蓮始開とはどんな時期?儚くも美しい蓮が見られるチャンスの時!!

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蓮始開という言葉を聞いたことがありますか?七十二候のひとつで日本の季節をピンポイントで表す美しい表現です。

では、一体いつ頃をさし、どんな意味をもち、どんな使い方をする言葉なのでしょうか?

ここでは、蓮始開について詳しくご紹介します。

蓮始開とはどんな言葉?一体どんな意味があるの?

蓮始開という言葉をご存知でしょうか?日本のある時期をピンポイントに表わす言葉なのですが、これだけを見聞きしても一体どんな意味を持つのか分からないでしょう。

蓮始開は「はす はじめて ひらく」と読み、これには、「蓮の花が咲き始める時期」という意味があります。

 蓮は、仏教の仏典にもよく登場する花で、「天上の花」とも言われています。

日本のお盆時期には、蓮の花のモチーフを用いることが多く、お釈迦様が蓮の上に乗っている描写も多く見られます。インドでは古くから、「仏陀(お釈迦様)の誕生と共に蓮の花が開き、没後は蓮の花の上に座るため、極楽浄土の花」とされているのです。蓮は、お釈迦様にゆかりのある有り難い花なのです。

蓮始開は七十二候のひとつ

日本には、春夏秋冬の四季以外にも、二十四節気(にじゅうしせっき)という季節があります。夏至、冬至の二至と春分、秋分の二分を「二至二分(にしにぶん)」、立春、立夏、立秋、立冬を「四立(しりゅう)」とし、それらを合わせて八節とします。その八節を中心に一年を24分割して、より詳しい季節を定めているのです。二十四節気は、およそ一節気を15日間としています。

二十四節気のうちの一節気ずつを、更に日本の風土、動植物の動きや天気・天候などに合わせて三分割して表わしたものを七十二候(しちじゅうにこう)といいます。七十二候は一節気を初候5日間、次候5日間、末候5日間に分けています。

蓮始開は七十二候のひとつです。二十四節気の小暑(しょうしょ)の次候にあたります。尚、小暑は、初候が「温風至(あつかぜ いたる)」、末候が「鷹乃学習(たか すなわち わざをならう)」です。

蓮始開とは具体的にいつ頃を指すの?

蓮始開と聞いても、具体的にいつ頃をさすのか分からないでしょう。蓮の季節がいつなのかを知っている人であれば、およそこの頃という目安が付くかも知れません。

蓮始開は、7月12日から16日もしくは7月13日から17日頃をさします。日本では、新暦のお盆の時期にあたります。日本では、新暦のお盆が7月、旧暦のお盆が8月に行われています。これは地域により変わり、8月のお盆のことを「月遅れ盆」「盂蘭盆」と呼ぶこともあります。七十二候の蓮始開は、お盆の時期を意識して蓮の花を登場させたのでは?とされています。

蓮始開の頃は、梅雨明けが間近に迫っています。西日本など南の地域では、既に梅雨明けしている場所もあるでしょう。日に日に本格的な夏模様になっていき、気温も高くなり太陽がジリジリと照り出す頃です。急激な暑さに熱中症や体調不良を起こす人もいますので、各自が油断せずに注意しなくてはなりません。

梅雨明けの夏晴れ

蓮始開の頃に旬を迎えるものは?

蓮始開の頃に旬を迎えるものは、ウナギ、にんにく、とうもろこし、トビウオなどです。

ウナギは土用の丑を迎える頃に旬を迎え、全国的によく食されるようになります。旬のウナギは身が丸々ふっくらとしていて、脂が乗りとても美味しいものです。タレが付けられているものも、白焼きもあり、好みによって様々な食べ方がされます。うな重などが有名です。天然のうなぎと養殖のうなぎとがあります。

ニンニクも蓮始開の頃に旬を迎えます。ニンニクには滋養強壮の成分が含まれており、夏の暑さに負けないように食べられています。独特な香りがあるため、苦手な人もいますが、近頃では無臭にんにくなど香りの少ないものも開発されています。薬味として食べても、漬物などにしても美味しいものです。

とうもろこしは夏野菜に代表されるものの一つで、6月から9月頃までが主な収穫時期となっています。近年では品種改良進み、生で食べても甘く美味しいものや、白い粒のものなども出てきました。夏祭りの屋台では、焼きトウモロコシも良く目にします。

