http://live-energy.net/archives/433 より
潜在意識の書き換え方として、多く紹介されているのは アファメーション・質問ワーク・イメージワーク ですね。
これらは、認知へのアプローチになりますので、記憶と大きく関係します。
もっとも簡単な方法は、唱えるだけのアファメーション。逆に、多くの時間やエネルギーを必要とするのが、質問ワークです。
質問ワークは、潜在意識の深部に入り込む作業でもあります。
隠れていたり、気づかなかったりした感情や視点に気づける反面、見ないようにしていた自身の課題とも向き合うため、潜在意識の森をかき分ける段階で、苦しくなることが多々あります。
潜在意識を書き換える方法としては、アファメーションが人気のようです。
今回は、潜在意識の書き換えに関係する「記憶の種類」を説明します。
また、潜在意識を書き換えるため、どの方法を選択すれば高い効果が期待できるのか、そのコツもお届けします。
Point
◆ 記憶の種類とその特徴
◆ 記憶の再生と感情との関係
◆ 効果的な書き換え方法の選び方
記憶の種類について
記憶は主に「感覚記憶」「短期記憶」「長期記憶」に大別できます。その中で、潜在意識の書き換え対象となるのが、長期記憶です。
長期記憶とは、理論上永久保存が可能な記憶貯蔵庫のことで、そのうち、言語化できる記憶は「宣言記憶」、言語化できない記憶は「手続き記憶」とよばれています。
宣言記憶はさらに「意味記憶」と「エピソード記憶」に分かれますが、意味記憶とは「AとはBである」という解釈の記憶であり、エピソード記憶とは「いつ、どこで、何を」など、出来事がストーリーとして保存された記憶のことです。
言語化できるとは、そこに何かしら「意味を与えられる」ということ。意味を与えられるということは、同時に感情を生んでいるということです。
そのため、宣言記憶に属する、これら2つの記憶が、書き換えの中心となるのです。
心の情報処理
一般に、心のはたらきは次のように説かれることが多いように思います。
五感(情報)→ 記憶→ 認知(思考)→ 感情 → 行動 → 結果
五感で外界の情報を取り入れ、過去の記憶(イメージ)と照合して、認知(思考=言語化)する。
すると、認知につながる感情が自動的にわき、行動を促して結果を決める・・・というわけです。
ここで一つ注意があります。
この流れだと、認知(思考)が感情を生むことになりますが、それは記憶の種類によって異なります。
意味記憶であれば解釈(定義)の記憶ですから、意味づけによって感情を生む、この理屈は適用できます。
たとえば、テストの点数が50点だった場合。
本人の記憶に「テストで80点以上とれることが優秀」という意味記憶があれば、50点はそれに満たないため「自分は優秀でない」という認知になります。
すると「悔しい」という感情がわき、猛勉強という行動を駆り立て、次のテストでは80点という結果になるかもしれません。
しかし、エピソード記憶は、その出来事の中に感情が内包されている記憶のため、思考以前、つまり記憶と照合の時点で、そのときの感情が自動的に再生されています。
先と同じテストの例で考えてみましょう。
過去にテストで50点をとったとき、親からひどく叱られたエピソード記憶がある場合は、当時の記憶が無意識下で再現され、そのときと同じ「恐怖」の感情が瞬時に湧きます。
この場合は、認知(思考)の前に、感情が再生されていますね。
ものごとを解釈するのが難しい幼少期の記憶は、ほぼエピソード記憶です。
だから、インナーチャイルドケアは言語よりイメージからのアプローチが有効なのでしょう。
以上を踏まえ、潜在意識の書き換え方法と言われるアファメーション・質問ワーク・イメージワークの順に、どのような記憶の書き換えに効果があるのか、得意分野をご紹介します。
アファメーションの得意分野
アファメーションの効果が出やすいのは、「定義」や「因果の縛り」における書き換えです。
定義とは、言語のもつ意味のことで、因果の縛りとは、「こうあるべき」 「これが正しい」 「普通はこうだ」 という、成長過程ですり込まれた価値観(信念=思い込み)のことです。
たとえば、「努力しなければ成功できない」の場合。
努力する(因) → 成功できる(果)
「お金持ちは汚い」の場合は、2つの捉え方があります。
お金を持つ(因) → 心が汚くなる(果)
心が汚い(因) → お金を持ちたがる(果)
これらはいずれも、後天的に刻んだ信念であるため、アファメーションを繰り返すことで溶かすことができます。
ただし、因果を裏付けてしまう 「体験」 をしていると、エピソード記憶になるため、アファメーションのみでの書き換えは困難 になります。
その場合は、質問のワークやイメージワークを併用して、体験そのものの意味づけも変える必要があるでしょう。
質問ワークの得意分野
質問のワークは、ものごとを 別の角度から見る「視点の拡大」が目的 です。
こちらは、意味記憶と連動したエピソード記憶の解釈まで変えられるため、どちらにも効果があると感じます。
母との関係を修復するために、私が使用したのも質問ワークでした。
「母とは子どもを無条件に愛するもの」という信念(意味記憶) が、もともとあり、そこに「中学以降、私に対する母の態度が変わった」という経験(エピソード記憶) が追加。
それによって、「私は愛されていない」という悲しみと「母を信じられない」という怒りを、記憶に刻む。
この記憶による思い込みが、母との関係をこじらせる要因となりました。
そこへ「母は、私の母という以前に、個人としての存在ではないのか」 と自身に問うたことで、「母にも個人として自由な人生がある」という新しい視点が生まれ、「母は子を無条件に愛するべき」という信念が溶ける。
結果、私が中学に入って以降、母の態度に変化はあったけれど、母には母の心の事情があったと理解でき、母への赦しが生まれる。
このように、エピソード記憶の意味づけまでが変わったのです。
参考:親に期待しない方法は「役割者」から「個人」へシフトすること
イメージワークの得意分野
潜在意識は、イメージ(感覚)の世界です。
言語によるアプローチは、顕在意識から徐々に潜在意識へ浸透させますが、イメージワークは、潜在意識に直接働きかけます。
そのため、記憶そのものを変えたい場合は、イメージワークの方が効果的であると思います。
参考:嫌な過去を忘れる方法【1】視覚情報へのアプローチ
参考:嫌な過去を忘れる方法【2】聴覚情報へのアプローチ
参考:嫌な過去を忘れる方法【3】未完了感情へのアプローチ
ただし、イメージングが苦手な方には、「何も浮かばない」「上手くできているのかわからない」など、かえってストレスになることも考えられます。
そのときは、質問のワークに切り替える方がよいかもしれませんね。
最後に・・・
潜在意識の書き換えと、記憶の再生との関係に考えが及んだのは、アファメーションの効果をなかなか実感できなかったからでした。
記憶の種類に照らし合わせた結果、体験済みの記憶(エピソード記憶)の書き換えに、言語を使った ことが原因だとわかりました。
おそらく潜在意識は「そんなこと言っても無理だよ・・・」と反発したのでしょう。
アファメーション(言語)は理屈です。
けれど、強い感情を含むエピソード記憶に、理屈など通用しないのですね。なぜなら、人間は「理性」より「感情」優位だからです。
感情を和らげるには、イメージワークを活用するのが最も効果がある と思います。質問ワークも「見方」を変える方法ですので、やはりイメージへのアプローチと重なりますよね。
理屈はアファメーション、体験は質問ワークやイメージワーク。
そのように捉え、書き換えたい記憶の内容に応じて方法を使い分けてみて下さいね。
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