「ラーマーヤナ」とは。「マハーバーラタ」と並ぶインドの叙事詩

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古代インドで成立したとされる叙事詩「ラーマーヤナ」。「ラーマ王行状記」という意味で、ラーマ王子の武勇伝とヒンドゥー教の神話を中心に語られています。

そもそも叙事詩とは、一般的にイメージする心情や情景を表した詩歌とは少し異なります。ストーリーがある長大な詩で、歴史的事件や英雄の活躍をうたいあげたものです。「ラーマーヤナ」も、全7巻、2万4000節の詩で構成されています。

編者は、古代インドの聖仙、バールミーキだと伝えられていますが、詳細は不明。非常に美しい文体で記されていて、後の文学にも大きな影響を与えたといわれています。

またインドの叙事詩といえばバラタ族の王族同士の大戦争を描いた「マハーバーラタ」も有名どころ。さまざまな教訓や道徳的なエピソードが盛り込まれ、「ラーマーヤナ」と並んで2大叙事詩に数えられています。

「ラーマーヤナ」のあらすじと悲しい結末を紹介

子どもに恵まれなかったダシャラタ王ですが、盛大な祈願の甲斐あって、3人の妃と4人の王子をもうけることができました。そのうちのひとりがラーマ王子です。

ラーマ王子はダシャラタ王に目をかけられ、将来を嘱望されていましたが、異母弟であるバラタ王子の母カイケーイー王妃の侍女の策略により、国を追われることになってしまいました。ダシャラタ王は、ラーマ王子を追放した後、悲しみのあまり命を落としてしまいます。

妻のシーター、異母弟のラクシュマナを伴って旅立ったラーマは、さまざまな出会いを経験。ダンダカの森の鳥王、ジャターユとも親交を深めますが、なんとそこで妻のシーターが羅刹王のラーヴァナにさらわれてしまうのです。彼女を取り戻すための「ラーマの戦い」が、「ラーマーヤナ」の主軸になっています。

その後ラーマは、ヴァナラ族の協力を得て、激しい戦いのすえにシーターを助けることに成功しました。しかし、シーターの妊娠が判明。長い間ラーヴァナのもとに囚われていた彼女は、「ラーヴァナと通じたのではないか」と疑われてしまうのです。

この噂に苦悩したラーマは、シーターを追放することを決意。シーターはひとりで、ラーマの子である2人の王子を出産しました。

後にラーマはシーターのもとを訪れ、潔白の証明を求めます。すると彼女は、大地の神に向け「わたしが貞潔であるならば受け入れてほしい」と願いました。

大地から現れた女神、グラニーによりシーターの貞潔は証明されましたが、彼女はそのまま大地の中へと消えていってしまうのです。嘆き悲しんだラーマは国へと戻り、その後妃をめとることはありませんでした。

「ラーマーヤナ」から読み取る、古代の核戦争説

「古代核戦争説」というものをご存知でしょうか。遠い昔に栄えていた超古代文明が、核戦争によって滅ぼされたというものです。

まるでファンタジーのようですが、実際に「ラーマーヤナ」にも、そんな核戦争を彷彿とさせる記述があることが知られています。

シーターをさらわれたラーマがたどり着いた、王都ランカーでの戦いの場面。「終末の時の煙」をともなった、炎のような「人・馬・龍などを一瞬して破壊してしまう」という兵器が登場します。「火を吐く毒蛇」のようだとも形容されていて、甚大な威力をもっていることがうかがえるでしょう。

また、「ラーマーヤナ」と並び称されている「マハーバーラタ」においても、死体を「焼けただれ、爪と髪が抜け落ちてしまった」と描写するところがあり、核兵器を連想することができます。

このことから古代インドにおいて、核戦争、あるいはそれに類する何かがあったのではないかと考えられているのです。しかし詳細なことは明らかになっていません。

「ラーマーヤナ」は「桃太郎」の元ネタ⁉

実は「ラーマーヤナ」でラーマに協力した登場人物をたどっていくと、私たち日本人には馴染みのある昔話との共通点が見つかります。

王宮を追われたラーマがたどり着いたカンダカの森で出会ったのは、「鳥の王」であるジャターユでした。ジャターユはラーマと友情を結び、彼の妻であるシーターがさらわれそうになった時にはその身を犠牲にしてまで救おうとしてくれたのです。

その後ラーマの協力者となったのは、猿に似た種族であるヴァナラ族。鳥、そして猿が協力者として加わっています。もうお気付きですよね?そう、昔話の「桃太郎」にそっくりなのです。

日本で「桃太郎」が生まれたのは室町時代頃とされているので、「ラーマーヤナ」のほうがずっと古くから誕生しており、もしかしたら原典はここになるのかもしれません。これからの研究に期待が膨らみます。