奇跡の脳

Jill Bolte Taylor's stroke of insight ジル・ボルティー・テーラーは脳学者であり、自ら脳卒中の体験を「奇跡の脳」という本にしたためた女性です。

 彼女は、左脳に脳卒中をおこした経験を持ち、その発症のさなか、自分の脳を客観的に観察し、何がおこったかを実に詳細に語っています。

 「左脳と右脳は違います。右脳は今を生きる脳です。イメージが中心で、体験から学ぶ脳です。情報はエネルギーとなって流れ込み、こう見える、こう感じる、こう臭う・・・そうして、周りとエネルギーでつながる。スピリチュアルな脳です」

 「左脳はそれに対して直線的です。過去と未来を考えます。膨大な情報から、詳細な情報を拾います。言語脳もこちらです。内面と外の世界をつなげます。何を言えばいいか、いつすればいいか・・知性をつかさどります。それによって、自分という人間が、周りのエネルギーから独立し、個性となるのです」

 そして、彼女は、自分の左脳の血管がやられた、危機的な状態の時に、不思議な体験をしました。身体が、すーっと上にあがって、まるで、自分を上から俯瞰(ふかん)しているような感覚になったのです。

 どこまでが、自分の身体かわからない。感じるのはまわりのエネルギーだけ。左脳の声はしなくなりました。

 彼女は、周りの全エネルギーと一体化して、心が解放され、ハッピーな気分になりました。このまま、そうやっていたい気分でした。

 しかし、まだ作用を断片的に残している左脳が、彼女によびかけました。

「だめだ、早く助けを呼ばなくちゃ。脳卒中だよ」

 そして、左脳を叱咤激励して、40分くらい時間をかけて、なんとか職場に電話をしたものの、相手の言う声もまったく理解できず、自分が訴えるヘルプの言葉も、相手には、ただのうめきとしか聞こえない。

 でも奇跡的に助かった彼女は、目覚めたときに、病室で見聞きし、体感するる世界が、右脳だけの彼女にとって、すさまじく騒音に満ちた不快な世界に感じました。人の声も騒音、機械音も騒音。そんな感じだったのでしょうか。

 彼女は、8年かけて、回復しました。そして、人々に訴えます。

 人には右脳と左脳、2つの世界があります。右脳の世界をもっと生きれば、人々は互いにやさしくなれ、世界は幸福になります。右脳は、宇宙と一体化できる脳です。私は、時々、この幸福な世界に、好きなときに入って幸福になれればいいのに、と思うようになりました。 

 

ある朝、彼女は重度の脳梗塞に襲われます。脳の機能が失われて行く中、彼女が体験しその中から学んだものとは?

10代の脳における神経解剖学的変化|ジル・ボルト・テイラー

私たちの脳は細胞から構成されており、私たちのもつ能力は全てそれらの細胞によるものです。10代の人達の感じ方や考え方、行動に関して、この時期に脳では何が起きているのでしょうか?このプレゼンテーションでは10代の間に生じる脳の神経学的変化に注目します。このビデオはTEDカンファレンスとは独立して運営されるTEDxイベントにおいて収録されたものです。

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