菌類と植物の違いとは?動物と植物の中間に位置する存在としての菌類と、キノコと種子植物を区別する三つの具体的な特徴

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生物学的な定義に基づくと、キノコ(茸)は、厳密な意味においては植物に分類することはできないと考えられることになり、キノコは、動物と植物のどちらにも分類することができない菌類という第三のグループに属する生物として捉える方が生物学的にはより適切であると考えられることになるのですが、それでは、こうしたキノコのような菌類に分類される生物と、一般的な植物に分類される生物との間には、具体的にどのような性質の違いがあると考えられることになるのでしょうか?

菌類と植物の違いとは?動物と植物の中間に位置する存在としての菌類

まず、菌類と植物とを区別する最も主要な性質の違いとしては、植物が、光合成を行うことによって、二酸化炭素や水などの無機物から自らの生存に必要なすべての有機物を合成することができる独立栄養生物であるのに対して、菌類は、光合成を行うことができず、動植物の生体や遺体に寄生することなどによって、他の生物の作った有機物を利用することにより自らの生存を維持する従属栄養生物にあたるという相違点が挙げられると考えられることになります。

そして、こうした独立栄養生物と従属栄養生物という生物の分類のあり方の観点から見ると、他の生物体に寄生したりすることによって自らの生命を維持している菌類の他に、動物や植物といった他の生物体を捕食することによって生きている動物も、こうした他の生物の作った有機物を利用することによって生活を営んでいる従属栄養生物に分類される生物として捉えることができると考えられることになります。

つまり、そういった意味では、菌類という存在は、運動性を持たず、細胞壁を持った細胞によって構成されているという点では、植物と共通点を持つ生物でありながら、光合成を行わずに、他の生物が作った有機物を利用することによって自らの生命を維持しているという点においては、むしろ、動物と共通点を持つ生物であるとも捉えることができるという意味において、動物と植物の中間に位置する存在として捉えることもできると考えられることになるのです。

キノコと種子植物を区別する三つの具体的な特徴

そして、さらに、こうしたキノコに代表される菌類に分類される生物の具体的な特徴と、植物の中でも、種から芽を出して花を咲かせるという最も一般的な植物のグループにあたる種子植物における具体的な特徴のあり方を比較していくと、例えば、種子植物の場合は、雄しべで形成された花粉と、雌しべで形成された胚珠の間に受粉が成立し、そうした受粉を通じて形成された種子が虫や鳥、風や水によって運ばれていった先で芽を出すという形で生殖が行われていくのに対して、キノコの場合は、担子器(たんしき)などの器官や細胞において形成された胞子がそのまま外へと放出され、飛んで行った先で発芽することによって生殖が行われていくことになります。

そして、そうした種子や胞子からの発芽の後の生物体の形成のあり方においても、種子植物においては、種子から芽を出した植物体は、根と茎と葉という明確な区別をもった基本器官へと分化が進んで行くのに対して、菌類にあたるキノコの場合には、胞子からの発芽によって生じた新たな細胞は、菌糸(きんし)と呼ばれる糸状の細胞列を形成したうえで、そうした菌糸が根や葉といった特定の組織への分化のないまま一様に広がっていくことになり、その一部分が密に集合して塊状の組織を形成していったものが子実体(しじつたい)、日常的な言葉では、キノコと呼ばれることになります。

また、上述したように、種子植物においては、雌しべと雄しべとの間に成立する受粉を通じて新たな個体の源となる種子が形成されることになるので、こうした種子植物における生殖のあり方は、雌雄の両者の配偶子の結合によって新個体が形成される有性生殖に分類されることになりますが、それに対して、キノコなどの菌類における生殖の場合には、胞子同士の間の接合が生じることによって有性生殖が行われることもあるものの、基本的には、担子器などから放出された胞子がそのまま単体で新たな生物体を形成していく無性生殖によって繁殖していくケースが多いといった点においても両者の間には相違点が存在すると考えられることになるのです。

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以上のように、菌類と植物の主要な性質の違いとしては、菌類が、他の生物が作った有機物を利用することによって自らの生命を維持する従属栄養生物に分類されるのに対して、植物は、他の生物の存在に依存することなく、光合成を行うことによって自分に必要な有機物を無機物から直接合成することができる独立栄養生物に分類されるという点が、

両者を区別する最も主要な性質の違いとして挙げられることになると考えられることになります。

また、キノコに代表される菌類と、植物の中でも最も一般的なグループにあたる種子植物との間の具体的な特徴の違いについて、さらに詳しく挙げていくと、

①種子植物は種子でふえるのに対して、キノコなどの菌類は胞子でふえる。

②種子植物の植物体においては根と茎と葉といった基本器官への分化が進んで行くのに対して、キノコなどの菌類においてはそうした各器官への細胞の分化は進まずに、菌糸と呼ばれる糸状の細胞列が特定の組織への分化のないまま一様に広がっていくことになる。

③種子植物は常に有性生殖によって繁殖するのに対して、キノコなどの菌類の場合は無性生殖によって繁殖していくケースが多い。

といった点に、両者を区別する具体的な特徴の違いが存在すると考えられることになるのです。