ランキング

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/edu/kyouzai/handbook/html/h20103_2.html  より

1.ランキングとは

ランキング(順位づけ)は、いくつかの事柄に優先順位をつけることで、考えを整理したり、深めたりするための手法です。

個人で行う場合は考えの整理となり、グループで行う場合は多様な判断を検討することで理解をより深めるものとなります。

ページトップへ

2.ランキングの利点

ランキングには次のような利点があります。メンバーは、選択肢カードを通して、テーマに対する多様な考え方を比較検討しながら、自分の考えをまとめることができます。さらに、グループで意見交換することで、そのテーマについての多様な判断の存在を知り、テーマについての理解をより深めることができます。

ランキングは、選択肢の書かれたカード(本当にカードでなくともよい)をあらかじめ用意します。カードは、子どもが基礎知識を獲得する手段でもあります。教師が黒板とチョークを使って教え込む代わりに、子どもは、自ら考えながらテーマを把握し、基礎知識を駆使して探究を進めます。

3.準備と進め方

ランキングは、個人でも、少人数のグループでも、学級/クラス全体でも、行うことができます。時間は比較的短時間(20分~40分)で可能です。

用意するのは、ランキングを書き込むランキング・シートと選択肢カード。

ランキングシートの代表的なものは〔図1〕のダイヤモンド型ランキングシートです。これは、9つの選択肢をちょうどダイヤモンドの形になるように5段階に並べます。最も重要度が高いと思うものを一番上に、最も重要度が低いと思うものを一番下にし、中間の3段階は複数の選択になります。〔図2〕は、ピラミッド型ランキングシートです。上の簡易型で、6つの選択肢をちょうどピラミッドの形になるように3段階に並べます。

進め方は、人数に応じるので様々ですが、ここでは一例をモデル化しておきます。

用意したランキング・シ-トと選択肢カードを配る

ランキングの方法と選択肢カードの内容について説明する

まず、各自で、順位づけする

順位づけの結果について集約し、全体で共有する

時間によっては、ここで終わってもいいですが、より深めたい場合は、次のようにします。

グループで、進行役を決め、互いの判断や根拠を出し合う

グル-プとして、話し合いながら観点を整理し直す

グループとして、順位づけする

順位づけの結果と根拠について発表し、全体で共有する

4.進める上での留意点

ランキングでは、よく考えて自分の考えを整理できるようになることが何より大切です。そのために、自由で寛容的な雰囲気に留意しながら、自分なりの考えをまとめるように励まします。物事にプライオリティ(優先順位)をつけて行動することは、日常の合理的な生活習慣でも重要です。

より深める段階では、話し合いに慣れていないと、各自が自分の意見に固執してしまい深まらない可能性があります。その場合、進行役を中心にして、多様な意見を整理しながら、グル-プとしての新たな考え方を打ち出す観点を模索するとよいでしょう。メンバー全員が「あぁそうだ」と納得できる観点を発見できれば、そのグル-プは、話し合いの成功とともに深い探究を得たことになります。

また、ランキングは、考えを整理しやすいように、あらかじめ選択肢を用意しています。けれども、与えられた選択肢以外にも選択肢があり得ます。そのことを課題として話し合ってみると、まったく新しい発想が生み出されることがあります。

さらに、ランキングは考えの整理ですから、学習の前と後とで違ってくることがよくみられます。同じことを再度やってみるのもよいでしょう。2度目はより深まった議論が期待できるし、そのことが学習プロセスの成果を現しているといえます。

5.展開事例から実際の具体例で考えてみよう。

最初の展開例は「子どもの権利条約カードゲーム」です。〔図3〕に『子どもの権利条約』の6つの条文を選択肢としています。結果は〔図2〕のピラミッド型ランキングシートに順位づけします。本来は、子どもたち自らが全40条について選ぶのが望ましいですが、ここでは、『子どもの権利条約』の中から日本の子どもたちに身近な条文を取り上げて導入としています。

次の展開例は、国際協力につながる基本的な考え方(定義)を理解するための「開発とは何か」です。9つの選択肢が〔図4〕です。結果は〔図1〕のダイヤモンド型ランキングシートに順位づけします。

図3 『子どもの権利条約』の条文カード