トビウオは、春と夏に旬を迎える魚です。春のトビウオも美味しいのですが、夏のトビウオも非常に美味しくいただけます。トビウオは「アゴ」とも呼ばれていて、アゴ出汁のように上質な出汁をとるのにも使われています。

蓮始開の頃に見られるのがアゲハチョウです。アゲハチョウと聞くと、春のイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。実は、アゲハチョウの種類には季節型というものがあります。中でも良く目にするナミアゲハというアゲハチョウは、春型、夏型、秋型とあり、同じ年だけでも2~5回世代交代を行います。例えば、夏や秋に見るものは「春に見たアゲハチョウと少し違う」という印象を受けます。模様や形が少し違うのです。

蓮始開といわれるように、蓮の花も旬になります。蓮の花が咲き誇る時期ですので、各地で蓮祭りが行われます。東京では、上野恩賜公園にある不忍池や薬師池公園など、琵琶湖の烏丸半島の蓮も有名です。この時期にしか楽しめない光景ですので、興味がある方は是非足を運んでみましょう。

蓮始開の使い方は?どんな場面で使うべき?

蓮始開を日常生活に用いる場合、どのような使い方をすれば良いのでしょうか。

七十二候は美しい描写が多いため、使い方によっては非常に情緒豊かなものとなります。そのため、主にピンポイントな季節を表わす時候の挨拶で使われます。

例えば、「蓮始開 蓮の花が美しく咲き誇る季節となりました~」、「蓮始開 青空が高く、太陽が眩しい季節になりました~」など、この時期の手紙やハガキの文頭に使います。

手紙やハガキの他にも、ブログやSNS、会報や案内文などでも使えます。

難しく考えずに、気軽に使ってみても良いかも知れません。

蓮の花はどんな花なの?

蓮始開にある蓮の花とは、一体どんな花なのでしょうか?

蓮の花は、泥の中でも美しい花を咲かせるとして有名です。蓮は睡蓮と非常に似ていますが、実際は異なります。ヨーロッパ諸国では、蓮も睡蓮も同じ「ロータス」で表現されていて、別物を示す名称はありません。ただ、蓮と睡蓮は、花だけでなく葉の形状が大きく異なるので、見分ける際には葉に注目すると良いでしょう。

蓮は、仏典にもよく登場します。仏典では蓮華(れんげ)という名称で記されています。

蓮の花は、朝早くに咲き、昼には閉じてしまいます。早朝でなければ美しい花が見られないので、早起きをして見に行くことをおススメします。また、蓮の花はおよそ4日の命と非常に儚いものです。3日ほどは午前中の涼しい時間に咲きますが、4~5日もすると花は開かず花弁が落ちてしまいます。美しい花を目にできる時間が少なく、幻想的なイメージがあります。

蓮は、植物の中で最も古いもののひとつであると言われています。仏陀の生誕以前の古代から存在し、人々に愛されています。

根はレンコンとして食されるとされていますが、厳密には食用レンコンと蓮の花は異なります。

ミャンマーでは、蓮の糸を紡いで僧侶の袈裟や法衣を作り寺院などに奉納されています。

蓮の花のつぼみ

中国の宣明歴では?

中国には日本の七十二候の元になった宣明歴という暦があります。日本でも、かつては宣明歴を使用していましたが、中国と日本では、気候が異なるため、動植物や天候の動きも違ってきます、内容が我が国に合うように徐々に改訂されました。

小暑の次候は、日本では蓮始開ですが、宣明歴でこの頃は、「蟋蟀居壁(しつしゅつ かべにいたる)」であり、蟋蟀(こおろぎ)が壁に止まって鳴いている頃という意味を持ちます。夏に出てくる蟋蟀ですが、次の季節を壁に止まって待っているという様子を表わしています。尚、本来は壁に止まるのはキリギリスで、蟋蟀と書いていてもキリギリスを意味するという意見もあります。

まとめ

蓮始開は、7月12日から17日頃をさし、「蓮の花が咲く頃」という意味があります。蓮の花が咲き誇る美しい光景が見られる時期です。各地の蓮池や蓮田にて観蓮会や蓮祭りが行われます。蓮の葉にお酒を入れて飲むというイベントが行われるところもあるようです。蓮の花が旬を迎えるのは言うまでもありませんが、その他にもうなぎ、ニンニク、とうもろこし、トビウオなどが旬を迎え美味しくなります。旬の物を口にすると、寿命が延びるといわれていますので、積極的に摂りたいものです。

また、時候の挨拶に使用すると、その時期を美しく表現できますので、気軽に使ってみても良いでしょう。