百日紅

http://www.tokuhonji.jp/2020/08/%E3%80%90%E7%AC%AC1176%E8%A9%B1%E3%80%91%E3%80%80%E3%80%8C%E7%99%BE%E6%97%A5%E7%B4%85%E3%80%8D%E3%80%802020%EF%BC%88%E4%BB%A4%E5%92%8C2%EF%BC%89%E5%B9%B48%E6%9C%8821%E6%97%A5%EF%BD%9E31%E6%97%A5/ 【百日紅】より

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1176話です。

百日に紅と書いて「さるすべり」と読みます。境内にあるその花が、お盆の13日に咲きました。百日紅はお寺の木だから、一般には植えないというまことしやかな話を聞いたことがります。中国などに伝わる話によると、女性が恋人と百日後に会う約束をしたのに、百日目を目前にして死んでしまいました。その後、女性の墓に生えた木に紅い花が咲き、百日紅(ひゃくじつこう)と呼ばれるようになったとか。亡き女性の身代わりの花、或いはお墓に咲く花というイメージが、お寺と百日紅を結びつけたのかもしれません。

実際は夏の長い期間、紅い花を咲かせているから、百日・紅なのでしょう。百は長い期間の象徴的数字です。その木肌はつるつるして滑りやすそうなので、「さるすべり」とも呼ばれるわけです。私はそこからして、お寺にふわわしい木だと感じています。「猿も木から落ちる」のだから、何事も油断せずに励まなければならないということを、百日紅は教えてくれます。

また暑さに耐えて長期間紅い花を保ち続けるのは至難なことです。そのための忍耐・精進の姿が百日紅から伝わってきます。本山で修行していた時、春から夏にかけての百日間は「百日禁足」と言って、本山から一歩も外に出ることができない修行三昧の期間があります。やがて百日禁足が明けるのを待っていたかのように、境内に咲く百日紅を見て、自分たちの百日間の修行がいつか身について、紅い花を咲かせることができるだろうかと思ったものでした。
木から落ちた猿がいたとして、それが驚かれるのは、木登りにかけては猿は絶対的能力があると認められているからです。果たして私には、猿に負けないような能力があるでしょうか。本山を下りて何十年も経った今も、どんな花を咲かせることができたのか忸怩たるものがあります。そして、百つながりの禅語が思い浮かびます。

 中国唐の時代の長沙景岑(ちょうしゃけいしん)の言葉に「百尺竿頭進一歩(ひゃくしゃくかんとうしんいっぽ)」というのがあります。「百尺の竿(さお)の先に登って、そこから更に一歩を踏み出せ」ということです。百尺とは約30メートル、10階建てマンションの高さです。秋田竿灯祭りの竿でさえ、12メートルですので、30メートルは想像を超えています。

 尺の竿を登るとは、精進に精進を重ねて頂点に達したということでしょうか。そこから更に一歩を踏み出せば、命を落とすこともあり、これまで積み重ねてきたものが水の泡になるかもしれません。しかし、それほどまで捨てきる覚悟がなければ、禅を極めることができないという厳しいお示しです。厳しい暑さの中にあって、百日紅のように花も咲かせられず、頂点にも至っていない者にとっては、踏み出す一歩もない事を悟り、更に励むだけです。そういえば「百」という漢字には、「はげむ」という読み方もあるんですね。

それでは又、9月1日よりお耳にかかりましょう。


https://forbesjapan.com/articles/detail/35893 【逆境に強い人たちが実践する5つの習慣】

より

これまでの人生で何らかの逆境を一度や二度経験したことは誰にでもあるはずだ。世界で新型コロナウイルス感染症が流行する中では、身体的、感情的、金銭的、あるいはその全ての面でつらい経験している人も多いだろう。

つらい時期を乗り越えなければいけないのは皆同じだが、中でも特にうまく対処できる人がいる。逆境を乗り越えるのに必要なレジリエンス(回復力)には一定の遺伝的要素があるものの、後から身に付けることもできる。また、レジリエンスの高い人々にはいくつかの共通する特徴があることも研究から分かっている。

今後訪れる逆境にもこれまで以上にうまく対処できるようになるために、以下に紹介するレジリエンスの高い人たちの習慣を紹介する。

受け入れる

逆境に対処する第一のステップは、受け入れることだ。レジリエンスの高い人は、苦しみは人生の一部であり、誰にでも逆境は訪れるものだという事実を受け入れる。インスタグラムに投稿されているような完璧な人生は現実ではないことを理解している。

受け入れることは、あきらめたり、苦しみにのみ込まれたりするのとは異なる。すべての感情に向き合い、自分は立ち直れると信じることだ。

視点を変える

レジリエンスの高い人は、ひとつの状況を違う視点から見る「リフレーミング」を通じ、それをポジティブに捉えられる。

『How Great Leaders Think:The Art of Reframing(偉大なリーダーの思考法 リフレーミングのアート)』の著者リー・G・ボルマンは「それは視点を変えるということ。何かに対する見方を変えるとか、自分が目にしたり関係したりするものを理解しようと努めること。これまでは一方向からしか見ていなかったが、思考を変えてみよう、と考えることだ」と言う。

変化は恐ろしい物として捉えるのではなく、チャンスと受け止めてみよう。例えば、失業してしまっても、これがキャリアチェンジの良い機会になると考えられる。

良い面を認知する

自分の意識を悪いことだけに向けるのではなく、良いことを認知することが重要だ。人生で最もストレスの多い部分にばかり注目すると、今うまくいっていることを見失ってしまう。ネガティブな悪循環を断ち切って、人生のポジティブな面に感謝できるようにしよう。

注力すべきことを見極める

レジリエンスの高い人は、自分で変えられるものに注力し、変えられないものについては無視できる。ある状況を自分がどれだけコントロールできるかを見極めよう。「自分が責任を引き受けられることは何だろう?」と自問すること。

自力では変えられないものは何かを認識できれば、自分が変えられるものに集中できる。自分に力を与えてくれるものを探せば、行き詰まりや無力感に陥る確率が減る。

自分の行動を見つめ直す

ルーシー・ホーンのTEDxトーク『The Three Secrets of Resilient People(回復力の高い人々が持つ3つの秘密)』では、逆境に対処する上での強力な戦略が紹介されている。次の問いを自問しよう。「今していることは自分のためになっているか、それとも害になっているか?」

私自身はこれをすることで、生活が変わったように感じた。ワインをもう一杯飲もうかと思った時や、毎日の運動習慣がゼロであることに気付いた時、自分に「これは自分のためになっているか、それとも害になっているか?」と聞いてみること。そうすれば、長い目で見て自分のためになる答えが得られる。そして自分の意思決定力を再び取り戻し、被害者ではなくサバイバーになれる。

レジリエンスを高めるトレーニングを開発・提供しているアダプティブ・ラーニング・システムズのディーン・ベッカー社長兼最高経営責任者(CEO)は、「成功する人と失敗する人は、教育、経験、訓練よりも個人の持つレジリエンスのレベルによって決まる。これはがんとの闘病や五輪競技、さらには企業経営でも同じだ」と言う。

人生は予想できず、予期せぬ方向に進むことも多い。レジリエンスの高い人の持つ習慣を実践することで、人生を変える経験に適応し、より強く成長して乗り切ることができるだろう。