手を洗いすぎてはいけない

フェースブック 布施 純郎さん投稿記事

手洗いは両手を軽くこすりながら、流水で10秒間流すだけで良いのです。手洗いとはこれで十分なのです。

人間の皮膚には、表皮ブドウ球菌や黄色ブドウ球菌をはじめとする約10種類以上の「皮膚常在菌」という細菌がいて、私たちの皮膚を守ってくれています。

また、石けんを使うと、一回の手洗いで、皮膚常在菌の約90パーセントが洗い流されると報告されています。ただし、1割ほどの常在菌が残っていれば、彼らが再び増殖し、12時間後にはもとの状態に戻ることもわかっています。1日1回のシャワーで充分です。

それから、皮膚を洗いすぎると皮脂膜がはがれ落ちます。すると、角質層にすき間が生じ、皮膚を組織している細胞がバラバラになっていきます。こうなカサカサしてきます。この状態が乾燥肌です。

「冬の時期は乾燥する」「年齢による乾燥肌」などと、コマーシャルでは肌の乾燥を、季節や加齢のせいにしているからでしょう。しかし、肌が乾燥する原因の大半は、洗いすぎです。メーカーが、保湿剤や化粧水を売りたいのです。

私たちはコマーシャルに惑わされずに賢くならないといけません。

"手を洗いすぎる"と風邪を引きやすくなる  http://president.jp/articles/-/24208  より

「流水で10秒間」だけでいい

医師・医学博士 藤田 紘一郎

なぜきちんと手を洗っているのに、風邪をひいてしまうのか。その理由が「熱心に手を洗っていたから」とすれば、どう思われるでしょうか。75歳の医師・藤田紘一郎さんは、ほとんど石けんを使わず、水だけで手を洗います。でも手はスベスベで、風邪もめったにひきません。その理由とは――。(第1回)

※本稿は、『手を洗いすぎてはいけない』(光文社新書)の第1章「手を洗いすぎる人は、なぜ体が弱いのか?」を再編集したものです。

手洗いで風邪は予防できるか

春から夏は食中毒予防、秋から冬は風邪予防。

今や日本は、一年中感染症の予防に熱心な国になりました。そうしなければ命を落としかねないほど、私たちの国は不潔で危険な環境にあるのでしょうか。

いいえ、そうではありません。細菌やウイルス、寄生虫など目に見えないほど小さな微生物の存在におびえて、清潔に熱心になりすぎているのが、現代の日本です。

そのことは、手洗いのしかたを見るとよくわかります。「感染症予防の基本は手洗い」といわれ、手洗いの方法はたびたび熱心に指導されます。幼稚園や保育園、学校でも指導されますし、テレビや雑誌、新聞でもとり上げるほどです。

では、推奨される手洗いとは、どのようなものなのでしょうか。よくいわれる「正しい手洗い」をまとめてみました。

・時計や指輪など、手についているものを外す

・流水で手を洗う

・洗浄剤を手にとり、しっかり泡立てる

・手のひら、指の腹面をこすり合わせてよく洗う

・手の甲、指の背を洗う

・指の間(側面)、股(付け根)を洗う

・親指、拇指球(親指の付け根のふくらみ)を、反対の手でねじるようにして洗う

・指先、爪の間は、反対の手のひらの上でこするように洗う

・手首を、反対の手でねじるようにして洗う

・洗浄剤を十分な流水でよく洗い流す

・手を拭き、乾燥させる(タオル等の共用はしないこと)

・アルコールによる消毒(爪下、爪周辺に直接かけた後、手指全体によく擦り込む)

とても大変な工程です。こんなに細部にわたってていねいに洗わなければ、感染症の予防はできないのでしょうか。しかも、「2回洗いで菌やウイルスを洗い流しましょう」といわれることまであります。そうしてがんばって洗い、最後にアルコール消毒をしても、「アルコールは、ノロウイルスの不活化にはあまり効果がないといわれています」と、消毒剤には注意書きが示されています。

藤田紘一郎『手を洗いすぎてはいけない』(光文社新書)

私も試しに3日間だけ、1日3度の食事前と帰宅時の計4回、この手洗いを実践してみました。すると、どんなことが起こってきたでしょうか。

手の皮膚がカサつき、親指の爪の付け根が裂けてきました。

詳しいことは順々にお話ししますが、手を洗いすぎると皮膚の潤いが失われ、カサついてきます。これは自然の現象です。乾燥肌は「老化現象の一つ」とよくいわれますが、そんなことはありません。ふだん石けんを使わない私の手は、75歳ですがスベスベで、ガサガサなどしていなかったのです。乾燥肌の最大の原因は、「洗いすぎ」です。

そして、次にみなさんが知らない大事なことをお話しします。

洗いすぎると、人の皮膚はどんどんと「キタナイ」状態になり、病原性の弱い菌やウイルスにも感染してしまうほど、ヤワな体になっていくのです。

「流水で10秒間」だけでいい

では、私が推奨する「免疫力を強化するための手洗い」を紹介しましょう。

・両手を軽くこすりながら、流水で10秒間流す

以上です。驚きましたか。

手洗いとはこれで十分なのです。

これまで、薬用石けんなどを使って過度の手洗いをしてきた人には、私の推奨する手洗いを疑わしく感じるでしょう。もしかしたら、「流水で10秒間方式」に切り替えたばかりのときには、少々の風邪や下痢を起こすこともあるかもしれません。しかし、それはこの手洗いのせいではありません。それまでの過度の手洗いによって、あなたの免疫力が弱まり、十分に育っていないことの現れです。

ですから、多少の下痢など恐れずに「流水で10秒間方式」を続けてください。まもなく風邪を引きにくい体になっていくことを実感できるはずです。

内容紹介

なぜきちんと手洗い、うがいをしてるのに、

風邪をひいてばかりなのか?

常識を疑え! 目からウロコの健康法

◎超清潔志向チェックリスト◎

あなたも超清潔志向に陥っていませんか?

□ トイレのたびに、石鹸でゴシゴシ手を洗う

□ 冬場のうがい薬は欠かせない

□ ウォシュレットがないと不安になる

□ 子どもには砂場で遊ばせたくない

□ マスクをつけて風邪を予防している

読んで実践すれば、免疫力がアップする画期的な一冊!

◎目次◎

第一章 手を洗いすぎる人は、なぜ体が弱いのか?

第二章 清潔志向がアレルギーを増やしている

第三章 異常すぎる日本の清潔志向

第四章 マスク大好き日本人の愚

第五章 きれい好きをやめれば、免疫力が強くなる

第六章 手はゴシゴシ洗ってはいけない

◎著者プロフィール◎

藤田紘一郎(ふじたこういちろう)

医師・医学博士。一九三九年、旧満州生まれ。東京医科歯科大学卒。東京大学医学系大学院修了。金沢医科大学教授、長崎大学教授を、東京医科歯科大学大学院教授を歴任し、現在は同大学名誉教授。専門は、寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。日本寄生虫学会賞、講談社出版文化賞・科学出版賞、日本文化振興会・社会文化功労賞および国際文化栄誉賞など受賞多数。著書に、『こころの免疫学』(新潮選書)、『アレルギーの9割は腸で治る!』『50歳からは炭水化物をやめなさい』(ともに、だいわ文庫)、『脳はバカ、腸はかしこい』(三五館)などがある。