そんな気持ちであることが大半でしょう。

リビングウィルを作成するときに説明をして同意を得ていれば、そんな混乱も招きにくいものですし、そのことを文面に記しておけば、より安心です。

④医療現場に対する免責効果

家族や医療現場の医師等が、延命措置を行わず尊厳死を実現した結果、警察や検察から法的責任(刑事的・民事的にも)を問われないように配慮を求めておきます。

⑤宣言の効力と撤回

リビングウィル(尊厳死宣言書)は自分自身が心身ともに健全な際に作成した旨、自分で破棄・撤回しない限り効力を持ち続けることを明確にしておくと良いでしょう。

言い換えれば、いつでも自分の意思で撤回できるという事です。

http://www.enjoy-mylife.net/being/songenshi  より

尊厳死とは

尊厳死とは終末期に延命のための治療をせず、自然にまかせた死を望む行為です。

内閣府の調査(平成27年版高齢社会白書)によると、「延命のみを目的とした医療は行わず、自然にまかせてほしい」と回答した人は91.1%でした。

エンディングノートに記入項目がある「延命措置」、終末期の医療を考えるときに避けては通れない問題です。

「自分の最後の時間をどう過ごすのか」を考えることは、終活の定義である「今をよりよく自分らしく生きる」に繋がることだと私は思っています。

尊厳死の善悪を判断するのではなく、尊厳死がどういうものかを知って、その上で自分が何を選ぶのかが大事です。

そのためにも尊厳死ってなんなのか?一般財団法人日本尊厳死協会が伝えている尊厳死について一緒に調べてみましょう。

2つのキーワード

本人の意志

患者の権利宣言(リスボン宣言)では、自己決定の権利でつぎのように唱われています。

患者は、自分自身に関わる自由な決定を行うための自己決定の権利を有する。医師は、患者に対してその決定のもたらす結果を知らせるものとする。

精神的に判断能力のある成人患者は、いかなる診断上の手続きないし治療に対しても、同意を与えるかまたは差し控える権利を有する。患者は自分自身の決定を行ううえで必要とされる情報を得る権利を有する。患者は、検査ないし治療の目的、その結果が意味すること、そして同意を差し控えることの意味について明確に理解するべきである。

患者は医学研究あるいは医学教育に参加することを拒絶する権利を有する。

「本人の意思とは、自然のままにおとずれる自分の死を受けいれること」だと思います。

日本尊厳死協会では尊厳死の意思を示すために、尊厳死の宣伝書(リビングウィル)を用意しています。

不治かつ末期

「回復を目的とした治療に効果が全く期待できなくなり、かつ死への進行が止められなくなった状態で終末期にあること」が尊厳死の条件で、安易に死を選ぶわけではないことがわかります。

延命措置ってなんですか?

延命措置としてつかわれるものはつぎのもがあります。

人工呼吸

人工透析

栄養・水分補給(経鼻管、胃ろう、中心静脈栄養など)

血液循環の維持

薬剤投与など

ここで勘違いしないでほしいのは、人工呼吸や胃ろうがすべて悪いわけではないということです。

これらを一時的な機能回復のための治療や救命措置として使うのか、死を先送りするための延命措置として使うのかが問題なんです。

ただ、医療の現場ではどちらかの判断がむずかしいケースもあると思いますので、終末期を迎えるまでに家族や主治医など周囲の関係者と話しあう必要があります。

安楽死とのちがい

日本尊厳死協会では、安楽死について「医師など第三者が薬物などを使って患者の死期を積極的に早めること」としています。

どちらも「不治かつ末期」で「本人の意志に基づく」という前提は同じですが、人為的な行為によって死を選ぶことが安楽死であり、自然に任せた死を受け入れるのが尊厳死になります。

安楽死と尊厳死について

安楽死・尊厳死をめぐる法対応について、医療と法律の専門家からお話しを伺った映像をご紹介します。

尊厳死の宣言書(リビングウィル)

尊厳死を希望するひとが元気なうちに自分の意志を示せるように、日本尊厳死協会では尊厳死の宣伝書(リビングウイル)の普及活動をおこなっています。

延命治療はのぞまなくても、終末期にある痛みをやわらげるための緩和医療は積極的にしてもらうことがポイントですね。

コズミックホリステック医療・教育企画