8週間の瞑想で脳が“生まれ変わる”ことが判明!

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8週間の瞑想で脳が“生まれ変わる”ことが判明! 海馬の劇的変化で記憶や自己認識も向上、ハーバードとマックス・プランクが断言!

身長の伸びは18歳前後で止まってしまうが、筋肉は歳を取ってからでもつけることができるのは周知の通り。そして脳も齢を重ねてからでもたくましく鍛えられることが最近の研究で指摘されている。その鍵を握るのが瞑想だ。

■8週間の瞑想で脳の灰白質が増す

 ハーバード・メディカルスクールの研究者をはじめとする合同研究チームが2011年に発表した研究では、8週間の継続的な瞑想で脳の構造が目に見えて変化したことが報告されている。瞑想プログラム(マインドフルネス)の参加者は平均27分間の瞑想を1日1回、週に6日行い、8週間が経過した後の脳の状態を研究チームが精密に検査した。

 8週間の瞑想を体験した脳は、プログラムの実行前よりも海馬(hippocampus)の部分の灰白質(gray matter)密度が高まっていることがわかった。脳のこの部分は記憶や自己意識、同情心、考察などの活動に関係しているといわれている。

 参加者のうち、瞑想を始めてからストレスが低減したと報告している者の脳では、扁桃体の部分の灰白質密度の減少が見られた。扁桃体は不安とストレスの中心的役割を担っているといわれ、この部分の灰白質密度が低くなっているということは、不安やストレスが抑制されていることを意味する。

「Ancient Code」の記事より

 その一方で、高等な類人猿特有の共感や自己認識的な感情に関わりがあるとされる島皮質(insula)には変化は見られなかったということだ。この部分の変化を引き起こすにはさらに長い瞑想のキャリアが必要とされると考えられるということである。

「脳の変幻自在な可塑性(plasticity)を目の当たりにするのは素晴らしいことです。瞑想の実践によって、脳をポジティブに変化させ健康と生活の質を高めることができます。異なる参加者による他の研究では、瞑想がさまざまな症状を改善できることが示されており、現在、この変化を容易にする脳の基礎的メカニズムを調べています」と研究報告は結ばれている。瞑想はまさに“脳の筋トレ”というべきものなのかもしれない。習慣づけることでさまざまな好影響がもたらされるようだ。

イメージ画像:「Thinkstock」より

■3カ月の瞑想プログラムで脳神経接続が変化

 最新の研究でも、瞑想によって脳の構造が変化することが指摘されている。瞑想による“脳トレ”によって、共感能力、感謝の気持ち、集中の持続時間が向上し、ストレスを低減させることが報告されているのだ。

 ドイツのマックス・プランク研究所の研究チームは、3つの瞑想トレーニングプログラムを1日30分で週6回、3カ月以上実践した参加者の脳活動を詳しく調べた。

 1つ目のプログラムは集中力と考察を高めるトレーニングで、プログラム終了後には集中力と考察に関係している大脳皮質に変化が見られた。2つ目は同情心や感謝の気持ち、共感能力などのソーシャルな能力を高めるプログラムで、3つ目は自己認識などの社会的認知活動に焦点をあてたプログラムであり、いずれもぞれぞれの能力をつかさどる脳の部分が変化したということである。つまり3カ月の瞑想プログラムで実際に脳が変化したのだ。

「Ancient Code」の記事より

「我々の研究の結果は、短時間の日常訓練によって成人の脳の可塑性が発揮され、社会的知性を向上させるという素晴らしい証拠を提供するものになります」と研究を主導したタニア・シンガー氏は語る。

 さらにソーシャルスキルを高めるための瞑想プログラムは、別名“ストレスホルモン”と呼ばれるコルチゾールの分泌を最大で51%抑制し、ストレスを低減していることも確認されている。瞑想訓練を受けている人々は、人間関係のクオリティと協調性を向上させることができる一方で、脳神経接続の構造を変えることができ、ストレスレベルが減少する効果が指摘されているのだ。

「メンタルトレーニング技術をマスターできれば、私たちは心身の健康の向上に特化した方法で効果を享受することができます」とシンガー氏は結論づけている。

 瞑想プログラムが脳の接続を緊密にして各種の能力を高め、さらにソーシャルスキルを向上させることが科学的に明らかになったといえる。そこで問題になってくるのは、具体的にどのような瞑想プログラムを行ったらよいのかということになるが、定評のある方法であればそれなりの効果は見込めるだろう。なによりもうれしいのは成人になってからでも、筋肉と同じように脳も鍛えられるという点だ。瞑想プログラムを習慣化してみても得こそすれ損することはなさそうだ。

(文=仲田しんじ)