http://usa-public-library.jp/wordpress/wp-content/uploads/2018/12/haiku18.pdf#search='%E6%A8%AA%E5%85%89%E5%88%A9%E4%B8%80%E4%BF%B3%E5%8F%A5' 【「五感に響け 新しい波」 第 18 回 大分県民芸術文化祭参加行事第 18 回 横光利一俳句大会~入賞作品集~】 より
1 五感に響け新しい波 第 18 回大分県民芸術文化祭参加行事 第 18 回横光利一俳句大会 ~ 入賞作品集 ~ 表彰式平成 28 年 10 月 22 日 土 午後 2:00~3:30 宇佐市民図書館視聴覚ホール 主催 / 宇佐市 宇佐市教育委員会 豊の国宇佐市塾後援 / 大分県 大分県民芸術文化祭実行委員会 NHK 大分放送局 OBS 大分放送 TOS テレビ大分 OAB 大分朝日放送
2 ごあいさつ 横光利一俳句大会 も 今年で十八回目を迎えることとなりました 今年もまた 国内外から たくさんのご応募をいただきました これもひとえに この会を支えてくださるみなさまのおかげと感謝申し上げます また 一昨年から 新たに写真家の浅井愼平先生と俳人の野中亮介先生に選者をお願いしてから三年目を迎えることになりました 両先生におかれましては ご多忙の中 本大会を力強くけん引してくださり まことにありがとうございます 今回の応募総数は四八二一句で 内訳は 一般の部が一七二四句 中学生以下の部が四八二一句でした また 団体応募は 県内外の小 中 高等学校を中心に 三三校から三〇九七句に及ぶ作品をいただきました 応募人数は一九四〇人 うち 一般応募が四一三人 中学生以下が一五二七人でした 全国からいただく大人のみなさまからの作品はもとより 市内をはじめとする小中高等学校から寄せられる児童 生徒さんからのたくさんの作品にも 主催者一同 毎年大変励まされております 学校からの団体応募につきましては 先生方のご協力にも御礼申し上げます さて 横光利一の生誕百年を記念して平成十一年に産声をあげた本大会も 人間にたとえればそろそろ高校を卒業する年齢にさしかかり 再来年の 横光利一生誕一二〇年 および本大会の 成人式 も視野に入ってまいりました ちなみに 過去十八年間の応募総数は十三万五〇〇〇句を超え 応募人数は延べ五万二〇〇〇人を超えております この会がますます成長いたしますよう 今後とも引き続き ご支援 ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます 終わりに みなさまのご健勝とご多幸を祈念いたしまして あいさつといたします 平成二十八年十月二十二日宇佐市長是永修治
3 一 閉会 一 講評 野中亮介氏 選者 一 当日句入選者発表 表彰 一 表彰式 特選 秀作 佳作 一 主催者あいさつ 一 開会 式 次 第 横光利一俳句大会 表彰式 第十八回 選者 浅井愼平氏昭和 12 年 愛知県生まれ 写真家 俳人 句集に 二十世紀最終汽笛 冬の阿修羅 などがある 平成 27 年 西東三鬼賞 最優秀 受賞 野中亮介氏昭和 33 年 県生まれ 俳人 俳人協会理事 俳誌 花鶏 あとり 主宰 著書に句集 風の木 鑑賞読本 俳句こころ遊び などがある 横光利一 Riichi Yokomitsu 1898~1947 宇佐出身の父 横光梅次郎と伊賀町 現 三重県伊賀市 出身の母 こぎくとのあいだに 父の仕事先であった福島県で生まれた 