釣船草の句

http://61.112.11.146/~fmmitaka/cgi-bin/g_disp.cgi?ids=20101026&tit=%92%DE%91D%91%90&tit2=%8BG%8C%EA%82%AA%92%DE%91D%91%90%82%CC 【季語が釣船草の句】 より

日おもてに釣船草の帆の静か

                           上田日差子

釣船草

細い茎からモビールのように下がる花が船のかたちに見えるということから釣船草という名がついたという。先日、姨捨の棚田を歩いたおり、日当りのよい斜面にキツリフネが一面に咲いていた。花を支える茎があまりに細いため、強い風が吹いたら、ちぎれてしまうのではないかという風情は、壊れやすい玩具のように見える。また、あやういバランスであることが一層あたりの静けさを引き寄せていた。掲句の景色は、日射しのさざ波に浮く船溜まりのように、釣船草の立てた華奢な帆になによりの静寂を感じているのだろう。花の魅力は後方にもある。写真を見ていただければわかるが、どの花にもくるんとしたくせっ毛みたいな部分があって、これが可愛くてしかたがない。種は鳳仙花のように四散するという。静かな花の最後にはじけるような賑やかさがあることに、ほんの少しほっとする。〈寒暮かな人の凭る木と凭らぬ木と〉〈囀りの一樹ふるへてゐたるかな〉『和音』(2010)所収。(土肥あき子)


https://ameblo.jp/yujyaku/entry-12496072958.html 【賑わいの釣船草の港かな】 より

賑わいの釣船草の港かな

( にぎわいの つりふねそうの みなとかな )

本日取り上げる釣船草(つりふねそう)は、湿地や小川の薄暗い場所に群生しており、田舎にいた頃は方々で見かけた。花の形がユニークで、帆掛船を釣り下げたように見え、名前もそこから来ている。

近辺では、この野草が育つ環境がないせいか殆んど見られず、最近見たのは、やはり京都府立植物園の生態園である。掲句は、そこで多くの釣船草が群生しているのを見て詠んだ句である。釣船草は、秋の季語。

イメージ 1

因みに、過去には以下の句を詠んでいる。似たような句だが、見た場所が同じなのでやむを得ない。

【関連句】

① せせらぎに釣船草の並びたる

② 暗がりに出航待つや釣船草

③ 船底に甘い蜜あり釣船草

①は、植物園の小川のせせらぎで見た釣船草を詠んだ句。③は、釣船草を出航を待つ釣船に見立てて詠んだ句。③は、この花の後方の渦巻状になっているところに、甘い蜜がいっぱい入っていることを知り詠んだ句。

釣船草(釣舟草、吊舟草)は、ツリフネソウ科ツリフネソウ属の一年草で、原産地は東アジア。花期は8月~10月。花色は紫色が主だが、白、黄などもある。それらを区別するために、紫釣船、白釣船、黄釣船ということもある。

尚、紫釣船、白釣船は、花のうしろの方(距)は渦巻状になっているが、黄釣船は、そうなっていない。

果実はさく果で、熟すとホウセンカなどと同様に種子が弾けて飛び散るように拡がる。そのことから、野鳳仙花(のほうせんか)とも呼ばれる。他に法螺貝草(ほらがいそう)という別名もある。

釣船草(釣舟草、吊舟草)に関しては本ブログでも何句か紹介したことがあるが、以下にはそれ以外のものを選んで掲載した。

【釣船草(釣舟草、吊舟草)の参考句】

曇天の釣舟草の皆揺るる       (阿部みどり女)

おほかたの露の吊舟草破船     (皆吉爽雨)

奥社まで花は釣舟草ばかり      (森田峠)

露のせて釣舟草の夜明けかな    (矢島渚男)

大航海時代思ほゆ釣舟草       (高澤良一)


https://www.facebook.com/haikuing/posts/2621952507814885 【今日もハイ句イング日和】

より

釣船草(ツリフネソウ、吊船草/紫釣船/法螺貝草/黄釣船/ゆびはめぐさ/野鳳仙花/山鳳仙花/河原鳳仙花)秋の季語。ツリフネソウ科の一年草。全国の山地のやや湿ったところ、沢沿いの半日陰を好む。高さは五十センチから八十センチ。葉はやや細長いひし形でふちには鋸歯がある。茎は柔らかく花の名は、帆掛け舟を吊り下げたような形からきている。花期は八月から十月。赤紫色の花序は花柄の先に垂れ、長い筒状の距が後ろに突き出て渦巻き状になる。釣船草はピンク系が多いのですが八丁の湯の近辺はピンクでしたが、この写真は手白澤の宿の近くに毎年咲いてくれている黄色の黄釣船草です。いつも風で舟のようにゆらりゆらりしているので毎年写真に撮るのだけれどいつもぶれてピントが甘くなってしまって、今回やっとピントの合ってる写真が撮れました。

揺れてをる釣船草の花数へ    森田 峠

曇天の釣舟草の皆揺るる     阿部みどり女

黄をしかと釣りて釣舟草の秋   西本一都

森くらく微雨となりゆく釣船草  柴田白葉女

おほかたの露の吊舟草破船    皆吉爽雨

ゆらぎつつ夢の中まで釣船草   石寒太

吊橋のあと朽ち釣舟草咲けり   岩永三女

奥社まで花は釣舟草ばかり    森田峠

山瀬鳴り吊舟草の漕ぎ揃ひ    岡田日郎

滝風に揺れ止まざりし釣船草   若月瑞峰

釣舟草揺れて木洩れ日漕ぐごとし 有賀芳江

水急ぐ釣舟草を置きざりに    大橋敦子

畑一枚釣舟草に明け渡し    米澤槇佐子

猪垣へ消えゆく径や釣舟草   八木林之介

正座して男の活けし釣舟草   横山房子

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