キノコ きのこ/木の子

https://japanknowledge.com/introduction/keyword.html?i=189  【キノコ きのこ/木の子】 より

菌類が形成する大形の子実体(胞子をつくる器官)に与えられた一般的な用語で、「木の子」の意味から生まれた。菌、茸、蕈などもキノコを意味して用いられるが、いずれも訓で「たけ」とも読み、音はキン、ジョウ、ジンである。

 菌は、現在では菌界を構成する菌類を意味するが、元来はキノコ、すなわち英語のマッシュルームmushroomのことであった。このことは、菌類と人間とのつきあいはキノコから始まり、小さなカビや細菌は人間の認識の外にあったことを示している。ところがいまでは、菌といえば細菌を連想する人が多い。これは、菌類に対する正しい理解がまだ定着していないためである。

[今関六也]

キノコの体制

キノコ、つまり菌類がつくる大形の子実体は、いわば植物の花に相当する器官である。キノコをつくる菌の本体は土の中や落ち葉、材木の中に伸び広がる菌糸体であって、いわゆる外形としてとらえたキノコだけで生きているのではない。その点は、カビといわれる菌類も変わらない。カビという語も、キノコと同様に一般的用語にすぎず、学問上のことばではない。

 キノコといわれる大形の子実体をつくる菌類は、真核菌類の子嚢(しのう)菌類と担子菌類に含まれるが、大部分は担子菌類に属する。

 このようにキノコは多くの菌類の各分野に分散するので、子実体すなわちキノコの形はさまざまである。ただし、いちばん多いのは担子菌類のなかの帽菌(ぼうきん)類に属するサルノコシカケ目とマツタケ(ハラタケ)目であり、とりわけ人とのかかわりが深いのはマツタケ目である。このため、一般の人々は、キノコといえばマツタケ形のキノコを頭に浮かべる。原爆雲を、きのこ雲というのもその一例であろう。

 マツタケ目のキノコは種類が多く、ほとんどが肉質で食用の対象となるので、人とのかかわりは古くから多かった。形は雨傘形で、「かさ(傘)」「ひだ」「くき(茎)」、茎の上部にある「つば」、茎の根元にある「つぼ」という五つの部分がそろっているのが、いちばん複雑な形である。種によっては、この形から、まず、つぼ、またはつばが欠けたり、さらに、つばもつぼもなくなって、傘、ひだ、茎の三つだけのものになる。三つだけというのがいちばん普通の形であるが、なかには傘とひだだけという単純な形のキノコもある。

 マツタケ目を分類するうえで重要な見どころは、胞子の色である。胞子の色とは、ひだから紙の上に落とし積もらせた胞子紋の色をいう。大ざっぱに、白、淡桃色(桃肉色)、茶褐色、黒褐色(暗紫褐色)、黒の5群に分けられるが、これらの中間色もある。次に、ひだが茎に接する部分の形を、離生(隔生)、直生、湾生、垂生などに分ける。さらに肉の質や外形などを取り上げ、これらの特徴を組み合わせ、さらに顕微鏡的性質、たとえば胞子の形、菌糸組織の構造などを加えると、マツタケの仲間数千種は、15余りの科と200を超える属に分類することができる。

 胞子が形成される面を子実層という。マツタケ目のキノコは、傘の裏にナイフ状のひだがあり、その表面に子実層ができる。同じマツタケ目でもアミタケの仲間は、ひだのかわりに細い管孔(くだあな)が並び、管孔の内面に子実層ができる。このほかに、ひだの原形ともいうべき、しわのようなひだをつくるものがある。アンズタケはその代表である。

 サルノコシカケ目のキノコは、革質、コルク質、木質で硬いものが多い。一年生が多いが、木質のキノコには多年生で巨大になるものがある。肉質のものには優れた食用菌がある。サルノコシカケ目では、傘の下側にひだが並ぶものは少なく、

(1)管孔が並ぶもの(サルノコシカケ科)

(2)無数の針状の突起が密生するもの(ハリタケ科、イボタケ科)