利一の本籍は生涯宇佐にあった 菊池寛に認められ 川端康成を紹介されて親友となる 新感覚派文学のリーダーとして 昭和初期からめざましい活躍をし 昭和十年代には 文学の神様 と称された 代表作に 日輪 上海 機械 などがある また 半生をかけて書き続けた未完の大作 旅愁 の後半に主人公が故郷の九州を訪ねる場面があり そこには宇佐の自然や人々との触れ合いが描かれている 友人 知人に俳人が多く 自らも熱心に句作をし 小説の中にも盛り込んだ また 句会 十日会 を主宰し 俳人の水原秋桜子や石田波郷らが参加したほか 門人の石塚友二や清水基吉は 小説家のかたわら俳人としても活躍した 1998 年に生誕百年を迎え 伊賀市 三重 世田谷区 東京 宇佐市 鶴岡市 山形 など 全国のゆかりの地であいついで記念事業が行われ 以来 各地の交流が続けられている 横光利一俳句大会 も 宇佐市の生誕百年記念事業の一環として始められ 現在に至っている - 1 -
4 - 2 - 第十八回横光利一俳句大会入賞作品 一般の部 特選 十句横光利一俳句賞カンナ咲く石工は石に股がりて池村惇子大分市大分県知事賞放蕩となりて久しき大文字花田睦生北九州市宇佐市長賞爽かや日増しに高き堰の音荒巻勝郎上毛町 宇佐市議会議長賞少年の耳のさみしき盆の月山﨑一馬市宇佐市教育長賞老い先の行く末案じ蚯蚓鳴く荒井浩子知立市大分県北部振興局長賞湯の町を敵機素通り終戦日渕野陽鳥大分市宇佐市民図書館協議会長賞終戦日掩体壕の中農具阿部嬉子大分市豊の国宇佐市塾賞公園の蛇口の乾く敗戦日岡汀子三木町 香川 浅井愼平選者賞自転車を盗まれし日よ鰯雲上尾あがりおヤス子大分市野中亮介選者賞夏期講習窓から見えるホームラン濱田黎中津市 高三
5 - 3 - 中学生以下の部 特選 十句横光利一俳句賞夏帽子いつかの砂もそのままに古門美羽宇佐市北部中二年大分県知事賞白い波サーファーたちが動き出す山下勇太宇佐市北馬城小四年宇佐市長賞蝉の声あの日のことをさけんでる堀添すず宇佐市北部中一年宇佐市議会議長賞マムシ来たムカデもハチもやって来た田口悠雅宇佐市宇佐小三年宇佐市教育長賞夏祭りげたでちょっと背のびした南那奈宇佐市駅川中二年大分県北部振興局長賞ごきぶりがいろんな場所へ帰ってく柴﨑美結大分市明治小五年宇佐市民図書館協議会長賞妹の泣き顔トマトになっている山下乃愛小川町欅台中学校三年豊の国宇佐市塾賞六じぞう頭にはえるこけの花杉本さくら伊賀市柘植小四年浅井愼平選者賞かにさんをせわしたぼくのなつやすみ菊地王芽伊賀市柘植小一年野中亮介選者賞夏休みばっさり切ったうしろ髪重見茜宇佐市院内中二年
6 - 4 - 一般の部 秀作 五十四句叢は育む処星月夜浅野都川口市遊歩道杖の先なる秋の声安部紀久子豊後高田市畦ひとつ塗って棚田を這ひ上がる安倍日出宇佐市花の世を花ともならで散りにけり阿部誠文北九州市木染月野に紫のもの多く石井明美津久見市逆らへぬ老いに逆らふ生身魂伊南朋朗大分市手のひらの広さ比べや浮いてこい岩波千代美大分市油照り大き拳を持ち歩く岩橋玲子久留米市虫の声三面鏡を閉めてより宇戸美和子大分市由布岳に一礼稲を刈りはじむ大隈草生宇佐市庭下駄に涼しき音を拾ひけり大津節子大分市筆筒をすこし寄せたる秋思かな荻原都美子秋田市ふるさとはいつもふるさと稲の花押谷隆別府市鯖雲や一本釣りの関ん衆小田祥子津久見市しゃぼん玉地球が一つできあがる金澤諒和大分市銀河濃し維新の志士の生れし地岸原邦代岡垣町 渡り鳥地は激震の跡とどめ黒木豊大分市雨音のなくて雨の香白木槿桑野英子市酒米の青田もありて五千石小杉優子豊後大野市枯蓮に風の迷うてゐる事実後藤南女大分市星月夜たつたふたりの姉妹なり坂本首夏生南関町 熊本 水を打つその手も水になりきって佐藤佳津津久見市秋扇とぢて女の艶話下川冨士子玉名市蜷の道八幡さまに通じけり髙田英子日出町影持たぬ一木一草原爆忌髙野ちか子大分市帰省子の列車トンネルへ消ゆ髙本和子玉名市
