目の不思議

https://www.skk-net.com/health/me/c02_0902.html 【盲点は、指摘されて気づくもの】より

 問題があるなんて全く考えずに順調に進んでいた計画が、大願成就を目前に、思いもよらぬミスを指摘され、あわてて最初からの仕切り直し。まさに「盲点を突かれた」と悔しがるこんな経験、あなたもありません? 人間一人で把握できる情報というのは、本人は完璧と思っても、結構落とし穴があるもの。他人ひとから見ればなんでもないようなことに、意外と気づいていないこともあるのでしょう。

「盲点」を辞書で調べると、(1)意外に気づかない点、という意味以外に、(2)視神経が眼球に入ってくる部分、という解説もあります。(2)は、医学的に視神経乳頭と呼ばれる部分を説明したものです。視神経乳頭は、網膜上の視神経が1カ所に集まり束になって眼球の壁(強膜)を突き抜けていく所で、眼底の中央やや鼻寄りに位置します。眼底写真で、周囲の網膜とくっきり区別がつく、薄い黄色の丸い部分です(下記イラスト・写真参照)。

視神経乳頭には視細胞がないため、光を感知できません。そこに対応する視野は、マリオット盲点と呼ばれる暗点となり、どんな人にも必ず存在します(マリオットは17世紀のフランスの物理学者)。

 ここでちょっと実験してみましょう。左眼を閉じ、右眼で下の図の+印を見つめ、この図と目を、20~25センチメートルぐらい離してみてください※。それまで見えていた右側の白丸が、消えてしまったはずです。白丸の位置が、ちょうどマリオット盲点に入ったためです。

※ 図の左右の長さが10センチメートルに見える設定で

 マリオット盲点は、反対側の眼の視野にカバーされていたり、周囲の映像や記憶により情報が補足されることなどから、生活上その存在が問題になることはありません。ところが (1)の意味の盲点は、冒頭の話のように、突然そこを突かれてピンチを招く怖さがあります。こちらの盲点こそ、この実験のように、簡単に発見できる方法があればいいのですが...。


https://www.areanet.ne.jp/blog2/?p=654 【目の不思議】より

Suren Manvelyan氏の目の接写

私たちの日常生活は常にさまざまな情報で溢れています。その外界から得る全情報の80%は目から得ているといわれているのですから、目の機能なくしてはどうすることもできないといった状態に陥ってしまうでしょう。

また、目はものを見るだけでなく、あなたの印象や感情までも周りに伝える力を秘めているのです。

(右の写真=アルメニアの写真家で物理学教授のSuren Manvelyan氏によるマイクロスコープを使った人間の目の接写。ブラックホールのような黒い瞳孔と、周りの虹彩は星雲のようで神秘的な宇宙を感じさせる。)「目」でロック解除できる虹彩認証

「目」と「脳」の関係

目の構造はよくカメラの構造に例えられます。明暗によって目に入る光の量を調節する虹彩は“絞り”、毛様体と連動して厚みを変える水晶体は“レンズ”、視細胞によって光を感じ映像を写しだす網膜は“フィルム”、といった具合です。

目の構造

そして網膜で受け取った光の刺激は電気信号に変換され、視神経を伝って脳へと伝達されます。

さらに脳へと到達した後も細かい修正がなされて、初めてものが「見える」と感じるのです。

誰にでもある「盲点」

よく「盲点」のことを“人が気づかずにうっかり見落としている点”という意味で用いられていますが、「盲点」は実際に私たちの目にも存在しているものです。

マリオット盲点(盲斑)ともいわれていて、網膜上の視神経が束になって脳へと出ていく視神経乳頭という部分のことで、この部分には視細胞がありません。私たちがふだん盲点を意識することなく見えているのは、目から入った情報が脳の機能によって補完されて『見て』いるからなのです。

   *盲点を探してみよう!

   ① まず左目を閉じます。(左手で左目を覆ってもOK)

   ② 右手の人差し指を立ててひじを伸ばしまっすぐ肩の高さまで上げます。

   ③ 右目だけで人差し指の先を見つめます。

   ④ その位置から目をそらさずに右腕をそのまま外(右方向)へゆっくり

    動かします。そうすると、視界から指先が消えるポイントがあります。

    これが『盲点』です。

「目は口ほどにものを言う」

*目は健康のバロメーター********

目はあなたの健康状態も映し出します。貧血や黄疸がひどくなると結膜の色に現れますし、眼底を見れば動脈硬化や糖尿病などの病気の進行を知ることもできます。

*目の動きは“心”の動き!?********

カギを握る「固視微動」とは

視線が同じ場所にとどまっているように見える時でも目は常に動き続けている眼球運動のことで、この刺激が視覚能力の低下を防いでいるのだとか。

またマイクロサッカードと呼ばれる固視微動は、無意識に注意を惹きつけられているものの方へ反応が偏るのだそうです。

つまり、マイクロサッカードには人の隠された思惑や密かな欲望が表れてしまっているらしいのです。

目から溢れ出る「涙」の秘密

涙は乾燥から目を守りまぶたをスムーズに動かすための基礎分泌としての役割と、ゴミが入ったときなどに刺激を受けて洗い流すための役割があります。

一方で嬉しい、悲しいといった感情の変化による涙は自律神経の働きが関係しています。自律神経には活動を活発にさせる交感神経と、穏やかにリラックスさせる副交感神経があります。感情が高ぶるとストレス物質が分泌され、それを落ち着かせようと副交感神経が働いて涙が出るのです。涙の中にはストレスによって分泌される副腎皮質ホルモンが含まれていることがわかっています。

泣くとスッキリするのは涙と一緒にストレス物質を排出しているからなんですね。

目の錯覚「錯視」 

錯視にはさまざまな種類があり、大きさや角度・色が変化して見えるもの、止まっているものが動いて見えるもの、平面なのに立体的に見えるものなどが発表されています。

ポンゾ錯視(右)ポンゾ錯視・・・遠近法によっておこる錯視(イタリアの心理学者によって1913年に報告された錯視)(画像はウィキペディアより)

『ローラー』・・・知覚の時間差、眼球の固視微動によるもの(「立命館大学文学部教授 北岡明佳氏」によって発表された錯視)