(3)いぼがあるもの(イボタケ科)

(4)しわも、くぼみもなく平坦(へいたん)なもの(コウヤクタケ科、ウロコタケ科)

などがある。

 サルノコシカケ目やマツタケ目は、胞子をキノコの外面に露出してつくる。これに対して腹菌類では、キノコの体内に胞子をつくる。肉の中に小さな室ができて、その内面に子実層が発達する。胞子は成熟してから初めて体外に放出されるので腹菌類と名づけられた。ショウロ、ホコリタケ、スッポンタケなどの仲間が腹菌類であり、食用にされるものも少なくない。

[今関六也]

キノコの生態

菌類は、生態系において有機物を分解して無機物に還元する生物である。キノコの大部分は森林の生物であり、森林生態系においては、おもに落ち葉と木材とを分解する。とくに木材分解の主役はキノコであり、これらの菌を木材腐朽菌という。木材腐朽の対象が有用木材とか木造建造物である場合には、その菌は有害菌とみなされるが、木材を分解するキノコがもし存在しなかったら、森林は木材の堆積(たいせき)場となり、森林そのものの存立も不可能となるわけである。木材腐朽菌が立ち木に侵入し、木が生きているうちから心材や辺材の腐朽を始めると、木は材質腐朽病をおこし、枯死はしないが折れやすくなる。それが風害の原因となり、森林を崩壊に導くことがあるので、木材腐朽菌は森林の遷移に重要なかかわりをもっている。これら木材腐朽菌には、自然界でのシイタケ、ナメコ、エノキタケなども含まれる。

 木材腐朽菌に対して、マツタケ、ホンシメジ、ハツタケなどは菌根菌といって、生きている木の、生きている細い根に同居し、居候(いそうろう)的生活をするキノコである。しかし、これらのキノコと木とは共生的関係にあり、木の栄養生活を支えており、樹木の生活にとって欠くことのできない協力者の働きをしているのである。

 キノコの役割として、このほかに重要なのは病原菌としての働きである。木材腐朽菌や菌根菌は宿主の生命を奪わないが、立ち木に侵入し、積極的に木を枯らすキノコがある。この仲間のキノコは少ないが、日本ではナラタケがその代表である。

[今関六也]

食用キノコ

日本は森林の豊富な国であり、大昔の日本人は海を前に、森を背にして、海の幸・山の幸に恵まれて生活した。キノコは山の幸の一つとして、古くから賞味されてきた。日本のキノコはきわめて複雑で、アジア大陸東部のキノコを主とするが、欧米系、東南アジア系、熱帯系のキノコなどが入り混じり、種類もきわめて多い。そのなかで、マツタケ、ホンシメジ、ハツタケをはじめとして、シイタケ、ヒラタケ、エノキタケ、ナラタケ、クリタケ、サクラシメジ、アミタケ、ショウロ、ホウキタケなどは古くから日本人に愛されてきた。また、産地が限られているナメコ、マイタケ、コウタケなどは、地方の特産品として独特の名物料理を生んだ。秋田のきりたんぽとマイタケなどが一例である。これらのキノコは日本人好みの一級の食用菌である。こうしたキノコには欧米と共通のものも多いが、日本人と欧米人との間には好みにも料理にも違いがある。

 日本料理では、キノコがもつ自然の風味をたいせつにするので、マツタケ、ホンシメジ、シイタケ、ナメコ、エノキタケなどを好むが、欧米ではマツタケ、シイタケなどは好まない。欧米人が一級品として食用にするのは、ハラタケ、アンズタケ、ヤマドリタケ、アミガサタケなどであり、これらは、日本では昔から食用としては不適とされ、なかには見向きもされなかったものもある。このように、キノコの食用としての適否は、経験によってのみ確かめられるものであり、国により、あるいは地方によって違いが生じるものである。日本での食用キノコは、地方的なものも含めると、およそ200~300種と考えられる。

 食品としてのキノコの価値は、栄養価の面から評価するのではなく、植物質や動物質の食品からは得られないものが、キノコをはじめとする菌類にあることを忘れてはならない。キノコには健康食品としての重要な意義があり、それは「菌食論」のなかによく表れている。

