英化学者「意識は宇宙に偏在する」

http://tocana.jp/2017/07/post_13855_entry.html    より

世界中の科学者・哲学者が今も頭を悩ませ続けている“人間の意識”。人類が数千年にわたり挑み続けてきたこの難問に、この度、一石を投じる理論が提唱されたとのニュースが舞い込んできた。なんと、意識はあなたが生まれる以前から存在し、死後も永遠に存在し続けるというのだ!

ハミルトン博士「DAVID R HAMILTON PHD」より引用

 驚きの理論を提唱しているのは、英グラスゴー大学などで教鞭を取り、現在は著述家として活躍している化学者のデイヴィッド・ハミルトン博士。博士によると、全ての意識は肉体の誕生以前から宇宙に存在し、死後も存在し続けるという。一体、どういうことだろうか? 英紙「Express」(7月13日付)の記事から博士の発言を引用しよう。

「我々一人一人は人間として地球上に誕生する前から存在しました。我々は純粋な意識ですが、現在は身体的・物理的レベルで存在しているということです」(ハミルトン博士)

「科学のメインストリームでは、意識は脳の化学的な副作用だとされていますが、私の考えは違います。確かに、テレビの配線の質が電気信号処理と映像の質に影響を与えるのと全く同様に、脳が意識に影響を与えることはあるとは思います。しかし、テレビは番組を作ることはできません。同様に脳は意識を生み出してはいないのです」(同)

画像は「Express」より引用

 要するに、痛覚を伝達するC繊維が刺激されれば、痛みが意識されるように、脳と意識には相関関係があることは間違いないが、脳が意識そのものを生み出したわけではない、ということである。

 さらに、ハミルトン博士は、意識は量子レベルで時空を超えて存在するとも語っている。キリスト教などにおいては、死後、人間の「魂」は天国や地獄に行くとされているが、博士の考えによれば、天国も地獄も存在せず、魂はこの世界に留まり続けるということだろう。これは、「エネルギーは創造されもしないし、破壊されもしない。ある形から別の形へ変わるだけである」と語ったアインシュタインの物理学とも通底するように思われる。

意識の存在は宇宙の神秘

画像は「Express」より引用

 また、以前トカナでもご紹介した、再生医療の専門家ロバート・ランザ博士も、ハミルトン博士と似た立場から意識の謎に取り組み、物質ではなく生命と意識こそ現実理解のための基礎的な要素であるとする「生命中心主義」を標榜している。ランザ博士によると、意識は物質よりも根源的な存在であり、肉体は意識を受信するためのアンテナに過ぎないという。

 意識の問題を主題的に扱う哲学の一分野「心の哲学」でも、脳や神経細胞といったレベルの構成においてはじめて生まれるのでなく、宇宙の根本的レベル、つまりクォークやプランク長といったレベルにおいて原意識という形で存在するとされているという「汎経験説」が提唱されている。(参考:「心の哲学まとめwiki」)

画像は「Thinkstock」より引用

 このように、意識には脳に還元することのできない、全宇宙の神秘が宿っているのだ。これから徐々に、「意識=脳の作用」という構図は解体され、宇宙や量子力学を巻き込んだ壮大な探求になっていくことだろう。今度ますます意識の問題から目が離せなくなりそうだ。

(編集部)