名曲で祈る――ある信徒による祈り(実例)

http://sadhana.jp/inori/05.html  より

窓を開けて、初夏の日差しと風がそっと入ってきている部屋で、コラール「主よ、人の望みの喜びよ」(J.S.バッハ:”カンタータ第147番 BWV147”より)に耳を傾けてみます。

 どこからか、優しい囁きが聞こえてきます。

「私は、あなたが悩んでいるときも、苦しんでいるときも、病気のときも、いつも、いつも、あなたの側にいます」。

 音楽を通して聞こえてくる声は、いつも人と共に歩んでおられる方からのようです。

その方に話かけてみましょう。「あなたは、どなたですか?」と。きっと答えが聞こえてきます。「あなたが寝ていても起きていても、いつも私はあなたと共にいる」と。

 四旬節にラジオを聴いていると、エレミヤ哀歌を謡ったフランソワ・クープラン「聖水曜日のための3つのルソン・ド・テネブル」が聞こえてきました。各ルソンの最後に「ああ、エルサレム、ああ、エルサレム」と、荒廃したエルサレムへの嘆きが謡われます。

 イエスは、ベタニヤからエルサレムへの道を通られて御受難に向かわれています。丘の上でエルサレムの神殿が光り輝いて見えました。イエスは、その神殿と街を眺められて、「ああ、エルサレム、エルサレム‥‥」と涙を流されました(ルカ13:34、19:41)。ゴルゴダの丘に引かれて行かれるとき、「エルサレムの娘達よ、私のために泣くな。むしろあなた方自身のために、また自分の子供達のために泣きなさい」(ルカ23:28)と回心を告げられました。

 復活祭では、フランソワ・クープラン「復活祭のためのモテット:勝利なり,よみがえりたまいしキリストに」が謡われます。「‥‥アレルヤ、アレルヤ!」の歌声に、「主、まことによみがえりたまえり!」と、私の中で声が聞こえます。 

さあ、歩み出しましょう、新たな出会いに向かって!