[今関六也]

キノコの栽培

日本のシイタケ、中国・東南アジアのフクロタケ(中国名は草〓(ツァオグー))、欧米のマッシュルーム(日本名ツクリタケ)を世界の三大栽培キノコという。シイタケは木材腐朽菌、あとの2種は落ち葉や枯れ草などを腐らせる死物寄生菌であるため栽培は容易である。同じような生活様式をとるキノコは、食用、薬用にかかわらず栽培は可能である。近年は食用菌に対する需要が増え、エノキタケ、ナメコ、ヒラタケの栽培が盛んであり、さらにキクラゲ、シロキクラゲ、マイタケ、クリタケ、シロタモギタケなどの栽培に発展している。今日、これらのキノコの栽培産業は年間生産額が2315億円を超える重要産業となっている(1999)。これに対して、マツタケ、ホンシメジ、ハツタケなどのように菌根をつくるキノコは栽培できない。とくにマツタケについては精力的な研究が進められ、森林の取扱い方による増産への道は開けたが、自由に栽培することはまだむずかしい。

[今関六也]

毒キノコ

キノコ好きの日本人にとって、「茸狩(たけが)り」は秋の楽しい行楽である。収穫された野生の食菌の一部は市場に出されるが、多くはそのまま家庭の食卓にのせられる。しかし、食用にされる種類が多いだけに、毒キノコによる中毒も少なくない。外国でも同様で、北欧諸国やイタリア、フランスなどのキノコ好きの国ではキノコ中毒がある。ただ、それらの国と日本との違いは、キノコに関する研究と一般への啓発という面であり、この点については、残念ながら日本は著しく後進国となっている。

 日本では毒キノコの見分け方として、茎が縦に裂けるキノコは食べられる、毒キノコは色が鮮美である、ナスといっしょに煮れば毒にあたらないなどの言い伝えがあり、しかも、これを信じている人が多い。これらは、いずれも根拠のない、まったくの迷信であり、この迷信を打破することが中毒を防ぐ第一歩である。厚生労働省の統計によると、キノコ中毒者の数は年平均約200人ほどであるが、隠れた中毒者は、これに数倍するであろう。またこの数字は、明治から今日にかけてあまり変わっていない。日本人の日常生活がどれほど近代化しても、日本人のキノコ好きはすこしも変わっていないし、相変わらず毒キノコの安易な見分けという前述の迷信を信じ、同じキノコによる中毒を繰り返している。

 おもな食用キノコが属するのは、15余りの科に分類されるマツタケ目であるが、毒キノコはどの科にもある。そのことは、毒キノコに共通した特徴がないことを意味する。また毒成分も、中毒症状もさまざまであるため、2、3の試薬で毒キノコを見分けることは不可能である。アメリカのリンコフLincoffとミッチェルMitchellは、キノコの毒性を次のように分類している(〔1〕~〔4〕は毒の作用、(1)~(7)の通番は毒成分)。

〔1〕細胞を破壊し、肝臓、腎臓(じんぞう)を冒す致命的な毒。食後発病までの潜伏時間は6~10時間。

(1)環状ペプチド(アマトキシン類など)による。例=ドクツルタケ、タマゴテングタケ、コレラタケなど。

(2)ジロミトリンによる。例=シャグマアミガサタケ。

〔2〕おもに自律神経系に作用する毒。

(3)酒とともに食べると中毒。例=ヒトヨタケ、ホテイシメジなど。

(4)ムスカリン(アルカロイド)による。例=アセタケ属、カヤタケ属など。

〔3〕おもに中枢神経系に作用する毒。

(5)イボテン酸、ムツシモルなどのアミノ酸による。例=ベニテングタケなど。

(6)シロシビン、シロシンによる幻覚性症状。例=ワライタケ、シビレタケ、アイゾメシバフタケなど。

〔4〕おもに胃腸粘膜などを刺激して、下痢、嘔吐(おうと)、腹痛をおこすが、致命的でない毒。

(7)毒成分はほとんど不明。例=ツキヨタケ、イッポンシメジ、カキシメジ(マツシメジ)など。

 この分類にもあるように、毒キノコの横綱格といえるのはドクツルタケなど、テングタケ科タマゴテングタケの仲間であり、茎にはつばがあり、茎の根元に袋状のつぼがあるのが特徴である。この形のものにも食菌はあるが、つぼがあるキノコは絶対に食べないという配慮が必要である。また、キノコの採集にあたっては、かならず根元からとることも心がけたい。日本でいちばん中毒が多いのは次の3種である。

