菌類と細菌の違いとは?狭義と広義における菌類の定義の違いと両者を区別する三つの特徴の違い

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前回書いたように、菌類は、運動性を持たず、細胞壁を持った細胞によって構成されているという点では、植物と共通点があるものの、光合成を行わずに、他の生物が作った有機物を利用することによって自らの生命を維持する従属栄養生物であるという点において、光合成を行うことによって自前で自分に必要な有機物を合成することができる独立栄養生物にあたる植物とは異なる生物のグループに分類されると考えられることになります。

そして、こうした菌類と呼ばれる生物のグループには、狭義においては、キノコやカビ、酵母といった生物の種類が含まれるのに対して、広義における菌類には、細菌や粘菌といった生物の種族も含まれると考えられることになるのですが、今回は、こうしたキノコやカビといった狭義における菌類と細菌を区別する具体的な特徴の違いについて詳しく考えてみたいと思います。

狭義と広義における菌類の定義の違い

冒頭で述べたように、菌類の定義については、狭義における菌類においては、キノコやカビ、酵母といった生物の種類が分類されるのに対して、広義における菌類においては、これらの生物の種類に、さらに、細菌や粘菌といった生物の種類も加えられたより多様な生物の種類が菌類として分類されることになります。

そして、こうした狭義と広義における菌類の意味の違いをより正確に区別するために、キノコやカビ、酵母といった狭義における菌類に分類される生物のグループのことを指して、真菌類という言葉が用いられることもあるのですが、

それでは、こうしたキノコやカビといった狭義における菌類、すなわち、真菌類と、広義における菌類に含まれることになる細菌との間には、どのような特徴の違いが存在すると考えられることになるのでしょうか?

真菌類と細菌の違いとは?①真核生物と原核生物の違い

まず、真菌類と細菌を区別する最も主要な特徴の違いとしては、キノコやカビ、酵母といった真菌類は、すべて、細胞の内部に核膜があり、核と細胞質が明確に区分されている真核生物に分類されるのに対して、細菌は、核膜がなく、核と細胞質の間に明確な区分が存在しない原核生物に分類されるという点が挙げられると考えられることになります。

つまり、真菌類に分類される生物は、核膜によって細胞の中心にある細胞核と、細胞の他の部分である細胞質が明確に区分けされることによって、細胞の遺伝情報を担うDNAが核膜の内部に格納され、厳重に保護されていると考えられることになるのですが、それに対して、細菌の場合は、そうした真菌類におけるような核膜による明確な区分が存在しないため、細胞の遺伝情報を担うDNAが細胞の内部でむき出しの状態で浮遊しているという点に、両者を区別する最も主要な相違点があると考えられることになるのです。

真菌類と細菌の違いとは?②大きさの違いと、多細胞と単細胞の違い

また、他にも、狭義における菌類にあたる真菌類と細菌とを区別する大まかな特徴の違いについて挙げていくとすると、例えば、真菌類に分類される生物が、キノコと呼ばれる肉眼でもはっきりと見える大きさを持った菌糸の集まりである子実体を形成することがあるように、比較的大きい組織へと成長していくことがあるのに対して、

細菌はその名の通り、0.5~5マイクロメートル(1万分の5~1000分の5ミリメートル)程度といった通常肉眼で見ることのできない極めて細かい小さな構造をしているといった点に、両者の相違点を見いだすことができると考えられることになります。

ただし、同じ真菌類に分類される生物であっても、カビの大きさはだいたい2~10マイクロメートル、酵母菌の大きさはだいたい3~5マイクロメートル程度となっていて、

カビや酵母菌も、上述した細菌の大きさと比べると若干大きい傾向にあるとは言えるものの、両者の大きさの間には、あまり大きな差はないと考えられることになります。

また、真菌類に分類される生物のうち、キノコとカビは、一つの生物体が多くの細胞の集まりによって構成される多細胞生物に分類されるのに対して、

細菌は、体が単一の細胞によって構成される単細胞生物に分類されるという点にも、両者の相違点を見いだすことができるのですが、

その一方で、真菌類に分類されるもう一つの生物の種類である酵母の場合は、基本的には単細胞性の微生物に分類されることになります。

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以上のように、菌類と呼ばれる生物のグループには、狭義においては、キノコやカビ、酵母といった生物の種類が分類されるのに対して、広義においては、それに加えて、細菌や粘菌といった生物の種族も菌類のグループの中に含まれることになります。

そして、

こうした狭義と広義における菌類の定義を区別するために、狭義における菌類ことを指して真菌類という言葉が用いられることがあるのですが、こうした狭義における菌類である真菌類と細菌を区別する特徴としては、

①真菌類は核膜によって細胞核と細胞質が明確に区分される真核生物に分類されるのに対して、細菌は核膜を持たずに細胞内にむき出しの状態でDNAが存在する原核生物に分類される。

②真菌類に分類される生物はキノコのような大規模な組織を形成することがあるように比較的生物体や細胞の大きさが大きい傾向にあるのに対して、細菌は通常肉眼で見ることのできない極めて細かい小さな構造をしている。

③真菌類のうちのキノコやカビといった多くの種族は多細胞生物に分類されるのに対して、細菌に分類される生物はすべて単細胞生物に分類される。

といった三つの点に、両者を区別する具体的な特徴の違いを見いだすことができると考えられることになるのです。