超常現象や奇跡はなぜ起きる?

湯川秀樹の研究を引き継いだ異能の物理学者・保江邦夫に取材! 超常現象や奇跡はなぜ起きる?http://tocana.jp/2015/12/post_8183_entry.html  より

保江邦夫教授

 湯川秀樹といえば、日本人初のノーベル賞を受賞した人物としてほとんどの日本人がその名を知っているだろう。だが湯川博士が最晩年に取り組んでいたある研究テーマについてはほとんど知られていない。湯川博士は1935年(昭和10年)、「素粒子の相互作用について」を発表し、原子核内の陽子や中性子を結合する核力を媒介する粒子として中間子を理論的に予言したことによってノーベル物理学賞を受賞した。しかしその後も中間子理論から非局所場理論、さらに素領域仮説へと湯川博士はあくなき探究を進めていたのである。

■保江邦夫教授の研究とは?

 湯川博士を輩出した京都大学の大学院において、その素領域仮説を専攻し、さらに同理論を形而上学まで適応することによって、従来の物理学では否定されてきた生命活動の背後にあってその本質を左右するような働きを持つ場(空間)の存在を明らかにした人物がいる。理論物理学者の保江邦夫教授(理学博士)がその人だ。今回は保江氏に直接取材した内容も含めて、新著『ついに、愛の宇宙方程式が解けました』に書かれた保江氏のこれまでの経歴と素領域理論について迫る。

■自らの身に起きた奇跡を解明するために

『ついに、愛の宇宙方程式が解けました』(徳間書店)

 保江氏は京大並びに名古屋大学大学院で理論物理学を学び、その後ジュネーブ大学理論物理学科講師、東芝総合研究所研究員を経て、現在はノートルダム清心女子大学の教授を務めている。専門は数理物理学だが身体運動科学や脳科学などにも精通し、物理学の基本方程式とされているシュレーディンガー方程式を導くより深いレベルの「ヤスエ方程式」(『量子力学と最適制御理論』を参照)を発見した世界的業績を持つ。一方で合気道をこよなく愛し、開祖植芝盛平が祝詞を奏上していた点に着目しつつ神降ろしの技としての愛魂(あいき)を実践・指導している。

 異能の物理学者が歩んできたこれまでの人生は“奇跡”の連続だったようで、北ドイツに向かうアウトバーンで突然浮かんだ宇宙の原理をあらわす数式(ヤスエ方程式)に始まり、52歳の時には末期の大腸癌手術の際、臨死体験をしている。その際マリア様への祈りによって無事生還し、術後はルルドの泉の水を飲んで全快、それ以降もさらなる奇跡が続く。保江氏の最新刊『ついに、愛の宇宙方程式が解けました』(徳間書店)では、その数奇な半生と共にさまざまな超常現象や奇跡がなぜ起きるのかについての解説がなされているのだが、そのキーワードとなるのがかつて氏が取り組んでいた「素領域理論」に他ならない。

量子論よりも最先端!? 物質の“容れもの”とは?

 そもそもこの聞き慣れない素領域とはいったい何なのか? 従来の物理学では陽子、中性子、電子といった物質の最小単位を追い求め、現在は素粒子よりも小さなクォークという粒子を研究対象にしていることは一般によく知られている。それに対して素領域仮説では、物質ではなく、物質の容れものである空間を研究対象としており、空間の最小領域のことを素領域と呼ぶ。

 最初に空間の構造に着目したのがアインシュタインであり、継いで取り組んだのが湯川博士で、それを継承した保江氏はこの極めて専門性の高い抽象概念について次のように教えてくれた。

「数学者の岡潔先生は『空間には情とか愛のような粒々があって、その中に物質が詰まっている』というような主旨のことを述べられています。つまり、粒のような領域と領域の間には隙間があって、そこに“神”と呼んでもいい完全調和がある。すべてがひとつにつながっている空間、これが宇宙の本来の姿で、素粒子はその粒々の間をエネルギーとして飛び移っている。わかりやすいイメージでいうと、ジョッキに注がれたビールの泡、それが空間の正体です」と。

 つまり完全調和からあぶくのように生み出されたのが調和の崩れた素領域であり、その泡は0次元の泡、1次元の泡、2次元、3次元、4次元…など多様な構造を持ち、その泡(素領域)の一つが私たちのいる3次元空間の素領域となる。そして、素領域のエネルギーが素粒子であり、素粒子が集まって原子になり、分子になり、生き物をつくっているというわけだ。保江氏によると、最も発生頻度の確率が高いのが3次元で、それは数学的に証明できるという。

(後編に続く/明日15時配信予定 文=小笠原英晃)