(1)ツキヨタケ。ブナの枯れ木に群生。短い茎の肉に黒いしみがある。

(2)イッポンシメジとその仲間。形、色ともホンシメジに似るが、ひだは淡桃色、胞子紋も淡桃色。

(3)カキシメジ(マツシメジ)。松林、雑木林に生える茶色のシメジ。ひだも肉も初めは白いが、茶色のしみができる。

 日本から毒キノコによる中毒をなくすためには、学校教育などで、毒キノコの迷信的な見分け方を捨てさせ、前述したような正しい採集法、あるいは見分け方を指導する必要がある。そうすれば、中毒件数はいまの3分の1程度に減ずることであろう。

[今関六也]

薬用キノコ

日本薬局方には、漢方医薬品として、かつてサルノコシカケ目のエブリコが載っていたが、いまは除かれて、新たにサルノコシカケ目のブクリョウ(茯苓)とチョレイ(猪苓)が載せられている。両薬とも利尿効果が高く、各種の漢方薬の処方に用いられる重要なキノコである。キノコの薬用については草根木皮(そうこんもくひ)を主剤とする漢方医学で研究されており、中国人の〓波(りゅうは)が著した『中国薬用菌類』(1974)には、キノコだけではないが78種の菌が載せられている。このなかには民間薬的に利用されるものも多いと思われるが、その一部は日本でも民間薬として用いられている。

 とくに癌(がん)の民間治療薬としてサルノコシカケ類が日本各地で用いられ、しばしば顕著な効果があるといわれてきた。医薬学界でもこれに注目し、活発な研究が行われた。その結果、カワラタケからクレスチン、シイタケからレンチナンのような制癌薬が開発されている。このほか、コフキサルノコシカケ、マンネンタケ(霊芝(れいし))なども、その制癌効果が大いに期待されている。また、シイタケのもつ降コレステロール、降血圧性成分、あるいは抗ウイルス性インターフェロンの誘起性なども研究されており、薬用としてのキノコ、菌類の将来には大きな展望が開けているといえよう。

[今関六也]

キノコの民俗・風習

キノコを好むと好まざるとにかかわらず、人々は昔から神秘の生物としてキノコをとらえてきた。ヨーロッパの人々は草原に輪(わ)(菌輪(きんりん))を描いて生えるキノコを見て妖精(ようせい)の踊り場とし、森を彩る赤、白、黄、紫などのキノコから、おとぎの国に誘われ童心に返った。また、スカンジナビアのバイキングは、シラカバの林に多いベニテングタケを食べて神経を興奮させ、士気を高めて戦いに出陣した。こうしたことからもわかるように、ヨーロッパには、ベニテングタケが幸福をもたらすキノコであるという考えがあった。いまでもベニテングタケをかたどった装身具、飾り物、調味料入れをつくったり、テーブル掛け、壁掛けなどの図案にこのキノコを取り入れている。また、キノコ好きの東欧諸国では、キノコを図柄とした郵便切手が発行されている。

