https://smcb.jp/communities/8776/topics/516655 【神秘の性エネルギー】 より
現代においては、性は生殖と快楽のための生物的機能としてのみ考えられがちですが古人は、性を聖なるものとして崇めて、信仰の対象としていました。
マヤのチチェン遺跡や、ウシュマル遺跡では加工を施したリアルな男根石像が多く見つかっています。
イシス信仰が盛んだったエジプトにおいても、イシス神の夫、オシリス神の死と再生に、ファルス(男根)が重要な意味を持っていました。
セトの悪計によって殺害されたオシリスを蘇らせようと、イシスはオシリスの肉体を集めましたがファルスだけが見つからず、そこで黄金のファルスを作り、オシリスを蘇生させたと言われます。
古代ギリシアでも、ヘルメス神は、ファルスの象徴として人々の信仰を集めました。
日本でも聖なるものとして、崇拝されています。
愛媛県宇和島の多賀神社凸凹寺をはじめ、性信仰にまつわるものを収集展示したりしているところは日本各地にあります。
また、神祭用の御幣や正月の縁起物の破魔矢などは男根の象徴ですし、道端に安置された道祖神は、男根や女陰の形をしているものが多いです。
仏教用具の独鈷も男根の象徴といわれますし、大日如来が結ぶ印は、男女の結合を表しているともいわれます。
智拳印あるいは大日印とも呼ばれるこの印は、左手の人差し指をたて、右手で軽く握ります
左の人差し指が男根で、右拳が女陰というわけです。
このように世界各地で性は再生の象徴とされたり、邪神や災厄を防ぐ魔よけとしても信仰されてきたのです。
性エネルギーの活用法を理論化したのが、性信仰のメッカとも言われるインドです。
モヘンジョやハラッパの遺跡からは石造りのリンガ(男根)とヨニ(女陰)が多数発見されています。
ヒンドゥー教の主神であるシヴァ神の象徴はリンガであり、人々はリンガを神として礼拝しているといわれています。
ですからヒンドゥー教寺院には例外なくリンガとヨギが祀られています。
カジョラホには内外壁を沢山の男女結合(ミトゥナ像)で飾った寺院があります、そのひとつの
シヴァ神に捧げられたカンダリーヤ・マハーデーヴァ寺院り壁を飾る彫刻は、シヴァ、ヴィシュヌブラフマー、ナーガ といったヒンドゥー教の神々のほか、神妃シャクティ、豊満な肢体の女性像男女がさまざまな体位で交わり性の喜びを謳歌している官能的なミトゥナ像が壁を埋め尽くしています。
これは、インド古来の「タントラ」思想を立体化したもだとされています。
タントラでは、この世界はプルシャと呼ばれる男性原理とシャクティと呼ばれる女性原理からなっていて、両原理統合することによって解脱が得られると考えられていてリンガは男性原理、ヨニは女性原理を象徴し、ミトゥナ像は男性神シヴァと女性神シャクティの合体を意味します。
男女の交合は性的欲望による結合ではなく、性エネルギーをコントロールして昇華して
自我と宇宙意識の融合、すなわち解脱を目指すものとして見なしているのです。
その思想の根底には、タントリズムの身体=宇宙論を構成する二つの根本原理があります。
人間は肉体とは別に宇宙エネルギー(気・プラーナ) を吸収して生命を維持している、もう一つの身体をもち、それを微細身(霊体・エーテル体)と呼び、その微細身は宇宙の諸要素にそっくり対応する小宇宙であ。
物質界のすべてのものは超越意識(シヴァ神=男性原理) と超越エネルギー(シャクティ=女性原理)が結合することによってエネルギーが物質化したものである。
ここにいう大宇宙とは、メール山(須弥山)しゅみせんを中心に四大陸が配され、太陽と月が
メール山の周囲を回る神話的宇宙のことで、宇宙全体は地獄界から超越神界までの七つの
階層からなるといわれています。
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