Tubarial Glands(管状腺)

https://gigazine.net/news/20201021-new-organ-tubarial-gland/  【「未知の臓器」が人間の喉の奥から発見される】 より

人間の鼻から咽頭にかけての領域に、これまで知られていなかった新しい臓器を発見したという報告が発表されました。発見されたのはわずか3.9cmという小さな器官で、がん細胞の研究中に偶然見つかったとのことです。

発見したのは、オランダのオランダがん研究所(NCI)のウーテル・フォーゲル氏とマティス・ファルスター氏らの研究チームです。研究チームは、前立腺がんを検出する「PSMA PET-CT」と呼ばれる画像診断法を使い、前立腺がんの研究を行っていました。PSMA PET-CTは、患者に注入した放射性のトレーサーを、前立腺がんに多く含まれるタンパク質のPSMA(前立腺特異的膜抗原)と結合させ、検出するという画像診断法です。

トレーサーと結合するPSMAは、前立腺がん細胞だけではなく、唾液腺組織にも多く含まれているため、PSMA PET-CTでは唾液腺も多く検出されます。これまで、1000個以上の目に見えない唾液腺が喉や口の粘膜組織に散在しており、特に「舌の下」「下顎の後ろ」「頬の後ろ」の3カ所に集中していることがわかっていました。

しかし、研究チームがPSMA PET-CTを行ったところ、鼻から咽頭にかけての領域で、唾液腺が集中した2つの領域が対となってはっきりと画像に表示されたとのこと。以下の画像で、青い矢印によって指し示されているのが新しく発見された唾液腺組織です。

フォーゲル氏は「人間は3種類の大きな唾液腺を持っており、さらに粘膜上には1000個以上の目に見えないほど小さい唾液腺あるいは粘膜線が均一に広がっています。そのため、鼻咽頭に大きな1対の唾液腺を発見したときは驚くべきものでした」と語っています。

フォーゲル氏とファルスター氏は、100人の被験者を対象にPSMA PET-CTを行いましたが、この新しい唾液腺は100人全員から発見されたとのこと。2人は新しく発見された臓器を「Tubarial Glands(管状腺)」と名付けました。


https://nazology.net/archives/71812 【人間のノドから「未知の臓器」が発見される!全人類が隠し持っていた】 より

最新のCTスキャンによって喉に新しい臓器が発見された

最新のCTスキャンによって喉に新しい臓器が発見された / Credit:Radiotherapy and Oncology

reference: sciencealert , nytimes

人体に新たな臓器が発見されました。

9月22日に『Radiotherapy and Oncology』に掲載された論文によれば、最新の映像化技術で頭部をスキャンした結果、これまでの技術では認識不可能であった新たな「唾液腺」が発見されたとのこと。

この新たな唾液腺は鼻腔と喉の接合部分に存在しており、この位置から唾液を分泌することで、喉や口の潤滑と嚥下(のみこみ)に役立っているようです。

しかし、なぜ今になって新たな唾液腺が、発見されたのでしょうか?

新たな臓器は第4の唾液腺だった

新たな臓器は第4の唾液腺だった / Credit:Radiotherapy and Oncology

これまでの医学の積み重ねにより、人体には舌下・喉・耳の下側の3カ所に唾液腺が存在することが知られていました。

唾液は口内を滑らかにし、話しやすく、食べ物を飲み込みやすくします。

また食品に含まれる様々な化学物質を溶かし込んで、その食品に独特の風味や味わいを与える働きもあるんです。

ちなみに、唾液腺はがんの放射線療法に対して弱く、たった1回の放射線照射で、永久に働きを失ってしまう場合があることが知られていました。

そのため唾液腺の近くにがんの腫瘍ができた場合は、可能な限り精密な映像スキャンを行い、唾液腺を避けるように放射線治療を行うことが重要とされています。

そこでオランダがん研究所の研究者たちは「PSMA PET / CT」と呼ばれる最新のCTスキャンにより、患者の唾液腺の詳細な位置を調べることにしました。

すると、得られた画像には、これまで知られていた舌下・喉奥・耳の下側の3種類の唾液腺の他に、青い矢印で示された鼻腔と喉の接合部分に第4の唾液腺が写り込んでいたのです。

研究者たちは最初、この第4の唾液腺は偶然その患者が持っていたものだと考えました。

しかし、最新のCTスキャンを100人を超える患者で試してみたところ、第4の唾液腺はどの患者にも存在している、人類に普遍的な臓器であることが判明したのです。

第4の唾液腺の役割は唾液の蛇口

新しい臓器は第4の唾液腺であり、口や喉に唾液を供給する蛇口の役割をしていた

新しい臓器は第4の唾液腺であり、口や喉に唾液を供給する蛇口の役割をしていた /

次に研究者たちは、より直接的な手法…つまり解剖と3Dスキャンで、第4の唾液腺の正体を探ることにしました。

すると、この第4の唾液腺は上の図のように、鼻腔と喉の接合部分に存在しており、唾液を供給する大きな管に繋がっていることが確認されました。

第4の唾液腺は別の場所で生産された唾液を鼻腔と喉の接合部分に供給することで、口や喉を潤し、嚥下を助ける「唾液の蛇口」の働きをしていると考えられます。

また解剖を行った研究者は、この第4の唾液腺が非常に探しにくい場所にあり、肉眼はおろか、既存の映像スキャンでも発見が不可能だったと述べています。

これまでの放射線治療は知らずに第4の唾液腺を傷つけていた

これまで唾液腺周辺の放射線治療はどんなに努力しても口の渇きを誘発する場合があった。新しい臓器である第4の唾液腺の存在が明らかになった今、放射線の照射経路を再構築する必要がある

これまで唾液腺周辺の放射線治療はどんなに努力しても口の渇きを誘発する場合があった。新しい臓器である第4の唾液腺の存在が明らかになった今、放射線の照射経路を再構築する必要がある / Credit:Radiotherapy and Oncology

今回の研究により、医学の教科書に新たな臓器が書き加えられることになりました。

また研究成果は、放射線治療の現場での即時の改善にも役立つ可能性があります。

というのも、これまで唾液腺周辺のがんに対する放射線治療は、どんなに慎重に行っても、患者の唾液を減らして口の渇きを引き起こしてしまうことがありました。

この謎の渇きは、既存の医学では第4の唾液腺の存在が認識されておらず、放射線治療によって知らないうちに傷つられた結果だとも考えられます。

実際、723人の放射線治療と口の渇きにかかわるデータでは、第4の唾液腺部分に放射線をあててしまった患者では、より口の渇きが増える傾向もありました。

ですがこのような不幸な事故も、今回の発見で減ると期待されます。

研究者たちは今後、第4の唾液腺に対する理解を深めるために、より多くのデータを集めていくとのこと。

最新の研究が、あなたを放射線治療による口の渇きから救ってくれるかもしれませんね。