7 - 5 - 小鳥来る珈琲館の定休日多田淑子広島市長身揃ひ八幡の紅蓮田中三樹彦大分市団栗が犇めき合ひて村しづか為成央子豊後高田市神々の道を許され小鳥来る坪井洋司市還したくない子を還す魂送遠見百合子津久見市ギャラリーは風の回廊初紅葉利國春美高松市竹皮を脱ぐ少年は変声期富尾和惠大分市鬼の子の国東塔にぶら下がる富川元女大分市その道を極めて涼し行者道中尾豊子大分市台風のニュースばかりを見て一日中田恵美子玉名市遠花火昔日の夢見るがごと中村祐子市蚊遣火や父が語らなかつたこと中山幸枝篠栗町 理科室の人体模型夏休み南雲玉江別府市遺されし母の絵手紙菊香る橋本真喜子由布市独身のころのスカート星祭樋口ひろみ小郡市こぼれ萩掃くのが下手な尼ひとり彦坂正孚太宰府市青竹の箸の両細涼あらた平田笙子市踊の輪切れしところへ誘はるる古川和子鈴鹿市一つ灯のひとりの暮し秋刀魚焼く豊東美智子大分市秋風や父の形見の手風琴本田幸子大分市春の陽を握ってやや子産まれけり真早流芽生名古屋市シリウスや父亡きあとに牛遺る益田竜昇大分市文豪の故郷変らず宮涼し松村越子大分市万緑や石が石生む石切場松村勝美由布市蝉穴を出づや人間住めぬ町松本みゆき大分市古書店の昭和の匂ひ秋灯村上君代大分市震災の子等に短い夏休み村上哲子熊本市地球儀の海は穏やか震災忌山下雄子大分市
8 お盆すぎさ わやか な風こんに ちは 首藤優花 由布市立谷小六年 なつま つりき んぎょ とわた しおに ごっこ 小林由奈 安心院小一年 ゆ な ふうり んのね いろか なでる ゆめご こち 黒田紗羅 駅館小四年 ぬけが らがセ ミがた びだち さみし そう 清永進吾 西馬城小五年 ねる前の風がすず しき秋の夜 河野真子 糸口小六年 金メダル 夏の星よりか がやい た 萱嶌佐保 封戸小五年 一球のボー ルを追った甲子園 梶原優衣 八幡小五年 自転車で父の背を追う夏の夕 加来大凱 安心院小四年 風にのり ひまわ りたち がおお あばれ 奥田梨乃 長洲小五年 青田みてみ んなの くろう がよみ がえる 江口凌平 佐田小六年 せみし ぐれ晴れたら 合っしょ う楽しいな 岩尾美希 津房小四年 ありが とうラ ンドセ ルにも 夏休み 今石響 ひび貴き 高家小六年 中学生以下の部 小学生 秀作 二十五句 夜空さく八まん大玉みな笑顔 四井麻耶 豊川小五年 日が昇りひま わりた ちが手を伸ばす 吉田倖 ゆき菜な 大分市明治小五年 ばあち ゃんの 手にたく さんの 夏野菜 山本 結 宇佐小六年 花火背に父の一歩はぼく の二歩 森本秀明 駅館小五年 笑ってる ひとみ の中に花火さく 室 京花 天津小五年 きゅう りのひ げネッ トにか らんで のぼっ てく 三吉 司 佐伯市東雲小四年 ばあち ゃんち ばった がぴょ んとと んでき た 松本きっか 宇佐小一年 はすの 花背すじを のばし 咲いてい る 松原和 かず歩ほ 和間小六年 かぶと むしぼ くのい えにも とんで きた 橋本煌生 伊賀市柘植小一年 ほうず きをま まにお そなえ てをあ わす 田邉乃の愛あ 和間小一年 道教え消える光りはほ たるか な 田川乃々香 佐田小六年 雨の日に蛙とあそ ぶかた つむり 髙橋莉子 宇佐小三年 太陽より早く朝顔おきて いる 髙橋桜子 上毛町西吉富小六年
