Facebook・船木 威徳さん投稿記事 【 「ことば」の力 】
あと、何週間か何ヶ月か。あるいは、数日のこともありますがこの地上での人生を終えることになる患者さんの家族に、これから起きること、を話す時が私にはたびたびあります。
伝えるべき内容が内容なので相当に「ことば」を選びますし、わずかなニュアンスの誤解が
ずいぶんと異なる結果に繋がってしまうこともありました。
私は、「ことば」がもたらす不思議な効果を幾度も体験してきたし人を癒し、人を生かすことがあるのも、たくさん見てきました。
「ことば」には、とてつもない力があります。
とは言え、私も、ことばで人を責め 人を傷つけ、自分を守るためにことばを利用することがたくさんあったことを悔いています。
ですから、なおさらのこと、これからは、「ことば」を人を生かし、人を守り、人を癒すため「だけ」に使っていきたいと思います。
6年前の投稿を引用。
〜王子北口内科クリニック院長・ふなきたけのり
6年前
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船木 威徳
2014年7月23日 ·
~見送り~
「もう、このままだと、数ヶ月は生きられないです。」と、私が伝えてから、もう2年。
「先生が、生きるとか、死ぬとか言うから、こっちも、意地になるよ。」とか、言いながら、すべての飲み薬も、ご自分で中止し、月に一回、「ちゃんと、生きていることの確認」をするんだと、私のもとに通院していた患者さんがいた。
それから、2年。
いよいよ、歩くことができなくなり、ご自宅に訪問することに。
連日の、訪問で、目に見えて、弱っていったけれど、最後まで、点滴の一本さえも、受けない、いらない、と、最初の方針を貫いた。
正直、なにもしないのであれば、私が、枕元に伺う意味もあまりないように感じていたけれど、それでも、奧さんを通じて、往診はして欲しい、と言っているというのを聞いていた。
はっきりした声を聞いたのは昨日が最後。
今日は、首を動かすだけで、それから半日たって、苦しむ様子もなく、旅立った。
死亡診断書を渡したときに、奧さんは、言っていた。
「主人は、一日に何度も何度も、『先生はいつ来るんだ、明日はいつ来るんだ』って、
そりゃ、しつこくききました。『先生が来てくれると安心する』って」
この2年間、本当に「ただ」横で「見ていただけのような」時間。
それなのに、亡くなってから聞く、その一言で、ただただ、「見せてもらえて、よかった」と思う。ただ、心から、よかった、と思う。
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