http://www.voice-inc.co.jp/content/v_work/400 より
エリクソン催眠
=20世紀最大の天才セラピスト、ミルトン・エリクソンによる洗練されたセラピー。NLPの形成にも大きな影響を与え、現在でもセラピーのみならずコミュケーションや組織マネジメントなど多分野において貢献。
★信じられないほど状況が好転するセラピー★
エリクソンが行うセラピーの目覚しい成果を聞きつけて、彼のもとを訪れたセラピスト達は、目の前であまりに劇的な変化が起こるため「クライアントは芝居をしている!」と本気で怒ったほどパワフルで画期的なセラピーでした。
★日本人にフィットする催眠スタイル★
日本でメジャーな「~しなさい」、「あなたはだんだん○○になります」というスタイルの古典催眠とは大きく異なり、指示的なコミュニケーションを一切せず、許容的で間接的な言い回しによって変化を起こします。そのためクライアントからの抵抗が非常に少ないのが特徴です。元来、日本人は間接的な言い回しを日常のコミュニケーションで多用し自然と身に付けているので、私たちに相性の良い催眠スタイルといえます。
★追求していくと芸術になります★
エリクソン催眠で命となるのは「マインドを方向付けるための微細な言葉づかい=言語パターン」と「クライアントに変化をもたらす例え話=メタファー」といえます。これらの技術をマスターしていくと、普通に会話する中で相手をトランスに導くことができるようになります。相手は自分がトランス誘導されていることすら気付きません。このレベルまで到達するとセラピーの域を超え“言葉の芸術”と呼べる世界に足を踏み入れることになります。「ミルトン・エリクソンは催眠家でもあり詩人でもある」と言われた所以はここにあります。
★コミュニケーションやビジネスにも応用可能★
「微細なことばの使い方」や「効果的な例え話の作り方」を学ぶことで、セラピーの場のみならず日常のコミュニケーションに大きな違いが生まれます。近年では組織運営のために学ぶビジネスマンや、身近な人とのコミュニケーション改善のために学ぶ方も増えています。
★グッドウィル(良い意図)を持つ方だけに学んでいただきたい方法論★
極端な言い方をすると、エリクソン催眠を学ぶことで相手を知らないうちに自分の意図する方向に導くことができるようなります。ここで気をつけなくてはならないのはグッドウィル(良い意図)を持って学び、グッドウィル(良い意図)を持って使う、ということです。これはいくら強調しても、しすぎるということはありません。エリクソン催眠はそれほど強力な影響力を持つからです。
★エリクソン催眠の具体的なアプローチ例を紹介★
利用アプローチ
ここで、エリクソン催眠の特徴がよく理解できる例をご紹介します。ひとつ目は「クライアントの抵抗を最小限に抑えるアプローチ」の例で“利用アプローチ”と呼ばれるものです。
昔、ミルトン・エリクソンのもとに、青年のクライアントが訪れました。彼は「問題を解決したいが、だまって座ってられない。あなたの言うことも聞くつもりはない。」と言って、部屋中をうろうろ歩きまわりました。そこでエリクソンは、「座ってください」という指示的なことは言いません。彼の全てに承認を出し、その“歩き回っている”ということを利用するアプローチをとります。「では、歩き回っていていただいてよろしいでしょうか。」と青年に話しかけるところからスタートし、その歩き方に対し、言葉をかけていきます。
「では、次は右に曲がっていただくことはできますか?」
「その次、左は曲がれますか?」
「はい、次は真ん中まで来ていただけますか?」
「次は~、次は~、次は~…」
これを延々繰り返すのです。
クライアントは椅子に座らせられたり、無理に悩みを話すこと以外、エリクソンの言うことを受け入れ始めます。さらに言葉のトーンを変えたり、話しかける前にひと呼吸おくことで、青年はエリクソンの指示を待つようになったのです。何も話かけられないと、青年は全く動かなくなってしまいました。(この時点で青年はトランスに入りつつあると言えます)
このタイミングでエリクソンは「では、椅子の方に歩いてみましょう」「2つの椅子のうち、座るのに嫌なカンジの少ない椅子を選びましょう」と誘導します。そうすると、青年は自分で椅子を選び座るのです。そして、問題解決のためのセッションが開始しました。
この例では、「~しなさい」ということをエリクソンは全く言っていません。青年の“歩きまわらずにはいられない”という反応を誘導に利用しただけです。ですから、青年も始めは抵抗していたのに、結局、エリクソンの指示を待つようになります。クライアントの示す反応は全てOKで、それを全部利用するという、非常に柔軟な姿勢と言えます。
ここでもし「あなたは状況を変えたいのではないですか?座ってください、それでなきゃ催眠誘導できませんよ」と言っていたらセラピーの結果は大きく変わっていたでしょう。とにかく、一見問題と思えるクライアントの行動すらセラピーの道具にしてしまう、これが利用アプローチです。
メタファー=例え話、比喩
エリクソンはクライアントに対し、自分の作った物語や例え話を頻繁に語りました。クライアントはその話を聞いているだけで不思議と問題が解決するのです。彼の作ったストーリーには様々な暗示が埋め込まれていたのです。
おねしょに悩む青年にメタファーでアプローチした例をご紹介します。
エリクソンのもとに、おねしょ(夜尿症)に悩む少年がやってきました。この時エリクソンは野球の話をしました。エリクソンはセッションを通して「おねしょ」という言葉自体、一度も使いませんでした。
おねしょを体の現象でとりあげてみると、「膀胱あたりの筋肉のコントロールができていない」状況と言えます。ということは、その部分の筋肉をコントロールできるようになることが治療のゴールになる、とエリクソンは考えました。そこでエリクソンは野球の例え話の中で、少年が筋肉をキチンとコントロールできている感覚を呼び起こすことにしたのです。例えば、
「ボールを投げてごらん。ボールを握るとき、ちゃんと力が入っているよね」
「グローブでボールをキャッチするとき、手はどうなってる?」
「思ったところにボールを投げれるときは、筋肉のバランスが取れてるってことだよ」
という具合です。
さらに、アーチェリーの話や、食事のときの話をして、筋肉をキチンとコントロールできている感覚を繰り返し体験させました。それだけで少年を家に返しました。その後、少年は一度もおねしょをしなくなったのです。
「自分で自分の筋肉をコントロールできる」という暗示が埋め込まれた 例え話の中で、青年に必要な感覚を何度も体験させることで問題を解決したのです。そして、セッションを通して一度もおねしょという言葉を使いませんでした。少年はなぜ自分のおねしょが治ったのか分からないくらい間接的なものの言い方で劇的な変化を起こしたのです。
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