9 - 7 - 中学生以下の部 中学生 秀作 二十五句ひまわりは私の人生私自身江口彩乃北部中一年あと二ミリなのに届かぬ真夏の恋大西花はる芽か西部中三年 そこだそこ! で西瓜割り小野心本耶馬渓中一年山蛭が守る山にはゴミはなし風間雄次小川町立欅台中三年夕立の去った後には笑顔かな加徳照しょう宇佐中三年蟬の声目覚まし代わりの登校日河野晏奈安心院中二年巣をつくり子育てがんばるつばめたち久家くが麻梨奈西部中一年台風はみんなの心をかきみだす櫛野日ひ渚な院内中一年暑い夏部活の熱も上昇中河野美咲西部中二年白線から白線で終わる勝負の夏後藤涼すず花か西部中二年最高の笑顔と友と夏過ごす佐藤圭悟安心院中三年祭りかな窓に映った万華鏡佐藤大輝たいき安心院中一年グランドがぼくとあの子の天の川佐藤龍之輔院内中三年扇風機つければそこから夏はじまる永野未来みく西部中二年花火はなみんなの笑顔つくる火だ中道朱しゅ李り西部中一年冷蔵庫用もないのに開けている野田紗更駅川中二年大地震テントぐらしで暑い夏野畑慧伍西部中二年朝顔が咲くと同時に朝が来る馬場晧太小川町欅台中二年戦争の悲しみ残る宇佐平野福島夢ゆめ翔か駅川中三年友達とひがんばな咲くへんろ道古前太陽高松北中一年泣く僕をふわりと包む君と雪松本翔太北部中三年かき氷夢中にほおばる君がいる三宅るり西部中一中麦わらの帽子が似合う海賊王宮本晃希宇佐中三年水泳で五メートルだけのびた夏弓場悠生はるき院内中一年そよそよと稲穂手を振る秋の暮用正遥奈はるな北部中二年
10 - 8 - 一般の部 佳作 一五〇句朝かげや蘇鉄しづかに花を抱き藍沢きよ子別府市花冷や老の歩幅のあるがまま赤松千代子中津市端居してあの世この世を見渡せり穐山常男八尾市自画像は未完となりし沙羅の花秋山玲子山口市七十一年経ても八月は八月明吉享子東久留米市甲子園汗と涙と思い出を芦田遥奈中津市 高二 踊子に色なき風の通りけり天野眞由美市手袋をはめてひとつの老い隠す安藤しげる佐伯市振り向かず白服の吾子搭乗す池上淑子玉名市嵐去り夜も深けゆかば虫時雤池邉静子大分市初東風や瀬見の小川の樹の匂い井田寿一東近江市緑蔭の石段まずは文殊堂伊東慶子諏訪市ほほづきを母と鳴せし昭和かな糸永悦子別府市緑蔭に五百羅漢の泣き笑ひ糸長閑圃宇佐市シクラメン咲かせ農業科男子井上實亀岡市虹仰ぐ円周率は知らねども井上寿子直方市夏休み風が大きな扉押す井ノ口睦子中津市城の石垣蛇穴を出るところ今田幸正中津市春陰や壁に掛かりし航海図岩田勇名古屋市五月雤や煤けて光る自在鉤岩花太美上毛町 くっきりと川面に広げうろこ雲岩本文子津久見市鎌研いで心地良き日や秋の水臼木すなえ上毛町 夏草の進むべき道塞ぎをり宇野木邦子熊本市流れ来る終い囃子か菊の雤浦田穂積唐津市大航海の赤とんぼ草のマストに揺れて裏文子由布市虫時雤分け入る先に磨崖仏占部耕三所沢市父が居てその父が居て春隣江口美佐子宇佐市春の海妊婦は腹を愛撫するエドゥアルド タラルーマニア潮騒の遥けし遠し茸狩り江藤清彦別府市いま拭きし玻璃戸に映る小鳥かな江藤ひで佐伯市千枚田海へ傾るる豊の秋遠入英子市絆つぐ掌の大きさよ遠花火大石恵子中津市深々と村の眠りや天の川大石敏子上毛町 新涼の幣と法螺の音豊前坊大江正人中津市紫陽花や裏木戸くぐる蛇目傘大木本法通上毛町 山焼や激しい恋の行き止まり太田省三池田市
