リアルマップ

南山大学は,平成18年度岡崎市教育委員会から「人間力向上のための学校教育の具体的方策」という課題で,3年間の研究委嘱を受けました。研究紀要より

自分を見つめよう

∼リアルマップの制作 夢の実現に向けた自己改善力の向上を目指して∼

1)単元概要

ドリームマップで夢をふくらませ,その夢を大いに語った後を受けるのが2年生で制作するリアルマップである。リアルマップは,現在の自分をより深く見つめることによって,将来の夢を現実的な希望として具現化する場と位置づけている。友達や家族,地域で働く人々の声に耳を傾け自分をふりかえり,互いの良さを認め合う中で自分に自信をもつ。そして,今の自分が将来の職業生活に向かうために必要なことを考え,主体的に学び続ける態度を養うことをねらいとしている。そこで,自分をより深く見つめるための4つの要素をリアルマップに盛り込んだ。

リアルマップでは,4項目のマップ制作の区割りを行い,「自分を見つめる」方向の視点を明確にした。こうすることで,完成させたマップから「自分と夢とのつながり」をもう一度ふりかえり,考えさせることができる。この最終的な自己分析をもとにプレゼンテーションを計画し,発表活動につなげていく。


リアルマップでは,マップ制作を通して「自分を見つめながら,希望を持って主体的に生きていこう」とする前向きさの形成と伸長をねらいとしている。更に発表する中で,友達から認められ,励ましの声をもらうことで自分の内にある内的自立力に自信を持ちながら自己実

現への努力を方向づけていく。

リアルマップ制作 学習計画〔11時間完了〕

◇「夢ある自分の将来をふりかえろう」・・・・・1時間

◇「自分の良さを探そう」・・・・・・・・・・・・・・・・・2時間

◇「職場見学・職場体験をまとめよう」・・・・・1時間

◇「これからの自分を見つめよう」・・・・・・・・・2時間

◇「リアルマップを制作しよう」・・・・・・・・・・・4時間

◇「リアルマップ発表会」・・・・・・・・・・・・・・・・・1時間

2)継続観察生徒 授業での変容

自分の良さを知り,将来への可能性を広げよう

第3時では,自分自身・友達・家族の人間 関 係力上位 T男

◆将来の夢…広く活躍できるアナウンサー

◆自分から見た自分の長所

人前でアドリブがきく。何に対しても真剣。

3つの視点より出された長所から,自分の良さを見つめる活動を行った。

人間関係力中位のY子には,他者から出された自分の長所を聞き,自分の夢をより具体的に考える様子が見られた。

中位:Y子からの長所

・正義感が強い。

・声がよく通る。

向いていそうな職業

・弁護士,警察関係

・学校の先生

下位:M男からの長所

・気配りがすごい。

・いつも元気。

向いていそうな職業

・芸能人

・テレビ関係の仕事

人間関係力上位のT男には,夢を大事にしつつも,そこから広がる新たな可能性を意識する姿勢がうかがえた。

3)継続観察生徒 単元での変容

職場体験学習やリアルマップの発表会を終えた生徒たちは,自分の夢と今の自分の姿を現実性をもたせて重ねることができた。

Y子は,マップ制作のための取り組みを通して,多くの人とかかわりあい,自分の将来の可能性を広げていく考え方ができるようになった。また,今できることを大切にする姿勢も,より確かなものとなった。