 日本では、ヨーロッパの人々がもったようなキノコに対する発想はない。民芸品として、マツタケを抱く「おかめの人形」があるが、これはキノコの形からエロティックな連想を抱いたものであり、このような例は日本だけのことではないので、日本独特の民俗資料とするにはあたらない。キノコに関する日本固有の民俗、風習は少ないが、奈良時代の昔からマンネンタケを福草(さきくさ)とよび、めでたいキノコとして縁起をかついできた。このキノコは色も形も美しいために、よく絵画の対象とされ、またマンネンタケをかたどった置物、焼物、その他の装身具をつくり、幸福を願った。この風習の起源は、古代中国思想の根底にある道教に求められる。福禄寿(ふくろくじゅ)(多子、富貴、長生)の願望のなかで最大の関心は不老長生であり、悲願達成のためには全知全能を傾けた。マンネンタケは、これにこたえる霊験あらたかなキノコとして珍重され、さまざまな夢を与えてくれた。

 神秘の生物キノコの受け止め方は民族によって違う。アメリカのモルガン銀行の総裁だったワッソンR. G. Wassonはこのことに興味をもち、キノコ民俗学ethnomycologyなる新分野を開いた。そのきっかけとなったのが、メキシコ・インディアンに伝わる幻覚性キノコにまつわる奇妙な風習であった。彼らは、このキノコを毒とはみなさず、中毒症状を神がかりの状態とし、キノコを通して神と対話し、神の託宣を聞くことができると考えた。このため、幻覚性キノコはむしろ神聖なキノコとされ、神に仕える巫女(みこ)や祈祷(きとう)師だけが食べられるとした。巫女は祭壇の前で幻覚性キノコを食べ、民衆の悩みに答えを与えるのである。ワッソンはメキシコ山中で自らこれを体験し、夫人との共著で1957年に2巻にわたる大著『Mushrooms, Russia and History』を著している。

[今関六也]

調理

日本料理は、キノコがもつ自然の香り、味、歯切れなどをたいせつにするので、風味豊かなマツタケ、ホンシメジ、ハツタケ、クリタケ、ナラタケ、サクラシメジなどの野生種のほか、栽培種のシイタケ、ヒラタケ、エノキタケなどのキノコが珍重される。料理法もキノコの持ち味を生かすように考えられてきた。鍋物(なべもの)、煮物、澄まし汁に広く用いられるが、ぬめりがあって舌ざわりのよいキノコは大根おろし和(あ)えによく、またみそ汁の実にしてよい。和え物には大豆、納豆、豆腐、クルミなどさまざまなものが用いられる。そのほか、揚げ物、茶碗(ちゃわん)蒸しの具にもされるが、マツタケ、コウタケ、ハツタケなどは季節感を味わうきのこ飯として広く賞味される。炭火で焼いてしょうゆ、みそ、塩などをつけて食べるのはマツタケ、シイタケなどでは珍しくないが、いわゆる雑キノコの食べ方としてもよい。マツタケ、シイタケなど肉が厚く身がしまったキノコは揚げ物にもよいが、一般には植物油で炒(いた)めてから野菜と煮つけたり、中華風にチャプスイ(雑砕)の具にするのもよい食べ方である。

 中国料理ではシイタケ(香〓(シャングー)、香菰(シャンクー))、キクラゲ(木耳(ムーアル))、フクロタケ(ツァオグー)は欠くことができない。日本から大量に輸出されるシイタケは、世界に進出している中国料理に用いられる。フクロタケは中国南部から東南アジアにかけて広く栽培される。中国ではこのほかシロキクラゲ(白木耳(パイムーアル)、銀耳(インアル))、キヌガサタケ(竹〓(チュースン)、竹参(チューツァン))など、ほかではまったく見向きもされないキノコが珍重される。またヤマブシタケ(猴頭(ホウトウ))も高級料理に用いられる。

 西洋料理でもキノコは重視される。キノコと西洋人のつきあいはギリシア・ローマ時代からで歴史は古い。とくにキノコを好むのはロシア、北欧諸国、フランス、イタリア、スペインなどで、料理もそれらの国で発達した。材料としてはいわゆるマッシュルームが第一であるが、野生のものとしては、芝生や草原のキノコであるハラタケ、シバフタケ、ササクレヒトヨタケ、森のキノコであるヤマドリタケ、アンズタケ、アミガサタケ、ムラサキシメジ、タマゴタケの一種シーザーズ・マッシュルームCaesar's mushroom、アカハツ、カンゾウタケ、ガンタケなどが珍重される。これらは日本にもあるが、日本ではほとんど食べられない。このほかに雑木林に生える地下生のキノコであるトリュフtruffe, truffleはフランスやイタリアの高級料理に用いられるが、日本にはない。強烈な香りをもつキノコである。一般に料理としてはバターを使うものが多いが、青トマト、ニンジン、タマネギなどと混ぜてピクルスにし、マッシュルーム、カンゾウタケなどはなまのまま薄切りにしてサラダとしても食べる。