11 - 9 - 雷の消す君の言の葉もう一度大西笹風東大阪市水分の音軽やかや稲の花岡嶋明宇佐市花野風風土記の丘へ渡りけり岡孝子大分市幟立つ耶馬の山城春田打つ尾形忍上毛町 特攻の跡地の黙や稲の花奥野律子宇佐市沈み橋姿現し秋の声小野啓々大分市桐一葉言ひたき事も言はずして甲斐梶朗別府市銀芒丌良の頃の我に似る梶谷保子宇佐市洞を出てこの世の蝶となりにけり梶原マサ子宗像市折りとれば風の飛びつく猫じやらし片岡学別府市帰省子や父の匂ひの父の部屋加藤美穂玉名市草むしる母の後ろ背小さくて神本多貴子中津市朝顔の折り目正しく開きけり河野二三子宇佐市鳥追いの音こだまする石仏路河村美智代臼杵市我が思い桜の雤に染められる神部哲平中津市 高二 一斉に空をかつぎて秋神輿岸本恵美大分市花吹雥浴びて子供に戻りけり木下テル子上毛町 楽しみは郵便受けとあげはちょう木村鉄郎熊本市幼子の母の後追ふ跣足かな清松睦美佐伯市盆踊母がにはかに若返る工藤ミヨコ大分市車椅子乗る人のなき盆の月久保英代宇佐市水番のうずくまりゐる草の闇熊谷文子上毛町 裏山に小雤の残る大文字小池令子京都市凍月や蝋燭の芯じじと啼く古賀京子大牟田市引き売りの豆腐のラッパ夏の果て古久保登京都市雲流れ迷ひも流れ風薫る小林勝子福山市秋来たり校歌の海の波を聴く斉藤浩美東海市夏惜しむ 17 才 を聴きながら坂本雅則名古屋市一山の暗き所の葛の花佐々木多恵別府市水口を隠しておりぬ禊萩佐藤一男大分市渓谷に川舟走る紅葉かな佐藤邦夫岡山市コスモスの揺るるも山の動かざる佐藤浩津久見市眠らむと街の賑はふ横光忌佐野鬼人富士宮市耳許で話す看護士秋さやか重光絹子豊後高田市野分きてなおも小さき村となり嶋良二日進市原爆の遺品のやうな辛夷の実白石多重子江東区雷雲の中の孤島やカモメ啼く新海均所沢市初蛍気づかぬ君の影と消ゆ菅尾雅江沼津市
12 甲子園声まで日焼けしてをりぬ相馬正道八戸市柿の花こぼれ望郷絶ち難し園田武子大分市マネキンの横向きの鼻夏の昼高木ミツヨ玉名市行く雲も一期一会や夏深し竹光直子別府市頬杖の横顔涼しカシニョール田島美栄子市川風に蜻蛉ふゆる通学路多田裕英三木町 香川 表札の薄れし文字や秋あかね田長丸桂子中津市説教の牧師のアロハ姿かな田中和美横浜市車いす日永に押せば妻眠る千島宏明藤岡市芋の葉の解きては巻きて旱なほ土谷良子豊後高田市豆飯の炊ける匂いや母の顔角森玲子安来市落ち葉ふむ夫の足音残る路長岩ヨシ子宇佐市雥の夜の昔に誘う遠汽笛中川雄策大磯町 神奈川 水打って料亭の朝始まれり中出美司子京都市冬用意おのれ温む物をまづ中野清彦伊豆市図書館に山かむさりて麦の秋中野ちよ伊豆市登校班新入生を真ん中に永松市夫宇佐市慰霊碑のわきに鉄砲百合の花永松悦子宇佐市青蜜柑時折乙女に帰る老母中村重幸北九州市われを呼ぶ父の大声終戦日中村宏枝中津市信州の薪の高さや初紅葉中村りょうこ市鳳仙花手足の長きをんなのこ長山香織横浜市特急がコスモスの駅置いてゆく西愛子中津市夏越祭御輿舁く手の力瘤入学ひさみ宇佐市冬というレンズに蒼き月の肌子延忍人渋谷区母の声聞きて枇杷の実育ちけり信安淳子岡山市しゃぼん玉探しに行ってそれっきり野村千壽子津島市大残暑乗り切る老の熱湯かな橋本紅洞大分市冬の山まるで立派な角隠し原戸遥花中津市 高一 山梔子の花の香りや父偲ぶ疋田惠子佐伯市清流の空にありけり秋茜樋口通子宇佐市遠雷に仁王は拳振り上げて樋田征子宇佐市父の忌に嫌いな父と会う麦秋日野百草日野市風鈴や本音で語る友と居る平井利恵一宮市過ぎし日はみな輝きて遠花火平田節子大分市唐突に人を恋ふこと曼珠沙華平田初子大分市冷奴崩して本題まで遠く平田八重子福山市昏れぎはの舞姑の紅や貴船川床廣﨑和代子玉名市