後編

前編で紹介した▼空間の解説

「数学者の岡潔先生は『空間には情とか愛のような粒々があって、その中に物質が詰まっている』というような主旨のことを述べられています。つまり、粒のような領域と領域の間には隙間があって、そこに“神”と呼んでもいい完全調和がある。すべてがひとつにつながっている空間、これが宇宙の本来の姿で、素粒子はその粒々の間をエネルギーとして飛び移っている。わかりやすいイメージでいうと、ジョッキに注がれたビールの泡、それが空間の正体です」

空間の最小領域を規定する素領域理論は「場の量子論」とは何が違うのか? 前編に続いて世界で唯一湯川秀樹博士の研究を引き継いだ保江邦夫教授にわかりやすく解説してもらった。

 場の量子論ではゼロ点エネルギーの総和が計算上無限大になるという発散の問題をくりこみ理論によって回避しているものの、点状の粒子という従来の物理学上の矛盾は内包している。それに対して素領域理論では、粒子は最小領域(泡)の中で惹起されると捉えるのでその矛盾は生じず、また個々の粒子に対応する場を無限に想定する必要もなく、それぞれの泡の固有振動数の違い(鋳型)よって異なる粒子が惹起されると捉える。故にミクロからマクロのスケールにまで適応される統一場理論であり、超弦理論よりもはるかに時代を先駆けていたのが素領域理論なのである。

では、素領域というビールの泡の外と内はどのような構造になっているのか? 保江氏の解説はこうだ。

「泡の内側は素粒子で構成される物質の世界であるのに対して、外側は非物質で、ライプニッツのいうモナド(単一)のような絶対無限の世界。そこは完全調和なので何も起こらない。あるとき完全調和に崩れ(ゆらぎ)が起きたことによって泡が発生し、それぞれの泡の鋳型に応じた素粒子・物質が生まれるのです。そして人間が肉体の死を迎えると非物質の魂となって元の素領域(泡の外=霊界)に溶けていくんです」

画像は、Thinkstockより

■臨死体験エピソードが素領域理論と合致?

 実はこのイメージとまったく同じ体験をしている人物がいる。三度の臨死体験を持つ彗星捜索家の木内鶴彦氏で、木内氏は臨死状態で見た宇宙開闢の様子を著書の中で次のように記述している。

<「五次元の世界ではすべてを『膨大な意識体』が満たしており、バランスがとれた完全な世界をつくっています」「そこにひずみが生まれると、空間が動きます」「その動きは回転する渦のように見えました」>

 保江氏によるとこの現象は素領域理論と合致するという。木内氏が見た渦が私たちの宇宙だとすると、物質はその中だけに存在し、渦の外は素領域と素領域をつないでいる完全調和の神の領域であり、それを保江氏は「愛」と仮定し、「愛や祈りには、時空を超え、奇跡を起こすほどのとてつもない力がある」と断言する。

 これは、神が自身を認識するために万物や人間を創造したとされる考え方に近い。つまり、真っ白な壁に1点のシミが生じることによってその壁が白と認識できるのと同じように、一旦調和が崩れることによって完全調和の在り様が認識され、認識されることで再び調和状態へと導かれる――保江氏はその調和を回復するのが人間の役割ではないかと考えているのだ。

■正しい物理学の知識をスピリチュアル探究者に学んでほしい

 だとしたら、本来私たちの肉体も完全調和(神)の意図でできており、病因などの異物を排除するには愛の作用で素領域の機能を復活させればいいということになる。

『ついに、愛の宇宙方程式が解けました』には、保江氏のさまざまな不思議な体験や能力が書かれている。その中には、門外不出の伯家神道の秘儀取得に加えて、スペイン人の神父からはキリスト由来の活人術という不思議な力を授かったり、ロシアのUFO研究者からはUFO操縦の秘訣を教わったことなど、一般的とはいえないエピソードも多々ある。また、保江氏が末期癌から奇跡的治癒を遂げたことなども書かれているが、祈りによって神への愛を示したことで、自身の大腸本来の素領域機能が復元した結果と考えればこれも説明がつく。

 保江氏は『ついに、愛の宇宙方程式が解けました』を上梓した理由について、

「スピリチュアル系の本を出している人たちがあまりにも物理学の知識が乏しく、誤った引用をしている。だから予め僕の体験を知ってもらった上で、スピリチュアルなことに関心のある人に物理学的なこともきちんと学んでもらえる本を出したかった」と語る。

 従来の常識を根底からくつがえし、軽薄な精神論をも排す素領域理論、“魂の世界”を科学的な視点で捉えた本書は、はたして読者諸氏の空間にどのような作用を及ぼすか?――まさにそれはあなたの愛と情に委ねられているに違いない。

(小笠原英晃)

■保江邦夫

岡山市生まれ。京都大学大学院、名古屋大学大学院で理論物理を学んだ後、ジュネーブ大学物理学科講師、東芝総合研究所研究員を経て、82年からノートルダム清心女子大学教授。理学博士。

コズミックホリステック医療・教育企画