https://booklive.jp/product/index/title_id/337734/vol_no/001 【「日本の四季」がなくなる日 連鎖する異常気象(小学館新書) 作者名 :中村尚】より
作品内容
異常気象の“なぜ?”を徹底的に解明!
超大型台風、集中豪雨、ドカ雪、異常に短い春と秋など、いま日本列島には“異常”があふれています。こういった、日本人の季節感覚を狂わせてしまうような異常事態はなぜ起こるのか……東京大学先端科学技術センターの中村尚教授が、その仕組みを、図をふんだんに使いながら解説。ある場所で起きた小さな変化が、ずっと離れたところに大きな影響を及ぼす、気象の世界独特のメカニズムについて徹底解明していただきます。
もちろん、日本の気候はこれからどうなっていくのかについても、季節ごとに詳しく予測。
また、「温暖化と異常気象の関係」、「数値で気象を予想する」、「温暖化が止まっている理由」など興味深い話題も満載しています。
テレビなどの気象解説だけではわからない、ディープでおもしろい世界にご案内!
ユーザーレビューより
文字通り、昨今の異常気象について取り上げた一冊。
地球温暖化によって様々な現象が起こることが予想されており、その一端を知ることがきた。
気象の基礎から気象予報の方法論まで説明したうえで、温暖化によって予想される日本の気象変化について、わかりやすくまとめている。
単に気温が何度か上昇する、ということではなく、海の温度の上昇に伴う水蒸気の増加により雨量が増えること、全地球の微妙なバランスの上に成り立つ四季の変化にも少なからず影響が及ぶこと等よくわかった。
梅雨が長引き雨量も激しくなる、台風が凶暴化して進路がより東になる、冬が短く暖冬傾向になり桜が3月に咲くようになる等が予想されているようだ。
亜寒帯の偏西風と亜熱帯の偏西風の蛇行の変化により導かれる四季の変化がすごくデリケートなもので、温暖化はこのバランスをくずすであろうこと、単純に暑くなるということだけでなく、ブロッキング高気圧のヘリを回って寒気が入ったりすると、これまでより寒い事態やドカ雪も想定されていることは、最近の天気どうなってるの?という疑問によく答えてくれた。
また、スーパーコンピューターの力技で測定誤差や気象モデルの不完全さを補ってしまおうとする気象予測の世界の凄さを垣間見ることができた。
気象学者が異常気象が起こる背景と地球温暖化の関係、地球規模の気候のしくみと天気予報・将来予測に関する科学者の取り組みを紹介した新書。
もともと気候には「ゆらぎ」がある。「気候変化(Climate Change)」は、平年値とその周りの「ゆらぎ」の範囲や揺らぎ方が、ゆっくりと一方的に変化していくこと。
https://ddnavi.com/review/281347/a/ 【暖冬なのに積雪! 「日本の四季」はなくなってしまうのか?】 より
夏は猛暑にゲリラ豪雨。冬は真冬に夏日があらわれ、春と勘違いしたタンポポが咲く。日本の四季がへん。これは異常気象? もし異常気象であれば、地球温暖化が原因でしょうか。『「日本の四季」がなくなる日 連鎖する異常気象』(中村尚/小学館)は、異常気象が起こるメカニズムやその背景にある気候変動、そして地球温暖化が日本におよぼす影響などについて、わかりやすく解説してくれます。
温暖化で気候は極端化、一方で季節感は後退する
「気候システムの温暖化には疑う余地がなく、また1950年代以降、観測された変化の多くは数十年から数千年間にわたり前例のないものである。大気と海洋は温暖化して、雪氷の量は減少し、海水面は上昇し、温室効果ガス濃度は増加している。」(IPCC第5次評価報告書・第1次作業部会報告書をもとに気象庁が翻訳した「気候変動2013」から。本書第4章『温暖化と「日本の冬」の将来』に掲載)このような報告書を読むと、温暖化が確実に進行していることを実感し、それが日本の気候にどのような影響をもたらすかが気になります。
それは次のように…(第3章「日本の四季」はどうなる)。
一、春だけではなく、夏秋にも黄砂は飛んでくる。
一、竜巻が頻発するようになる。
一、梅雨明けが遅れ、より長引くようになる。
一、梅雨明けに集中豪雨が起こりやすくなり、雨量も著しく増加する。
一、1時間に100ミリを超える雨などによって、堤防決壊、地下道浸水など想定外の被害が多発する。一、台風の数は減るが、狂暴化(スーパー台風)し、コースは全体的にこれまでより東寄りになる。
本書では、とくに日本の冬の将来(第4章)についても触れています。それによると、季節風による寒気の南下が弱まり、寒さはゆるむが、日本海側では大雪になる可能性が増えるそうです。いまの秋の終わりや春のはじめのような気候が11月から3月ぐらいまで続き、真冬でも春一番を思わせるような風が吹く。当然冬の終わりが早まれば、桜の開花も早くなる。関東~九州地方では入学式の頃に見頃を迎える桜は、“卒業式の花”となり、入学式の頃には散る花へとなってしまうのです。
温暖化が進めば異常気象が起こる確率はさらに高まり、日本の四季は、極端化する一方、季節感が後退したものになりそうです。
気候の変動ではなく、もとに戻らない気候の変化
2015年の世界の年平均気温は、2014年に続き2年連続過去最高を更新したといいます(100年あたりで世界は0.71度、日本は1.16度上昇・平成27年12月21日気象庁発表)。地球温暖化は、人間の活動によって排出される温室効果ガス(二酸化炭素、一酸化炭素、メタンなど)によることはいうまでもありません。このまま人間が温室効果ガスを大気中に出し続ければ、温室効果はより強まり、自然の気候システムに影響を与え、その結果、気温は一方的にあがることになるそう。これは、平均気温から高い低いなどのずれはあっても、ならせば平均値におさまるような気候の変動ではなく、もうもとに戻らない気候の変化であると本書は説明しています。
温室効果ガスの抑止に、なにができるのでしょうか。桜が入学式のころに咲くことは、もうないのでしょうか。本書には、テレコネクション(遠隔影響)、ロスピー波、アンサンブル予報など聞きなれない用語も出てきますが、それを上回る毎日お世話になっている天気予報や気象、気候についての発見があります。気象学は、紀元前4世紀ギリシャで活躍したある哲学者に始まるそうです。その哲学者とはアリストテレスでした。
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