13 炎昼やことりともせぬ夫の部屋福島洋子中津市鬼灯の枯れても朱の色残す藤井淳子大分市母は今幼児の夏を生きてゐる藤井隼子大分市ささやかな決断に剝く青蜜柑藤﨑由希子宗像市死ぬときは薄きがよろし夏蒲団藤本正吾上毛町 石垣のこんな所に韮の花二村久美津久見市秋の蝶由緒正しき紋所古川光代津久見市里神楽舞ふをのこらの手の無骨古荘浩子熊本市沢水の音を吸い込み山眠る星野春男中津市万緑を分けて仁王の立ち上がる細谷拡一中津市龍神の裾よりふくれ葉月潮本田加志子玉名市原爆忌空は落書き禁止です本間満美横浜市洗ひ髪女の灯す仄明り松原幹夫由布市筆圧の強き句集や星月夜松本己代子中津市海峡の跳ね橋跳ねて天高し真鍋史子北九州市登校の子ら一列に台風過水田和代臼杵市花疲れ恋の疲れも湯の中へ水村凛和歌山市緑陰やせせらぎに居るここちして宮﨑道子中津市すすき野や幼子たちの見えかくれ宮本昌代宇佐市山門の聳ゆる辺り秋茜村上千代日野町 滋賀 文机にペーパーナイフと椿の実森次洋子大分市鬼の子の頭なずれば大揺れす森永英子玉名市水鉄砲街で乱射の天使たち森山茂鎌倉市修業僧真菰むしろを編みにけり森山暢子松江市母の死を受ける背中に蝉時雤山縣敏夫岩国市うす紅は夫の好物茗荷漬山口須磨子中津市朝顔のメキシコ湾と色合せ山村介夫大分市秋風や奮いたたせる前頭葉山元金子津久見市杉林秀先揃ひて秋涼し山本健人大分市一夏の恋に一発ホームラン山本真斗中津市 高一 秋天を集めて幼な子のまなこ横田美佐子佐伯市的はじけ流鏑馬の森動き出す吉武千束中津市声までもずぶぬれにして水遊び吉浦百合子周南市白髪で迎ふる夫や盆灯籠吉本シトミ玉名市洞門の粗き鑿あと夏つばめ吉本友一上毛町 空真青即かず離れず蝶は舞う米持知子宇佐市廃校の校舎今なく木槿咲く和田こうせい大分市秋澄めり羅漢の笑ふ寺を訪ふ和田慎一郎大分市
14 のなかりょうすけ 講評 野中亮介氏 選者 昭和 33 年 県生まれ 現在も在住 昭和 53 年 馬醉木 入門 水原秋櫻子に師事 秋櫻子没後は 林翔 千代田葛彦 杉山岳陽らの指導を仰ぐ 昭和 62 年 馬醉木 同人 平成 7 年 第 10 回俳句研究賞 馬醉木賞受賞 平成 8 年 市文学賞受賞 平成 9 年 風の木 上梓 同著にて第 21 回俳人協会新人賞受賞 平成 13 年 馬醉木 の僚誌として 花鶏 あとり を創刊主宰する 平成 26 年 読売新聞西部版 よみうり西部俳壇 選者に就任 俳人協会 前理事 著書に句集 風の木 角川書店 鑑賞読本 俳句こころ遊び 実業之日本社 俳句実作入門講座 共著 角川書店 鑑賞女性俳句の世界 共著 角川学芸出版 林翔の一〇〇句を読む 共著 飯塚書店 などがある memo
15 第 17 回 横光利一俳句大会 表彰式当日句入選作品 平成 27 年 10 月 24 日 野中亮介 選 特選 五句生みたての卵を買ひに天高し下川冨士子 玉名市 眉目秀麗長身の案山子かな田中三樹彦 大分市 豊前路を南へ秋の高きこと平田笙子 市 掩体壕のむつつり坐り雁の頃岩橋玲子 久留米市 大楠の幣ひるがへり秋のこゑ渕野陽鳥 大分市 秀作 五句神の留守スターバックスは満席富川泉子 大分市 吾亦紅さらに短き母の髪藤原弘美 北九州市 黒葡萄食べつつ語る恋の憂さ井手久美子 北九州市 秋深き追悼集の薄さかな清瀬善三 宇佐市 菊の風包む受賞の夢一つ浦田穂積 唐津市 編集 発行宇佐市民図書館平成 年 10 月 22 日 大分県宇佐市上田 TEL FAX URL.
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