月見とウサギ

http://www.i-nekko.jp/nenchugyoji/otsukimi/tsukiusagi/  【月うさぎの話】

何気なく見上げた夜空。輝く月......ただ、それを眺めているだけで心が和んできます。でも、そんな時ふっと思い浮かぶのが「月うさぎ」。月でお餅をついているという、あの月うさぎです。なぜ月にうさぎがいるのでしょう?

ちょっと悲しい月うさぎ伝説

月の模様の黒い部分は「海」と呼ばれる低地。その黒い部分で「餅をついているうさぎ」の姿を見立てます。こうして見ると...確かに月うさぎはお餅をついています。

意外と知らない月うさぎ伝説。月うさぎ伝説にも諸説ありますが、一般的に言われているのは次のようなお話です。

『昔、あるところにうさぎときつねとさるがおりました。ある日、疲れ果てて食べ物を乞う老人に出会い、3匹は老人のために食べ物を集めます。さるは木の実を、きつねは魚をとってきましたが、うさぎは一生懸命頑張っても、何も持ってくることができませんでした。そこで悩んだうさぎは、「私を食べてください」といって火の中にとびこみ、自分の身を老人に捧げたのです。実は、その老人とは、3匹の行いを試そうとした帝釈天(タイシャクテン)という神様。帝釈天は、そんなうさぎを哀れみ、月の中に甦らせて、皆の手本にしたのです。』

これは、仏教説話からきているお話です。

また、このお話には続きがあり、『うさぎを憐れんだ老人が、その焼けた皮を剥いで月に映し、皮を剥がれたうさぎは生き返る』という説もあります。だから、月の白い部分ではなく、黒い部分がうさぎなのですね。

では、なぜ餅をついているのでしょうか?

「うさぎが老人のために餅つきをしている」とか「うさぎが食べ物に困らないように」という説がありますが、中秋の名月が豊穣祝いであることを考えると、たくさんのお米がとれたことに感謝する意が込められているようです。

世界の月の模様

月の模様がうさぎに見えるのは万国共通ではありません。月は地球に対していつも同じ面を向けて回っているので、世界中どこで見ても、ほぼ同じ表面を見ています。

しかし、月の模様をどう捉えるかは国によって様々です。

韓国や中国では、日本同様うさぎに見えるそうですが、中国のうさぎはお餅をついているのではなく、薬草を挽いています。また、中国の中でも、うさぎではなく大きなはさみをもった「カニ」という地域もあります。

モンゴルでは「犬」で、嘘をつくと吠えるとか。

アラビアでは「ライオンが吠えている」といわれています。

欧米では「女性の横顔」だといわれていますし、

インドネシアでは「編物をしている女の人」、

ベトナムは「木の下で休む男の人」、

オーストリアでは「男性が灯りを点けたり消したりしている」のだそうです。

他にも、「インディアン」「本を読む老人」「怪物」「ワニ」「ロバ」など、様々です。

地球から月までの距離は約384,400km。肉眼で月の表面が見えるわけですから、すごいことです。ススキや月見団子を供えてお月見をしたり、仕事帰りに立ち止まって月を眺めたり...。月うさぎに思いをはせながら、月をゆっくりと愛でてみるのもよいものです。


http://www.i-nekko.jp/nenchugyoji/otsukimi/ 【お月見】より

お月見といえば「十五夜」の「満月」を思い浮かべます。 十五夜とは本来は満月のことですから、年に12回または13回めぐってきます。中でも旧暦の8月は1年の中で最も空が澄みわたり月が明るく美しいとされていたため、平安時代から観月の宴が開催され、江戸時代から収穫祭として広く親しまれるようになりました。

十五夜は毎年違う日!?

十五夜は旧暦の8月15日をさすので、新暦では月遅れの9月15日と思っている方も多いでしょう。しかし、月の満ち欠けを基準にしていた旧暦と、太陽の動きを基準にしている現在の暦にはズレが生じます。そのため、実際には毎年9月中旬~10月上旬の間に旧暦の8月15日がやってきます。

これだけ幅があると何かと大変なため、十五夜関連の行事を毎年9月15日に固定化している場合もありますが、正確には違うのです。

ちなみに2018年は9月24日が十五夜。それ以降は、以下のとおりです。

2019年:9月13日

2020年:10月1日

新暦と旧暦についてはこちらをご覧ください。→ 季節のめぐりと暦

十五夜は満月とは限りません

十五夜(旧暦の8月15日)は満月だと思い込んでいませんか? 実は1~2日ずれることが多いのです。これは月と地球の公転軌道の関係で新月から満月までの日数が14日間~16日間と日数に差があり、満月になるまでの日数が違うため。十五夜が満月にあたるとは限りませんが、十五夜にお月見をするのが習わしです。

※お月見の楽しみ方はこちらをご覧ください。 → お月見の楽しみ方

「中秋の名月」と「仲秋の名月」どちらが正解?

十五夜を「ちゅうしゅうのめいげつ」といいますが、「中秋の名月」と書いても「仲秋の名月」と書いても正解。漢字によって意味が違うのです。

仲秋の名月

旧暦の秋は7月・8月・9月。7月を初秋、8月を仲秋、9月を晩秋といいました。つまり仲秋とは8月の別称で、仲秋の名月=8月の名月という意味になります。

中秋の名月

秋のちょうど真ん中の日を中秋といい、8月15日が中秋にあたります。そのため、中秋の名月=8月15日の名月という意味になり、十五夜のときは中秋の名月と書く場合が多いのです。

十五夜、十三夜、十日夜の3月見とは?

