月と俳句のこと

https://90351113.at.webry.info/201902/article_3.html  【月と俳句のこと】 より

古来、多くの俳人が夥しい数の俳句を詠んでいますが、その中でも月ほど多く取り上げられた句材はないのではないでしょうか。

それだけに句会で、「月」という兼題を頂くとつい身構えてしまいます。

月に関しては、過去に有名な俳人によって沢山、沢山、素晴らしい名句が詠まれているため、つまらない俳句を作ると余計に目立つと思うからでしょうか。

しかし、いつかは、この「月」に挑戦して、自分なりに納得出来る句を作りたいという気持ちだけはあります。

その為には、まず月を知らなくては・・・。

という事で、月について少し調べてみました。

■月についてのまとめ■

先ず。

・月は太陽と同じく東から出て、西に沈む。

・月の出る時刻は、日々約50分ほど遅くなる。

・月の上る高さは、太陽と逆に冬は高く夏は低い。

月は自転しながら地球の周りを公転しているのだが、自転と公転の周期が同じであるため、地球から見ると月は常に同じ面しか見えない。

月の見かけの形は、新月(朔)→上弦→満月→下弦→新月と日々変化していく。

月の見かけの形が変わる理由は、太陽・地球・月の位置関係が変わる為である。

太陽に向かって月が地球の前にあれば新月(朔)、後にあれば満月、横にあれば半月となる。

新月から次の新月までの周期は約29.5日、より正確には29.530589日である。

1日とは。

月の1日は月の出から、次の月の出までを言う。

1ケ月とは。

新月から次の新月までの約29.5日が月の1ヵ月となる。

1年とは。

月の満ち欠けの周期(約29.5日)を1ケ月として、12ケ月とすると年354日前後で、太陽年に比べ約11日ほど短い。

では、1週間とは。

 1ケ月よりも小さな単位として設定された期間。

月の満ち欠けは、①新月から上弦、②上弦から満月、③満月から下弦、④下弦から新月と移っていくので、29.5を4で割ると、だいたい7日となる。

従って人間の生活リズムの中に7日を1週間として設定したものと思われる。

上弦の月  上弦の月は満月に向かう時の半月を言う。

下弦の月  下弦の月は満月が欠けてきて新月に向かう時の半月を言う。

上弦の月と下弦の月の見分け方

暦では、月の前半を「上」、半ばを「中」、後半を「下」と呼ぶが、上に当たる旧暦7日頃に上がる半月を「上弦の月」、下に当たる旧暦21日頃に上がる半月を「下弦の月」と呼ぶ。

注意!:上弦の月と下弦の月の見分け方は、月を弓に見立てたときに弦が上を向いているか下を向いているかではない。

弓に見立てたときの弦が上を向いているか,下を向いているかで両者を分けられるのは、月が西に沈む時間帯だけである。

■月にまつわる季語■

朧月(春)・・ぼんやりと朧にかすんでいる春の月

   くもりたる古鏡の如し朧月  高浜虚子

盆の月(秋)・・陰暦7月15日、盂蘭盆の夜の月。秋に入って、初めての満月であり、かくべつの感慨を持って仰がれる。

   抱き癖をつけて帰しぬ盆の月  林民子

   うす雲のただなかにして盆の月  長谷川かな女

月白(つきしろ:秋)・・月の出ようとするとき、東の空が白んで明るく見えること

   月白や草書ばかりの質台帳  水野リヱ(帆船:200410)

初月(はつづき:秋)・・陰暦8月初めの頃の月で、中秋の名月を待つ心から、この月に限っていう。

   もしやとてあふぐ二日の初月夜  素堂 

三日月(秋)・・陰暦8月3日の月。夕暮西の空にごく細くかかる。

   三ケ月や膝へ影さす舟の中  太祇

待宵(まつよい:秋)・・陰暦8月14日の夜である。明日の名月を待つ宵のことであり、またその夜の月のこともいう。

   待宵の今日となりつつ夕支度  星野立子

良夜(秋)・・月光くまなく明るい夜の意味であるが、俳句では十五夜、十三夜の名月のことをいう。

   生涯にかかる良夜の幾たびか  福田蓼汀

十五夜(=名月:秋)・・陰暦8月15日の中秋の名月である。1年中で、この夜の月が最も澄んで美しい。

   名月や池をめぐりて夜もすがら  芭蕉

無月(秋)・・十五夜に雨、雲のため名月を見ることができないこと。

   いくたびも無月の庭に出でにけり  富安風生

雨月(秋)・・雨のために、あいにく名月がみられないのをいう。

   寝るまで明るかりしが月の雨  虚子

十六夜(いざよひ:秋)・・陰暦8月16日の夜、またその夜の月。即ち名月の翌夜の月。十五夜よりやや遅れて月が出る。

   十六夜のきのふともなく照しけり  阿波野青畝

立待月(たちまちづき:秋)

陰暦8月17日の夜。月の出は満月を過ぎれば遅くなる。縁や庭に立って待っているうちに出て来る。

   宵過ぎて立待の暈ひろがりぬ  石田波郷

居待月(いまちづき:秋)・・陰暦8月18日の夜。立待月よりも出が更に遅いので、座敷や縁で座って待っていれば出て来るの意。

   居待月正座久しく忘れゐし  福永耕二

臥待月(ふしまちづき:秋)・・陰暦8月19日の夜の月。居待月より更に遅く、寝ながら月を待つという意。寝待月の傍題あり。

   寝待なる月がいづれば寝まりけり  阿波野青畝

更待月(ふけまちづき:秋)・・陰暦8月20日の夜の月。20日以降は10時を過ぎないと上らない。それまでの闇を宵闇と呼ぶ。

   更待や階きしませて寝にのぼる  稲垣きくの

   宵闇の大竹藪を山陰線   野沢節子

十三夜(=後の月:秋)・・陰暦9月13日の月。名月に対して後の月という。節物の枝豆や栗などを月に供えて祭る。

   母が煮る栗あまかりし十三夜  野村登四郎

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