[今関六也]

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3. 木の子デジタル大辞泉プラス

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4. き‐の‐こ【茸/蕈/菌】デジタル大辞泉

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5. きのこ【茸】数え方の辞典

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6. きのこ【茸】国史大辞典

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7. きのこ【茸】プログレッシブ和英

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8. き‐の‐こ【菌・茸・蕈】日本国語大辞典

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平安前期の律令(りつりょう)官人。宿奈麻呂(すくなまろ)の子。764年(天平宝字8)従(じゅ)五位下(げ)に叙してより、左兵衛督(さひょうえのかみ)、左中弁、式 ...

48. 紀古佐美世界大百科事典

733-797(天平5-延暦16) 平安初期の官人貴族。麻呂の孫,宿奈麻呂の子。764年(天平宝字8)従五位下。丹後守,式部少輔,右少弁を歴任。780年(宝亀1 ...

49. き‐の‐こさみ【紀古佐美】日本国語大辞典

奈良時代の武将。大納言。陸奥守。延暦七年(七八八)征東大使として蝦夷討伐にあたったが、衣川で前進をはばまれ、帰京。天平五〜延暦一六年(七三三〜七九七) ...

50. きのこさみ【紀古佐美】国史大辞典

?―七九七 奈良・平安時代前期の公卿。紀宿奈麻呂の子。天平宝字八年(七六四)十月従五位下。丹後守・兵部少輔・式部少輔・伊勢介・右少弁などを経、宝亀十一年(七八 ...

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キノコ(きのこ)と同じ菌類カテゴリの記事

菌糸(改訂新版・世界大百科事典)

真菌植物の本体(栄養体)を構成する分枝した細い糸状体を菌糸といい,その集まりを菌糸体myceliumという。菌糸は先端生長によって伸長し,栄養分となる有機物があり,適当な湿度や温度などの良好な外的条件が続くかぎりいつまでも生長する。隔壁がなく多核体をなすもの(接合菌類)と

子実体(改訂新版・世界大百科事典)

担胞子体sporophoreともいう。菌類において,胞子が形成される部分が集合して塊状となったもの。いわゆるキノコは大型でよく目だつ子実体である。子囊菌類の子実体は子囊果ascocarpといい,一群の子囊を2核性の菌糸(造囊糸)と単相の菌糸が幾重にもとりまいた構造をなしている。

キノコ(きのこ)(日本大百科全書(ニッポニカ))

菌類が形成する大形の子実体(胞子をつくる器官)に与えられた一般的な用語で、「木の子」の意味から生まれた。菌、茸、蕈などもキノコを意味して用いられるが、いずれも訓で「たけ」とも読み、音はキン、ジョウ、ジンである。菌は、現在では菌界を構成する菌類を意味するが、元来はキノコ

菌界(日本大百科全書(ニッポニカ))

植物界、動物界とともに生物界を構成する3要素のうちの一つである。[寺川博典]生物観の変遷と菌界 生物には植物と動物があるというのが古来の常識であった。しかし、顕微鏡が発明されて微小な生物群が発見されるようになってからは、それらを含む原生生物界または微生物界が第三の生物界

子嚢菌類(改訂新版 世界大百科事典)

酵母のように単細胞を主体とするものから,コウジカビ,アオカビ,アカパンカビなどのように糸状細胞のいわゆるカビといわれるものや,さらにマメザヤタケ,チャワンタケ,アミガサタケなどのように比較的大型でキノコ状のものまでをふくむ菌類をまとめた大群である。現在のところ1950属

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