「中秋の名月・十五夜」はひときわ美しいといわれますが、他にも十三夜、十日夜(とおかんや)のお月見行事があり、昔からこの3日間が晴れると良いことがあるとされています。

十三夜

十五夜の後に巡ってくる十三夜をさし、旧暦9月13日のお月見のことをいいます。 十五夜(中秋の名月)から約1か月後に巡ってくる十三夜は、十五夜に次いで美しい月だといわれ、昔から大切にされていました。十五夜または十三夜のどちらか一方のお月見しかしないことを「片見月」と呼び、縁起が悪いといわれています。

また、十三夜には栗や枝豆を供えることから「栗名月」「豆名月」ともいいます。

十三夜も十五夜と同じで、旧暦を新暦になおして10月13日とするのではなく、その年によって日付が変化します。

十日夜

十日夜とは旧暦10月10日に行われる収穫祭で、東日本を中心に行われています。 西日本では旧暦10月亥の子の日や11月に、類似する収穫の行事があります。

その内容は地方によっても違いがあります。稲刈りが終わって田の神様が山に帰る日とされているため、稲の収穫を祝ってお餅をついて食べたり、稲の茎をたばねた「わらづと 」や「わら鉄砲」で地面を叩きながら唱えごとをして地面の神を励まし、作物にいたずらをするモグラを追い払ったりします。また、「かかしあげ」といって田んぼを見守ってくれたかかしにお供えものをして、かかしにお月見をさせてあげる地方もあります。

十日夜はお月見がメインではないため、月齢に関係なく新暦の11月10日に祭りを実施する地方が多いようです。


http://www.i-nekko.jp/gyoujishoku/aki/tsukimi-dango/ 【月見だんごときぬかつぎ】より

お月見には、月見だんごが供えられます。穀物の収穫に感謝し、米を粉にして、月に見たてて丸めて作ったのが月見だんごのはじまりです。月と同じく丸いだんごをお供えし、それを食べることで、健康と幸せが得られるとされています。また、「十五夜」は、芋の収穫を祝う意味を込めて「芋名月」ともいい、里芋料理の「きぬかつぎ」なども供えます。

十五夜の夜だけは、子どもたちはよその家のお供えものを盗って食べてもよいとされていました。盗まれた家は、「月の神様が食べてくれた」「よいことがある」ということで歓迎していたそうです。

月見だんごはいくつお供えする?

これには2つの説があります。

①満月の数に合わせて12個

その年に出た満月の数を供えるので平年は12個、うるう年は13個となります。

②十五夜だから15個

十五夜だから15個。15個の並べ方は、下から9個、4個、2個となります。

同様に十三夜の月見だんごは13個となります。

昔は月の満ち欠けによって暦が作られ、農作業が進められていたので、満月の数や、新月から何日目の月かということには大きな意味があり、それがだんごの数になったのです。

月見だんごイメージ

月見だんごの作り方

【材料】

米粉(だんご粉)...120g

水...80~90cc

※だんご粉は、うるち米ともち米を同量混ぜたもの。

【作り方】

①だんご粉に水を混ぜ、耳たぶくらいの固さになるまで、手でこねる。

②こねた生地を15等分、または12頭分にし、手のひらで転がすようにして丸い形に整える。真ん丸は葬式の枕だんごに通じるので、ほんの少しつぶす。

③たっぷりのお湯を沸騰させ、丸めただんごを入れる。だんごが浮き上がってきたら、そのまま2~3分ゆでる。

④ゆであがったら冷水にさらす。

さらにバットなどに広げてあおぐと、きれいな照りが出ます。

並べ方は上記を参照してください。

お供えがすんだら、あんこやきなこなど、お好みの味で楽しみましょう。

芋名月にちなんだ「きぬかつぎ」

秋の初物である「きぬかつぎ」も、十五夜には欠かせないお供え物。里芋の小芋をゆでたものですが、するりと皮をむくと白肌があらわれることから、高貴な家の女性がかぶる布に似ているということで「きぬかつぎ」と名付けられました。

きぬかつぎイメージ

きぬかつぎの作り方

【材料】

里芋(小芋)...15個または12個

塩...小さじ1~2

ごま塩...少々

【作り方】

①里芋はよく洗って皮付きのまま鍋に入れ、ひたひたの水で柔らかくなるまでゆでる。

アクはまめに取る。

②ゆで上がったら、塩を加え、火を止めて10分間そのままにしておく。

③ざるにあげ、水気を切ったら、芋の上と下を少し切る。ころんとした形を残したいなら上だけ皮をむく。

④皮をむいたところに、ごま塩をふってできあがり。頭をつまむとするっと皮がむけます。

口にツルッと入って一口で食べられるのが、きぬかつぎのよいところ。いくつでも食べられそうですね。

お月見のお菓子

料理以外にも、お月見気分を盛り上げるお菓子があります。

・うさぎ饅頭...この時期の和菓子屋さんには、お月見用のかわいいうさぎがいっぱい!

うさぎ饅頭イメージ

・月餅...中国のお月見に欠かせない厄払いのお菓子です。

月餅イメージ

・どら焼き...月に見たてて丸いどら焼き。コンビニでも手軽に購入できます。

どら焼きイメージ

お好みのものを用意して、お月見を楽しみましょう。