https://www.travel.co.jp/guide/article/3383/ 【山笑う春の筑波山「山あり!花あり!神様あり!!」春の陽だまりハイキング】 より
俳句の季語「山笑う」ってどんな感じ?? その答えは、春の筑波山にあります。お山全体がご神域の筑波山。春になると、季節の花が次々と咲き、新芽が芽吹き、田植えの準備がすすむ麓には、神様が山から下りてきます。春は、筑波山が1年で最も色んな表情をみせてくれる季節。気軽に行ける筑波山の3~5月までの見どころをご紹介します。春のぽかぽか陽気に誘われて、筑波山ハイキングへ出かけませんか?
新型コロナウイルスの発生と感染拡大に伴う、県境をまたいだ移動の自粛が2020年6月19日より解除されます。また県境をまたぐ観光については「徐々に行い、人との間隔を確保すること」というガイドラインが政府より示されています。各種報道機関の発表、施設や各自治体のホームページなどで最新の情報をご確認ください。
「西の富士、東の筑波」と日本一高い富士山と並び称される筑波山。百名山の中で1番標高の低い山となります。
筑波山には、こんな言い伝えがあります。
「昔、ある神様が一夜泊まる場所をさがしていました。富士山は、その申し出を断りましたが、筑波山は、どうぞどうぞと招きました。それ以来、富士山は雪に閉ざされる山となり、筑波山は、1年を通じて花が咲き、いつでも人が訪れる場所になったとさ」
この言い伝えには、誇り高き富士山へのライバル心を感じますね。でも、実際にその通りで、関東圏にある筑波山は、1年中気軽に登ることのできる山。その登山者数は、名立たる百名山の中で1番なんです。
そんな筑波山を訪れるなら春が断然おススメ。「あっ、山が笑ってる」って思えるくらい陽気で明るい里山の風景に出会えます。それでは、早春(3月)から初夏(5月)の見どころを順番にご紹介します。
毎年4月1日 山から里へ神様が降りてくる
イザナギノミコト(男体山)とイザナミノミコト(女体山)の男女2神をお祀りする筑波山神社には、春を告げる神事があります。春になると、山頂の神が里に下り、農作を見守り、秋には再び山頂に帰るとされています。毎年4月1日(春)と11月1日(秋)、「御座替祭(おざがわりさい)」と呼ばれるお祭りが執り行われます。このお祭りは、筑波山神社の年中行事の中でも大変重要なもののひとつです。
烏帽子に雅な装束を着た神職や氏子らが、太鼓や雅楽を奏でながら地域を練り歩きます。まるで平安絵巻を見ているようなすばらしいお祭りです。平日に行われることも多いからか、ギャラリーが少なめの穴場の神事です。何時にどこではじまるのか宣伝されていないので、人が集まらないように思います。三部構成となっている御座替祭のスケジュールと詳細をご紹介します。
【神衣祭(かんみそさい)】9:30 男体山本殿、10:30 女体山本殿
山頂に鎮座する2神のそれぞれの御本殿で執り行われます。神様の衣替えをする神事です。朝早く、神職が新しい衣を持って登山道を登り、取り替えた神様の衣を神輿に納めて里へと下ります。神輿も昔は登山道を利用しましたが、現在はケーブルカーを利用しています。
【奉幣祭(ほうべいさい)】10:30 拝殿
中腹の拝殿では春の豊作を祈願する舞が奉納されます。拝殿の中に入れるののは、氏子や関係者のみとなります。一般の方は、拝殿外よりご覧いただけます。
【神幸祭(じんこうさい)】14:00/一の鳥居~15:00/大鳥居~16:00/筑波山神社
筑波山神社参拝の旧道だったつくば道の一の鳥居より、天狗を先頭に神様の衣を納めた神輿を担ぎ地域を巡ります。一行は、氏子が住む里山の平穏を祈りつつ、筑波山神社を目指します。大鳥居からは、桜の枝を手にした可愛らしい稚児行列も加わります。純真無垢な子供たちが通った道は、洗い清められるそうです。
神様が里へと下りてくる4月、里山はいっそう華やかになります。小鳥が忙しそうに飛び回り、ぽかぽか陽気に誘われて、ピンク色の桜がいっせいに咲き誇ります。
写真は、筑波山を背景に250本の桜が咲く、筑波山山麓の桜の名所「北条大池」です。穏やかな水面に淡いピンク色の桜と2峰からなる筑波山を映します。遠くには、今から千年以上前の役所跡・平沢官衙遺跡(ひらさわかんがいせき)を望み、悠久の時を感じます。
大池をぐるりと一周する遊歩道は、背丈の低い桜の並木道になっているので、まるで桜のトンネルです。ぜひ桜の額縁から筑波山をのぞいてみてくださいね。
ひっそりと春を告げるカタクリの花。冬場は地下深くで越冬し、地上に現れて花を咲かせるのはわずか2週間ほどと言われています。落葉した葉っぱの下で、じっと春の陽光を待ち、春にだけ地上に顔を出す野の花を、スプリング・エフェメラル(つかの間の春、春の妖精)と呼ぶそうです。
筑波山山頂付近にもカタクリが約3万株が自生しています。あたり一面を覆いつくすほどの群生地ではありませんが、木々の間にうつむきながら咲くその可憐な姿は、まるで森の妖精のようです。筑波山では、里山のソメイヨシノが見頃の時に、カタクリも見頃を迎えます。
そして、森の中をよーく、よーく見つめると。真っ白なカタクリに出会えることもあります。薄紫やピンクの花弁が主流ですので、白いカタクリはとっても珍しいんですよ。白い花を咲かせる確率は数万分の1になるそうです。ぜひ探してみて下さいね。
麓のソメイヨシノが葉桜になる頃、筑波山中の新芽がいっせいに芽吹き、その間にポツポツと山桜が咲きます。若草色と薄ピンク色のコントラストがなんとも美しい。この季節になると筑波山麓の田んぼには、田植えに向けて満々と水が張られます。
この地域のお米は、北条米と呼ばれています。その昔、皇室への献上された美味しいと評判のブランド米なんですよ。水田に流れ込む、筑波山からの霊水にはミネラルが豊富で朝晩の寒暖差が大きいことからもちっとした弾力と冷めても甘く美味しい米が作れるのだそうです。筑波山神社が縁結びの神様でもあることから、この地域のお米に塩をくるんでいただけば、「塩(えん)むずびに効果あり」なんて言われているそうですよ。
すーっと爽やかな風が吹く5月、透きとおるような真っ青な空の青さを映す水田には、筑波山も映りこみます。頭をからっぽにして、の~んびりしたい方におススメの季節です。
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